開催から30年 WWF・新日本・全日本が手を組んだ奇跡の大会「日米レスリングサミット」を振り返る

天龍とベストバウトを演じたランディ・サベージ /(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
天龍とベストバウトを演じたランディ・サベージ /(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

大観衆が熱狂した天龍とサベージの一戦

 対照的すぎる顔合わせに燃えたのは天龍だ。“「威風堂々」(サベージのテーマ曲)”、アメプロを運んできたサベージに対し、「Revolutin(天龍革命)」ジャージを投げつけて挑発。「プロレスは男の歌だ! 心の歌だ! 裸の歌だ! 励ましの歌だ! 生きる歌だ! そして天龍の歌だ!! 」。若林健二アナの名実況とともに展開される試合は、両者の“噛み合わない”スタイルが絶妙に“噛み合う”大勝負となった。つまり、お互いの特長がこれでもかというくらいにぶつかり合ったのである。サベージのマネジャー、“センセーショナル”シェリー・マーテルの度重なる介入(叫び声も含め)もバツグンのスパイスになった。「プロレスは鍛え抜かれた肉体のSFX(特殊撮影技術)だ!」(by若林アナ)。30年経った今でも色褪せない、名勝負中の名勝負と断言できる。

 今大会では、12日前の「レッスルマニア6」でホーガンを破りWWF世界ヘビー級王者(&インターコンチネンタル王者)となったばかりのアルティメット・ウォリアーが初来日。サベージに勝るとも劣らない蛍光色のド派手なコスチュームと超直線的ファイトで全日本育ちとも言える“ミリオンダラーマン”テッド・デビアスを破りWWF王座を防衛、強烈なインパクトを残してみせた。

 インパクトといえば、ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツも印象深い。ビッグ・ボスマンに放ったDDTの衝撃。今でこそ脳天をマットに突き刺すポピュラーな技だが、ロバーツのそれはスピード、キレとも本家ならではの威力を誇る。彼のDDTは、「日米レスリングサミット」が30年後の現代に伝えるレガシーでもあるのだ。

 さらに、“ヒットマン”ブレット・ハート VS タイガーマスク(2代目)の一騎打ち、アンドレ・ザ・ジャイアントとジャイアント馬場の大巨人コンビ結成(VS デモリッション)も忘れがたい夢のカードだ。アンドレが新日本、全日本の2大メジャーで戦えたのも「日米レスリングサミット」の橋渡しがあってこそ。

 大会こそ一度きりだったものの、さまざまな面において影響を与えた「日米レスリングサミット」。主催した新日本、全日本、WWEとも広く大きく健在だ。平成2年から令和2年、日本に限らず世界は先行きが見えない不安な状況に置かれている。事態が収束した暁には、プロレス界でなにか大きなことはできないか。そういった意味でも、過去を振り返り、学ぶことも必要だろう。 (文中敬称略)

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