“実業家”闘莉王氏の今 母国で牧場経営からがん患者支援まで「なにかの助けになりたかった」
元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が1年ぶりに日本に来日。20日に開幕を迎えたサッカーのワールドカップカタール大会の試合解説などで多忙な日々を送っている。19年の現役引退後、故郷のブラジル・サンパウロ州で牧場などを経営しているというが、「実業家・闘莉王」について聞いた。
肩書は「“のんびり生きている”という新しい職業を作りたい」
元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が1年ぶりに日本に来日。20日に開幕を迎えたサッカーのワールドカップカタール大会の試合解説などで多忙な日々を送っている。19年の現役引退後、故郷のブラジル・サンパウロ州で牧場などを経営しているというが、「実業家・闘莉王」について聞いた。
2001年にJ1サンフレッチェ広島でキャリアをスタートさせてから、19年に京都サンガF.C.で現役生活した闘莉王氏。引退後の今月も日本代表の阿部勇樹氏の引退試合で圧巻の2得点、20日の元日本代表のイビチャ・オシム元監督の追悼試合でも日本代表チームで先制アシストを決めるなど、フィールド上でも健在ぶりを見せている。その一方、自身のYouTube「闘莉王TV」での率直な物言いでメディアを賑わしているが、故郷であるブラジル・サンパウロ州では2つの牧場を経営する実業家でもある。その理由は「動物がめちゃくちゃ好きだから」と笑顔を浮かべる。
「今は馬と牛を飼っています。馬は趣味の競走用で20頭ぐらい。牛はこの間かなりの頭数を売りに出して、500頭くらいまで減らしました。今年は雨が降らない時期が長すぎて、牧場のエサ用の草が足りなくなってきているので、仕方がありません。牛2頭あたり1ヘクタールの土地が必要なので、牧場はめちゃくちゃ広いです。馬かバイクに乗って牛を集めています。育てた牛を自分で食べること? 来客時などでもちろんありますが、自分自身が育てているので、ルーツが全部わかる。安心しますからね」
自ら馬に跨るカウボーイを自認する闘莉王氏だが、順調な牧場経営のかたわら、近郊の都市の国立がんセンターに隣接する患者用宿泊施設を設立し、運営もしている。
「ブラジルは国土が広いのに、がん治療用の専門施設が5つぐらいしかない。遠方の患者さんには移動などで肉体的にも金銭的にも大きな負担がかかる。車いすのまま病院に入っていけるように目の前に建設しました。がんは大変な病気。なにかの助けになりたかったのがきっかけです」
患者ではなく、提携した行政が宿泊費を負担するシステムを実現したという闘莉王氏。社会貢献的なビジネスに加え、ガソリンスタンド経営など様々な事業を手がけているが、自らの肩書について「実業家」という自覚はないという。
「実業家ではないけど、のんびり生きています。一番いいでしょ?(笑)“のんびり生きている”という新しい職業を作りたい。僕はそうなりたいから、ここまで頑張ってきたんです」
現役時代は“闘将”の異名をとり、その燃えるような情熱が多くのサポーターに強烈なインパクトを残してきた。「熱いというか、もう燃えていたね。熱いという言葉では片づけられない」と現役当時を振り返る。現役時代に築いた財産で、実業家としてのベースを確立したという。
「燃えているから、何に対しても100%でやることができる。それがよかった」
カタールW杯開幕でさらに話題を呼ぶYouTube「闘莉王TV」。元日本代表FW城彰二氏とのコラボ動画が急上昇ランキングに入るなど、さらに勢いを増しているが、このたびプライベートコミュニティ「闘莉王TVプロジェクト」をローンチした。
11月27日のカタールW杯コスタリカ戦では東京・渋谷区でメンバー限定の同時観戦イベントも開催することも決まった。「みんなの顔をみながら話をしたい。日本代表にとってこの4年間で一番大事な試合。NGゼロで楽しい時間を過ごしたいですね」と話している。W杯期間中も忖度のない熱い発信で日本を盛り上げてくれそうだ。
話題沸騰「闘莉王TV」のプライベートコミュニティではリアルイベントも開催している
https://community.camp-fire.jp/projects/view/638044