6台目のポルシェはコレクター垂ぜんの1台 売却オファー「売らない」ときっぱり
ポルシェ愛好家が集まったカーイベントで、「これは珍しい」と驚きをもたらした1台がある。鮮やかな水色のカラーが目を引く、1996年式の「993 カレラRS」だ。自動車業界の関係者が口々に「あれは希少ですよ」と驚嘆。気になるオーナーに聞いてみた。
「普段使いできる」がお気に入り 1996年式でもピカピカで維持
ポルシェ愛好家が集まったカーイベントで、「これは珍しい」と驚きをもたらした1台がある。鮮やかな水色のカラーが目を引く、1996年式の「993 カレラRS」だ。自動車業界の関係者が口々に「あれは希少ですよ」と驚嘆。気になるオーナーに聞いてみた。
「まあ、『珍しい』とは言われますね」
男性オーナーは「定年を迎えた再雇用のサラリーマン」。落ち着いた口調で愛車との出会いを教えてくれた。
もともと30歳ぐらいからポルシェに乗り出し、2年に1台ぐらいのペースで乗り換えていた。探していたモデルで、2002年に中古で購入したこのカレラRSは「自分にとって6台目のポルシェですが、自分が乗ってもう20年がたちました。もうここから他のクルマにいくことは考えていないですね」。すっかりお気に入りだ。
高級スポーツカーながら、楽に普段乗りができる。ここが最大のポイントだそうで、「軽量化してレーシングカーのような仕様だけど、基本的にはエアコンも、パワーステアリングも、パワーウインドウも付いているんです。日常で使える設備はそろっているので、自分としてはこれ1台ですべてをまかなうことができる。バランスがよく、普段使いできるところがいいんですよ」と太鼓判を押す。
それに、“ポルシェ愛”も強く、「速く走れて、普段も使える。ブレーキの耐久性もある。それに、路上で止まって走れなくなるほどのトラブルはない。何かあっても家に帰ることができます。致命的なトラブルが少ない。そこもポルシェのいいところですよ」。
地方に住んでいた時があるといい、当時はなんと、この貴重車で、スーパーに買い物に行っていたそうだ。
「ちょっと買い物に行ったり、飯を食いに行ったり。ホームセンターにもこのクルマで普通に行ってましたよ」
現在、このカレラRSのハンドルを握るのは、週に1回程度。日曜朝のドライブやイベント参加を楽しんでいる。
製造されて四半世紀以上たつが、ホイールなど、ほぼフルオリジナルといい、ピッカピカだ。「いや、帰ったら拭くだけですよ」とニヤリ。
このモデルは当時、日本で販売されていたのは200台ぐらいという。「現存の台数はどれぐらいかなぁ。海外のコレクターに目を付けられて、買い付けされて、結構海外に出ていっちゃっている個体が多いみたいです」。“海外流出”が起きるほど、貴重性が高いと言える。世界的な旧車・スポーツカーブームも相まって、中古市場の価格は高騰化。状態がいいものだと、海外市場では、国内市場より値段が張るという。
もし海外の収集家からオファーがあったら? それでも、「売らない」ときっぱり。愛着たっぷりの1台は「マニュアル・トランスミッションが乗れなくなるまで乗りたいですね」。イベントが終わると、どよめきを起こした貴重ポルシェは、さっそうと走り去った。