イケメン超絶ドラマーが憧れだった伝説の「カシオペア」に新加入「神社の境内で口説かれた」

結成から45周年を迎えたスーパーバンド「カシオペア」が第4期となる活動を始動させ、バンド名も「CASIOPEA-P4」とバージョンアップ。長きに渡りバンドを支えてきたドラムの神保彰からバトンを受け取ったのは注目の若手ドラマー今井義頼だ。King & PrinceやT.M.Revolutionといったトップアーティストをサポートしてきたスーパードラマーは野呂一生と鳴瀬喜博の教え子でもある。見た目はクールなイケメンだが、オフの日は小学生の息子と昆虫探しに出かける良きパパの一面も。今回は野呂と今井による先生と生徒のインタビューをお届けする。

取材に応じた「教え子」の今井義頼(左)と「先生」の野呂一生【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じた「教え子」の今井義頼(左)と「先生」の野呂一生【写真:ENCOUNT編集部】

憧れのバンドとヒーローを追いかけて夢をかなえた今井義頼

 結成から45周年を迎えたスーパーバンド「カシオペア」が第4期となる活動を始動させ、バンド名も「CASIOPEA-P4」とバージョンアップ。長きに渡りバンドを支えてきたドラムの神保彰からバトンを受け取ったのは注目の若手ドラマー今井義頼だ。King & PrinceやT.M.Revolutionといったトップアーティストをサポートしてきたスーパードラマーは野呂一生と鳴瀬喜博の教え子でもある。見た目はクールなイケメンだが、オフの日は小学生の息子と昆虫探しに出かける良きパパの一面も。今回は野呂と今井による先生と生徒のインタビューをお届けする。(取材・文=福嶋剛)

――いよいよカシオペアの第4期「CASIOPEA-P4」が始動しました。あらためて第4期にいたる経緯を教えてください。

野呂「今までサポートメンバーとして長年ドラムをたたいてくれた神保彰くんが個人の活動に専念したいという申し出があって、それが去年の暮れでした。大切な役割が1人抜けてしまうことで、それから曲が書けなくなっちゃったんです」

――重要な配役が決まらない中ではカシオペアの台本は書けないと?

野呂「そんな感じですね。それでドラマーを探していたら実は一番身近にいたんです」

――それが今井さんですね。

野呂「もともと僕と鳴瀬さんの教え子(東京音楽大学の生徒)で、現在は僕たちと一緒に大学の講師もやっている今井くんがプレーヤーとしてもベストですし、バンドを一番よく分かっていて気心も知れた人物なので。僕から『一緒にやろう』と声をかけさせてもらいました」

――第4期となるカシオペアのバンド名は「CASIOPEA-P4」です。P4の意味というのは?

野呂「ページ(Page)や局面(Phase)、現在の(Present)、プレミアム(Premium)などいろんな意味のPです。第1期の僕、第2期の鳴瀬さん、第3期の大高さん、そして第4期の今井くんというカシオペアの全世代が正式メンバーとして4人集まった『Person』でもあります」

――4期目はどんなサウンドを目指しているのでしょう?

野呂「『新しいけどどこか懐かしい』という志向が強いかな?」

――過去と未来をつなげる架け橋みたいな?

野呂「まさにその通りです」

――今井さんは「CASIOPEA-P4」のメンバーに誘われたときのことは覚えてます?

今井「覚えているもなにも、あまりにも唐突なお話だったのでビックリしました(笑)。もともと僕は中学生の頃から“カシオペア・オタク”といってもいいくらいの大ファンで、僕にとってヒーローだった野呂さん、鳴瀬さんに会いたくて東京音大を受験しました。今は野呂先生、鳴瀬先生の下で講師を務めさせていただいているので実際に僕の上司ですね」

野呂「授業が終わって今井くんに『今日ちょっと話があるから一緒に駅まで帰らない?』って声をかけたんです」

今井「その前に、鳴瀬さんに『野呂さんに呼ばれちゃったよ』って耳打ちされて、『なんか僕、野呂さんに失礼なことをしちゃったかな?』ってちょっとビクビクしながら帰り道の途中にある神社の境内まで連れていかれまして(笑)」

野呂「そこで『今井くん、カシオペアで一緒にやらない?』って声をかけました」

今井「それを聞いて『え?僕がですか?』って。しばらく信じられないぐらい衝撃でした。だって『もしも自分がカシオペアに入ったら?』なんて妄想していたドラム小僧が本当にメンバーに加わることになるという、現実なのか夢なのか一瞬混乱してしまいました。そのあとは文字通り、神社の境内で飛び跳ねて喜びました(笑)」

もう1人の師匠“手数王”こと故・菅沼孝三さんのDNAも受け継ぐ【写真:(C)HATS】
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音楽大学の面接試験で憧れのカシオペアを語り尽くした

――親子ほど年の離れた今井さんが、またどうやってカシオペアと出会ったのでしょう?

今井「うちは母がピアノの先生で最初に母に習うんですけど厳しくて嫌になってしまい、中学に入ってからは打楽器をやりたくて女子しかいなかった吹奏楽部に入りました。そこでカシオペアの音楽に出会ったんですが、一度好きになると世の中のはやりとか関係なく、とことん追及するタイプなので神保さんの教則ビデオを擦り切れるまで見ながら『僕も神保さんみたいになる』と決めてドラムを始めました。高校に入ってカシオペアのコピーバンドを始めて、日本を代表するドラマーの市原康さんにレッスンを受けました」

――それで東京音大を受験したわけですね。

今井「僕のヒーローがいる学校ですからそれ以外の選択肢はありませんでした。試験の面接では、カシオペアがどれだけ素晴らしいかを説明しながら神保さん、野呂さん、鳴瀬さんが憧れの存在で、いつか大きなホールで演奏したいという思いの丈を全部ぶつけました。そしたら面接官に『もしここの学校に落ちたらどうするの?』と聞かれて『落ちたら路頭に迷ってしまうので合格させてください!』って(笑)」

――まるで就職面接みたいですね。

野呂「実際、就職しちゃったからね(笑)」

今井「アハハハ(笑)。ですね」

――音大生になって実際の野呂さん、鳴瀬さんの印象は変わりましたか?

今井「お二人ともとても優しくて良くしていただきましたし、『在学中からどんどん自分の活動を広げていかないと活路はないぞ』とこの世界の厳しさも教えていただきました。その言葉に従ってロックやメタル、ジャズ、シャンソン、ミュージカルどこでも演奏しました。そこで必死にやっていたら『若いけど猛獣感みたいな面白いやつがいるぞ』と声を掛けてくださる方が増えていって」

――憧れの2人の先生を前に道が開いたんですね。

今井「そうですね。大学4年生のときに卒業論文の代わりに卒業制作アルバム制作というのがあってアルバム1枚分をすべて自分で作ったとき、野呂先生から『このアレンジは結構いいね』ってほめていただいて。その曲は一生忘れられません」

野呂「今井くんは学生当時から目立つ存在でしたね。音楽的にもやりたいことが明確でしたし、『歌バン』よりもカシオペアみたいなサウンドにぴったり溶け込むタイプでしたし、我々のDNAを受け継いでくれるのは彼だなってその頃から思っていました」

今井「光栄です」

――では学生時代からカシオペアに近づけたんですか?

今井「一番楽しみにしていたのですが、ちょうどカシオペアが活動休止した時期だったんです」

――そうでしたか。

今井「それで鳴瀬さんがカシオペアの曲を演奏する『Narucho-ice』(ナルチョイス)というバンドでローディーをやらないかと誘っていただきました。そこでライブ前に『リハーサルで叩いてみろ!』と言われてすごいメンバーのみなさんの後ろで初めてカシオペアの曲を叩きました」

――演奏してみていかがでしたか?

今井「必死で予習してきて演奏したんですがボコボコにされてしまった感じでした。プロのレベルには程遠かったという現実を知りました」

「CASIOPEA-P4」の最新ライブより (左から)今井義頼、野呂一生、鳴瀬喜博、大高清美【写真:(C)HATS】
「CASIOPEA-P4」の最新ライブより (左から)今井義頼、野呂一生、鳴瀬喜博、大高清美【写真:(C)HATS】

バンドにとって世代の違う音が入るというのはものすごく大きなこと

――洗礼を受けたわけですね。

今井「今思えば、それも含めて鳴瀬さんに見抜かれていたんです。俺が言わなくても気付くだろうって。鳴瀬先生はそうやって教えてくれる人なんです。カシオペアに加入することが決まったときもすぐにLINEで『よろしくな!』って。『じゃあカシオペアの曲を練習しとくか?』ってこっそり大学のスタジオでリズム隊として練習に付き合ってくださって」

――良いお話ですね。(と、そこに鳴瀬がフラッと現れる)

鳴瀬「あのね、学校の職員に『まだ極秘なんだけど、俺こいつとやることになったから教室借りるよ』って言ったの」

野呂「極秘って言ってるのに(笑)」

鳴瀬「そうそう。『発表前だから内緒ね』って俺から言っちゃった(笑)」

今井「アハハハ(笑)」

――止まっていた曲作りが今井さんの加入によって一気に進み、アルバム「NEW TOPICS」が完成しました。

野呂「曲全体の輪郭がピシッと決まって『よし!』って感じでしたね。レコーディングも1曲目を録り終えて聴いてみるとドラムの音に今井くんの個性がそのまま出ていて『おっ! そうきたか!』って。いい刺激になりました。やっぱり我々の世代とは違う音が入るというのはものすごく大きなことなんです」

――今井さんはいかがでしたか?

今井「野呂さん、鳴瀬さん、大高さんが『思いっきりやっていいんだよ』って初めから僕のことを受け入れてくださったので不思議なくらい緊張はありませんでした。アルバム1曲目の『TODAY FOR TOMORROW』から自分らしさを思い切り出せましたし、7曲目の『A BEAM OF HOPE』はファンのみなさんに新しさや違いを感じていただける音になったんじゃないのかなと個人的にも思っています。まだまだレコーディングしたかったですし、ライブでもどんどん演奏したい、そう思いました」

――世代を超えたすてきなメンバーが加わったことでバンドとしてもこれからますます面白くなってきました。

野呂「ファンのみなさんに新鮮な『カシオペア』という料理を早く召し上がっていただきたいですね」

今井「料理といえば野呂さんの手料理が本当に美味しいんですよ。カシオペアのお話をいただいて、野呂さんのご自宅でスパゲティをごちそうになったのですが、イカスミやジェノベーゼなど4種類ぐらい、どれも本格的で最高でした!」

――野呂さん、お料理がお好きなんですね。

野呂「好きですね。カレーもスパイスだけで作ったり。もともと中学生の頃、『科学クラブ』だったから実験とか化学反応が大好きでスパイスを調合すると実験しているみたいなんでね(笑)」

――なるほど(笑)。その好奇心は野呂さんの音楽活動にも通じているように感じました。今井さんという新たなスパイスが加わったことでこれからさらにカシオペアに新しい味が生まれそうですね。

今井「憧れのカシオペアに加入して、子どもの頃からヒーローだった野呂さんの手料理をご自宅でごちそうになる未来が待っていたとはって感じです。中学生の自分に教えてあげたいです(笑)」

□CASIOPEA-P4(カシオペア・ピーフォー)野呂一生(ギター)、鳴瀬喜博(ベース)、大高清美(キーボード)、今井義頼(ドラム)。1977年、カシオペア結成。79年、メジャーデビュー。デビュー当時のキャッチコピーは「スリル・スピード・スーパーテクニック」。メンバーチェンジや活動休止を経て、2012年、「CASIOPEA 3rd」として活動再開。22年、今井義頼を正式メンバーに迎えて「CASIOPEA-P4」として第4章がスタート。10月、ニューアルバム「NEW TOPICS」発売。12月東京、大阪、名古屋でウィンターライブ「CASIOPEA-P4/New GIG~P4」開催。

 ※大高清美の「高」の正式表記ははしごだか

カシオペア公式HP:https://www.casiopea.co.jp/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC_OoUPNzopNkXLld8X5cwgw

2022 WINTER LIVE「CASIOPEA-P4/New GIG~P4」
12月11日(日)「東京・EX THEATER ROPPONGI」開場午後5時/開演午後6時
12月23日(金)「大阪 BIG CAT」開場午後5時30分/開演午後6時30分
12月25日(日)「名古屋・ボトムライン」開場午後5時/開演午後6時

野呂一生(G)鳴瀬喜博(B)大高清美(Key)今井義頼(Drs)

全会場:前売8500円/当日9000円(別途ドリンク代)
(一般チケット発売日:11月19日午前10時~)

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