滝川クリステルやローラも強い関心 8月12日は「世界ゾウの日」象牙問題の今
説得力を欠く日本政府の主張 高まる国際社会の批判
日本政府も国際社会の批判より国内の伝統産業を重視。さらに、国内市場を展開していてもゾウの密猟や違法取引に影響を与えていないと主張している。
しかし、坂元氏によれば、明らかな“矛盾”があるという。象牙の闇ブローカーは日本を“安全な国”と認識し、アジア諸国へ密輸入するための経由地に指定している。
「日本に象牙が輸入された、大規模な事件というのは2006年が最後。2・8トンの象牙がマレーシアから大阪港に輸入された事件ですけど、その後はこういうスケールのものは発表されていない。ただ、本当に大規模な密輸入がないのか、または税関が捕捉できていないのか分からない。興味深いのは、ワシントン条約事務局の報告書の中で、日本の水際での取り締まり努力は『平均以下なお粗末なものだ』と言われちゃっている。日本政府が言うように『税関で見つかってないからないのだ』と断定するのはいささか、根拠に欠けるだろうと思いますね」
説得力のある証拠資料もある。ワシントン条約事務局の報告書によれば、11年から16年の間に日本から密輸出された象牙が摘発されて押収された件数は138件に上る。そのうちの113件の行き先は中国だった。113件のうち、106件は中国の税関が押収。日本の税関で止められたのは7件のみだった。
「これを突き付けられても、日本政府は『我が国の政府機関が直接確認したものではない』としか言わないんですよ。客観的には日本が象牙の違法取引を防げてないっていうことは火を見るより明らかで、議論する余地はないわけですよね」
日本で象牙製品をお土産として購入し、母国に持ち帰る海外観光客も少なくない。日本が市場を閉鎖しない限り、こうした負の連鎖は続いていく。
国際社会の日本に対する包囲網は狭まるばかりだ。17日からはジュネーブでワシントン条約締約国会議が開かれる。日本に国内市場閉鎖への一層の圧力がかかることが予想されている。坂元氏は「一番注目しているのは、2016年に採択された国内象牙市場閉鎖決議、この決議を強化しようという提案がアフリカ諸国などの国から出されています。アフリカ32か国の合意に基づいてこの提案が用意されている。アフリカの声としてこれが上がっている。この提案の中で、日本を名指しにして『迅速に市場閉鎖を求めるよう締約国会議は求めるべき』と、提案しています。ここで大きく前進するような決定を得て、日本政府が確実に市場閉鎖に向けて進んでいくようにワシントン条約が監視をする。そういう体制と手順を決めてもらうことが大事」と希望を込めて指摘した。
頭がよく、人間のように家族を大切にし、絆も強いゾウ。「トラ・ゾウ保護基金」には野生動物保全について、40人を超える著名人から賛同の意が示されている。また、世界最大のオンライン署名サイト「Avaaz」は、日本政府に象牙市場閉鎖を求める署名活動を展開し、署名数は現在、世界で約125万人に達する反響を得ている。
ローラらの発言は、少なくとも日本人に象牙問題に対して“考えるきっかけ”を与えてくれたことは間違いない。