滝川クリステルやローラも強い関心 8月12日は「世界ゾウの日」象牙問題の今

8月12日は「世界ゾウの日」であることをご存じだろうか。2012年に設立され、密猟で絶滅の危機に瀕しているゾウの保護を呼びかける日になっている。

滝川クリステル(右)やローラも強い関心を持つ【写真:Getty Images】
滝川クリステル(右)やローラも強い関心を持つ【写真:Getty Images】

著名人が相次いで保護を呼びかけ 大きなムーブメントに

 8月12日は「世界ゾウの日」であることをご存じだろうか。2012年に設立され、密猟で絶滅の危機に瀕しているゾウの保護を呼びかける日になっている。

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 日本に野生のゾウは生息していないため、関心自体がなかったり、対岸の火事のような雰囲気もある。しかし、近年、状況が変化。芸能人がこの問題に相次いで参戦し、ゾウの保護を呼びかけているのだ。

 モデルのローラは3月、ティファニーがサポートするキャンペーン「Save the Elephant」の撮影と雑誌の撮影でケニアを訪問。野生動物保護区やゾウの孤児院を訪問し、アフリカゾウの保護を主張した。また、タレントの麻木久仁子は5月、ツイッターで頭を切り落とされたゾウの写真を投稿し「知れば多くの心ある日本の人々は、象牙の売買禁止に賛成するのではないでしょうか」と切実に訴えた。

 認定NPO法人「トラ・ゾウ保護基金」の坂元雅行事務局長はこの流れを歓迎する。

「こういう社会的な問題、特に環境問題に意識が欠けがちな日本の社会にいいインパクトを与えてくれている。普及啓発活動を地道にやるんですが、なかなか一般の人の心には届かないところがある。そこを繋げてくれるのが、セレブリティと呼ばれる人たち。心ないバッシングにひるむことなく頑張っていただいて、応援している人たちはもっとたくさんいるはずですから、是非是非ローラさんに続く人がどんどん出てくればいいと思っています」

 小泉進次郎衆議院議員と電撃結婚したフリーアナウンサーでタレントの滝川クリステルはかねてこの問題を憂慮し、昨年にはサンフランシスコに本部を置く国際野生動物保全団体「ワイルドエイド」のキャンペーン「#私は象牙を選ばない」の公式賛同者(アンバサダー)に就任した。日本でイベントに参加したり、動画で象牙の売買に反対するメッセージを発信している。

「滝川さん自身はもともと動物の保護に関心を持たれていた方で、ご自身でもNPOを作られていて、主に野生動物というよりは、ペットを含めた動物の保護を目指す団体だと思いますけど、そういうのも作られたりしていて、その関係でゾウの保護についても『アンバサダーになっていただけませんか?』とワイルドエイドが頼んだところ、快諾していただいた」

 ゾウの密猟問題は、それだけ日本と密接な関わりがある。1980年代の10年間で、アフリカゾウの数が象牙目的の密猟により、134万頭から62万頭に半減した。この時期に最も大量に象牙を輸入していたのは日本だった。

 その後、ワシントン条約で国際取引が禁止された。2016年のワシントン条約締約国会議では、各国の象牙国内市場についても閉鎖する決議が採択された。これにより、世界最大の象牙消費国とされる中国も国内市場を閉鎖した。

 ところが、日本は象牙を印鑑や楽器に加工する文化の醸成を理由に、国内市場を閉鎖せず、流通を認めている。このため、動物保護の先進国である欧米やアフリカ諸国から強い反発が上がり、国際社会での孤立を深めている。

「正面からはっきり抵抗しているのは日本だけです」

 国内の抵抗勢力ははっきりしているという。

「どういう人が反対しているかというと、象牙を主な商売にしているごく限られた人たちだけですね。具体的に言うと、日本には象牙の加工産業があります。日本で加工用の象牙の8割はハンコに加工されています。日本で力を持っているのは象牙の製品を作る製造業者たちです。その中でも、加工用の象牙のストックをたくさん持っている10社前後のハンコメーカー。ハンコの流通量も価格もその業者たちがコントロールしている」

 加工材料の供給が断たれたら、象牙を使った商売は成り立たなくなる。危機意識を持ったハンコメーカーはかねて外貨を稼ぐために象牙の輸出に賛成する南部アフリカ諸国の代表者を日本に招き、もてなすなどの“接待”を行い、国際社会の動きに対抗してきた。こうしたロビー活動はワシントン条約締約国会議においても一定の成果を挙げ、日本は1回限定の取引ながら、1999年に50トン、2009年に39トンの象牙の輸入を許可された。

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