青山テルマ「仕事も恋もすべてにおいて執着は毒」 “怖さ”も楽しむ気楽な生き方

歌手の青山テルマがデビュー15周年を迎え、自身初となる日本武道館公演を11月4日に開催する。ライブには新曲「いつまでも feat. SoulJa」で約12年ぶりのコラボが実現した盟友・SoulJaをはじめ、加藤ミリヤや清水翔太など彼女の大切な仲間たちが客演アーティストとして駆けつける。そんな青山テルマの今を紹介するインタビュー。2回目は音楽だけでなくドラマやバラエティー番組でも活躍する彼女がどんなふうに今を楽しんでいるのか聞いてみた。

青山テルマ【写真:舛元清香】
青山テルマ【写真:舛元清香】

“エゴサ”はせず「“笑笑”ぐらいで接しておけば良い」

 歌手の青山テルマがデビュー15周年を迎え、自身初となる日本武道館公演を11月4日に開催する。ライブには新曲「いつまでも feat. SoulJa」で約12年ぶりのコラボが実現した盟友・SoulJaをはじめ、加藤ミリヤや清水翔太など彼女の大切な仲間たちが客演アーティストとして駆けつける。そんな青山テルマの今を紹介するインタビュー。2回目は音楽だけでなくドラマやバラエティー番組でも活躍する彼女がどんなふうに今を楽しんでいるのか聞いてみた。(取材・文=福嶋剛)

――前回のインタビューでつらかった時期でも音楽を届けたいという気持ちは変わらなかったと仰っていました。音楽をやめようとやめようと思ったことはありましたか?

「もちろん何度もありました。筋肉の病気になって歌い難くなってしまい、もう働けないかもっていう時期がありました。今も100パーセント治ったわけではないので同じような病気を抱えた人たちは休業される方もいて、自分も休業した方がいいよと医者に言われたんですけど、休業しちゃったら本当に自分が止まっちゃいそうで、それがすごく怖かったんです。でも絶対音楽を続けなきゃいけない理由もないんです。私はいつでもやめられるって思っているから」

――「いつでもやめられる」その理由は?

「音楽以外の仕事でも絶対に楽しく生きていけるっていう自信を持っているから。別に都会を離れて田舎で犬とゆっくり暮らすことだって幸せだし、今置かれている状況がすべてじゃないから必死でそこにすがる必要なんてまったくないんです。もし自分に対して『こうしないとダメ』っていうルールを作ってしまったら結局また自分にプレッシャーを与えてしまい、誰かに責任を転嫁して自分が嫌になる“負のスパイラル”に陥ってしまうからです」

――今はどうですか?

「今やっていることが楽しかったらその楽しさを誰かと共有したいっていう気持ちが私の中にあるんです。今だったら音楽もそうだし、バラエティーだったり、この前ドラマにも出演させていただき、11月に控えている初の日本武道館公演もそうです。いろんな人を笑顔にしたいっていう気持ちが自分の中にあるからそこにフォーカスしています。でもここにいる理由がなくなったら突然いなくなるタイプかも」

――余計な執着はないんですね?

「今いる場所がすべてじゃないですし仕事も恋人も友達付き合いもすべてにおいて執着することってすごい毒だと思っているから。人生まだ半ばなので執着しないで気楽に生きたいなって思っています。あと私って“怖いもの好き”なんですよ」

――怖いもの好き?

「怖いと思ったらそっちの道を選んじゃうタイプなんです。この前、ドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系火曜ドラマ)で初めて演技に挑戦したんですけど、最初にオファーをいただいたとき、西島秀俊さんや永野芽郁さんをはじめ、そうそうたる役者さんが出演される本格的なドラマの中に私が入るなんて普通は考えられないですし、怖いじゃないですか? 本業じゃない私がその役に就くことで1人の役者さんのチャンスを奪ってしまうわけだし、ちゃんと責任感を持ってやらないとやっちゃいけないっていう怖さ。けれどその怖い方向に行くことで今の私の答えが見つかると思っています」

――それはプレッシャーとは違う?

「私にとって怖さは楽しさななんです。次の課題も見えてくるし、そっちを選んだ方が『うわ!これヤバそうだけどやっちゃおう』みたいな生きている実感を味わえるので。なんでも楽しんじゃうタイプなんです」

――SNSについてはいかがですか? テルマさんはインスタグラムを使って時間の許す限り、多くのフォロワーさんに返信して元気付けてあげていますが、一方で心無い言葉で傷つけられたりする怖さもあります。

「実はここ3、4年、『死ね』とか『消えろ』っていう明らかな誹謗中傷はないんです。心無い言葉は本当に3年に1回とかそんな感じで。きっと私がおバカさんだから(笑)」

――そんなことはありませんよ。

「でもね、これはみなさんにちゃんとお伝えしたいんですけど、私いい人でも悪い人でもなくて普通の人なんです。それを忘れないでくださいね。こういうインタビューを受けるとすごくいい人みたいに書いてくださるメディアさんもあるんだけど、そうじゃないから(笑)。いい人に見られたいとか1ミリもないし」

――テルマさんはその時その瞬間に感じた気持ちをそのまま力のこもった直球で返してくれるんです。過去に何度か取材をさせていただいてそれは今も変わらないなって感じています。

「だからもう普通のおバカさんだと思ってもらいながら、バラエティー番組で笑ってもらう方がうれしいんですよ本当に。なんの話でしたっけ?(笑)」

――SNSの誹謗中傷について

「そうでした(笑)。私ね『エゴサーチ』しない人なんですよ。自分に興味ないから」

初の日本武道館公演「気楽な気持ちで遊びにきて」【写真:舛元清香】
初の日本武道館公演「気楽な気持ちで遊びにきて」【写真:舛元清香】

15年目で初となる日本武道館公演

――「青山テルマはエゴサしない」って見出しになりますよ(笑)。

「全然OK(笑)。『何してんのコイツ?』っていう発信しか私してないから(笑)。アンチな人もそれを見て『面白くねえな』とか『こいつただのバカだな』ってツッコミを入れるポイントがないんじゃないですかね? 私もわざわざアンチの人が何を言っているかなんて興味もないし、もし私がおかしなことを発言しちゃったらマネジャーとか友達が注意してくれるから。それだけでよくて」

――「そばにいるね feat. SoulJa」(2008年)がヒットした頃はどうでした?

「あの頃ってSNSが流行る前で、2チャンネルとか掲示板を何度か覗いたことがあって『お洒落ではない』とか書いてあったんです。でも漢字が読めなくて『お酒が落ちるって何?』って。よく分からないからそのままパソコンを閉じちゃった(笑)」

――テルマさん、当時は大学生だったのでは?

「アハハ(笑)。だからおバカさんなんですよ。でもね、バラエティー番組とかドラマを始める前に『青山テルマちゃん』で検索してみたんです」

――エゴサしてるじゃないですか(笑)。

「それはリサーチだから(笑)。『青山テルマちゃん』て“ちゃん付け”で検索したらあんまり悪い人いないんですよ。でも1回試しに『青山テルマ』で検索したんです」

――どうでしたか?

「勇気をふり絞って検索したら『青山テルマ、赤山テルマ、緑山テルマ …何色やねん?』ってわけわかんない投稿を見つけて。これ以上検索する意味ないと思って見るのをやめた(笑)。でもね、やっぱあいつら洒落も分かるし面白いんですよ。ダークなところにいくから良くないだけなんで、インターネットの世界ってそんなに真剣に取るもんじゃないから“笑笑”ぐらいで接しておけば良いの。そういうアンチを発信している人たちもきっと鼻くそほじりながら書いているんだって、そう思っておけばいいんですよ」

――そのぐらいの距離感が程よい接し方なのかもしれませんね。

「でも私のファンの子たちが落ち込むようなことがあったら私も落ち込んじゃいますよ。たとえばたまたまた街で私を見かけて声を掛けてくれたのに私が気が付かなかったというコメントをもらったらすごく申し訳ないって思うし、ファンの子たちが思っていることを私も一緒になって真剣に考えてあげたいし、それは一番大切にしていることですね」

――そんなファンの皆さんが楽しみにしている初の日本武道館公演も間近に迫ってきました。

「私も『Mステ・紅白・武道館』ってよく言ってましたけど、日本武道館はアーティストにとっての夢の場所みたいなところってありますよね。でも30代の女性ソロアーティストが日本武道館で初ワンマンをやるのは珍しいみたいなんです。だから私も20代が終わったときに『もう日本武道館は無理かな。じゃあ地道に頑張っていこう!』って思っていたんです。でもバラエティー番組に出させていただいたり、とくにコロナ禍のここ1、2年でアーティスト活動以外のたくさんのお仕事の依頼をいただくようになって、全部音楽につなげていこうって思ったんです。

 そしたらスタッフさんから『日本武道館が1日空いているから武道館公演と全国ツアーどちらを選ぶ?』と聞かれて。ツアーもやりたかったんですけど、日本武道館は2度とチャンスがないかもと思い、『ちょっと怖いけどやってみたい』って返事をしたんです」

――今回はテルマさんならではのお祭りみたいな公演になりそうですね?

「そうなんです。やっぱり私にとってファンと仲間が宝物なので人を大事にしてきてよかったなって、そんな思い出に残るようなライブをしたいと思っています」

――「おにぎりフェスティバル~(仮)」というサブタイトルもユニークです。

「気合入れてカッコつけたタイトルとかって『恥ず~!』って思っちゃうので(笑)。ライブで一番盛り上がる曲が『ONIGIRI』(2018年)なんですよ。『おにぎり!』ってみんなで叫ぶだけで幸せになれる誰でも歌える曲で私のライブ行ったことない人や私の曲を知らない人でも全力で楽しめるような準備をしているので、まだ声は出せないけれど、そんな気楽な気持ちで遊びにきてほしいです」

□青山テルマ 1987年10月27日、奈良県出身。B型。小学校6年生までインターナショナルスクールで過ごしたのち、家族と共にロサンゼルスへ移住。2002年夏、日本に一時帰国した際に音楽関係者から声をかけられたことを機に日本でのメジャーデビューを夢見る。07年9月5日にシングル「ONE WAY」でメジャーデビューを果たす。キュートな容姿を備えつつ、鮮明かつパワフル、そして感情豊かな歌声を絶妙にコントロールする実力派シンガーである。また、ファッションや写真、アートと多趣味であり、そのセンスは同年代の女性から支持されており、バラエティー番組等各メディアで見せるその飾らないパーソナリティーに幅広い世代からの共感も集めている。22年10月シングル「いつまでも feat. SoulJa」をリリース。11月4日、自身初となる日本武道館公演を開催する。

青山テルマ公式HP:https://thelma.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/thelmaaoyama/

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