アニサキス問題、スーパーの対応に限界も 「完全に取り除くのは難しい」事情とは
スーパーのサンマにアニサキスが大量に付着した画像がSNS上で拡散、波紋が広がっている。今回行われた注意喚起の投稿には、多くの共感が寄せられた反面、「完全に取り除くのは難しい」といった店舗側の声も。スーパーの鮮魚とは一般的にどのように処理されるのか、また、アニサキスによる食中毒に遭わないためにはどのような対策が必要なのか。
サンマに付着したアニサキス…注意喚起の投稿が1万リツイート、5.3万いいね
スーパーのサンマにアニサキスが大量に付着した画像がSNS上で拡散、波紋が広がっている。今回行われた注意喚起の投稿には、多くの共感が寄せられた反面、「完全に取り除くのは難しい」といった店舗側の声も。スーパーの鮮魚とは一般的にどのように処理されるのか、また、アニサキスによる食中毒に遭わないためにはどのような対策が必要なのか。
今が旬のサンマ、そのサンマをめぐる衝撃の画像が、先週ツイッター上をにぎわせた。スーパーのトレーにパックされたサンマには、表面に無数の白い糸状のものが……。投稿者によると、サンマに付着したアニサキスは「1パックに30匹以上が動いて」いたといい、注意喚起のために行ったこの投稿は19日現在、1万リツイート、5.4万いいねが寄せられている。
投稿には「我が家も昨日買ってきたサンマちゃんから出るわ出るわ でも、焼いて食べましたわ」「スーパーの鮮魚コーナーで働いてますが、結構出てきますよ(笑)ちなみにアニサキス被害者でもあります 夜中本当に悶絶して泣きました(笑)」「近年クジラの数が増えてアニサキスの卵が増えているそうです。しばらくアニサキスの量は増えると思われます」「真空パックしたら、中からでてくるんです。鮮魚コーナーで働いて、得た知識です。サンマだけじゃなかったと思います。苦しくて出てくるらしいですよ。中から」など、食中毒経験者や鮮魚店の店員からも共感や注意喚起の声が多数寄せられた。
その中の一人、スーパーの鮮魚コーナーで働くはららんMk.Ⅳ@hararan_remさんは、「完全に除去するのは難しいのが現状です」とスーパーでのアニサキス対策を解説する。
「鮮魚は氷が敷かれた、または氷水が入った発泡スチロールに入った状態で入荷します。当店では鮮魚の鮮度を確認した後に発泡スチロールのまま店頭に陳列しております。アニサキスはだいたい内臓系に寄生していることが多く、鮮度が落ちるにつれて身に寄生していきます。よって、採れてすぐに内蔵を除去すれば、アニサキスのリスクを下げることは可能です。ただ、身に寄生してしまったアニサキスは深くまで入り込んでいることもあり、完全に除去するのが難しいのが現状です」
サンマのようにまるまる1尾販売する魚では、内臓もそのままの状態のため、時間がたち鮮度が落ちるにつれて内臓から身、表面へとアニサキスが移動してしまうという。
鮮魚を購入する消費者に対しては「鮮魚を選ぶ際は、やはり鮮度のいいものを選んでいただくに越したことはないです。ポイントとしましては、目と目の周りがまだ黒いもの、身に張りがあって硬いものツヤがあるものを選んでいただくといいかと思います。またアニサキスに関しましては、加熱または冷凍していただく事で予防が可能です」とアドバイス。
「よく勘違いされがちなのが、しめ鯖などの酢〆で食べるものです。アニサキスは酢でしめれば大丈夫とおっしゃられるお客様がいらっしゃいますが、アニサキスは酢でしめても死滅しませんのでご注意ください。生で召しあがる際は必ず冷凍してください。特にサバやイワシ、サンマ、スルメイカなどはアニサキスが多いので注意してください」と注意点を挙げる。
厚生労働省の公式サイトによると、アニサキスの幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの魚介類の主に内臓表面に寄生。宿主の魚介類が死んで時間が経過すると、内臓から筋肉に移動するという。予防策として、「魚を購入する際は新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。内臓を生で食べないでください」と紹介。また、調理の場合は「マイナス20度で24時間以上冷凍するか、70度以上もしくは60度の場合は1分加熱をしてください」と具体策を挙げている。
過度に恐れすぎず、正しい知識と適切な処理を行った上で、旬の味覚を味わいたいところだ。