「生理」「膣トレ」「セルフプレジャー」…異色番組誕生の裏側 番組P以外は全員女性

女性の「性」と「カラダ」に特化した番組「ハダカノココロ」が配信サービスParaviで独占配信されている。セクシー女優の三上悠亜、タレントのIMALU、モデルのNANAMIといった同性への絶大な発信力を持つ3人がMCを務め、中々口には出して話しづらいディープな内容を特集していく。そんなバラエティー番組だが、他番組とは大きく異る部分がある。それは、企画をプロデュースした池田大史以外の番組に関わるスタッフが全て女性という点だ。女性が話しやすい環境を整えることにより、ディープで繊細な内容を視聴者に発信している。そんな番組制作に関わったスタッフ陣に集まってもらい、番組制作の過程や現場の雰囲気について語ってもらった。

番組に出演するNANAMI、三上悠亜、IMALU(左から)【写真:(C)Paravi】
番組に出演するNANAMI、三上悠亜、IMALU(左から)【写真:(C)Paravi】

女性だらけの現場だから実現した赤裸々トーク

 女性の「性」と「カラダ」に特化した番組「ハダカノココロ」が配信サービスParaviで独占配信されている。セクシー女優の三上悠亜、タレントのIMALU、モデルのNANAMIといった同性への絶大な発信力を持つ3人がMCを務め、中々口には出して話しづらいディープな内容を特集していく。そんなバラエティー番組だが、他番組とは大きく異る部分がある。それは、企画をプロデュースした池田大史以外の番組に関わるスタッフが全て女性という点だ。女性が話しやすい環境を整えることにより、ディープで繊細な内容を視聴者に発信している。そんな番組制作に関わったスタッフ陣に集まってもらい、番組制作の過程や現場の雰囲気について語ってもらった。(取材・文=中村彰洋)

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――同番組の企画は池田さんが提案したとうかがいました。

池田大史(プロデューサー)「企画募集があったとき、地上波であまりやっていない企画をやりたいなと思いました。いろいろ考えたとき、女性発信でのこういった企画はあるけれど、男性発信ではないのでは、と思いました。僕みたいな男性が一緒に番組で勉強するぐらいの気持ちでこういった番組をやれると、女の子でも知識がない方だったり、このような番組ををあまり見たことないという方でも入りやすい番組ができるんじゃないかなと思ったんです。同時に男性も見てくれるような番組になればいいなと思ったのがきっかけでした」

――スタッフはすべて女性というのが特徴です。なぜこのような形にしたのでしょうか。

池田「収録を逆算しました。キャストが女性なので、普通に考えたとき、性の話をするときに男性が目の前にいたら話しづらいだろうなと思いました。この番組では、女子会のような感じでフランクに話してほしかったので、その空気を作れるように女性だけにしました」

――撮影現場には池田さん以外の男性は1人もいなかったのでしょうか。

池田「基本的にキャスト周りのスタッフの方も『女性でお願いします』とリクエストしていました。男性スタッフの方にはお願いをして、収録のときには見えないところで待機してもらいました」

保野祥子(ディレクター)「なるべく女性でという現場はこれまでにもありましたが、カメラマンさんや技術さんまで女性というのは初めてでした」

池田「そこにはこだわりましたね」

――女性だらけの現場でしたが、雰囲気はいかがでしたか。

保野「こんなに共感して、会議が盛り上がることは珍しいと思います。みんなが分かる話題で、意見を言いやすい。肩書関係なく、全員が意見を言えました。収録でも演者さんが回を増すごとに盛り上がっていて、打ち解けていく感じも楽しかったです」

植田郁子(プロデューサー)「会議中は、池田さんが男性1人で残りは女性。池田さんは女性の気持ちも分かったうえで、嫌な空気にならないようにうまくバランスを取ってくださいました。ただ、みんなが生理の話などで盛り上がっているときにフッと存在感を消してくださってたんですが、結果無表情になってしまっている池田さんを見るのが申し訳ない反面、少し楽しかったです(笑)」

――男性1人で会議に参加でしたが、苦労した点などはございましたか。

池田「自分で決めた座組なのに最初の会議はすごいドキドキしましたね(笑)。発言にも気を使いました。僕が不用意な発言をしてしまうと一気に場の空気が引いてしまうので……。若いスタッフからも意見がたくさん出ました。これって普通の会議だとこうはならないと思うんです。最初はドキドキしていましたが、任せておけば安心だなとなりましたね」

大場夏美(アシスタントディレクター)「私が現場経験も少ないというのもありますが、会議で話を振られたこと自体が初めてでした。そこで発言したことを深掘りしてもらえて、そういったことが今まではなかったので、それがすごいうれしかったです。一緒にやらせてもらえている感じがありました」

依田菜月(ディレクター)「私はディレクターになって初めて担当したのがこの番組でした。それが女性だけって聞いて、最初は怖かったんです。若手なのでボコボコにされるのを覚悟していました(笑)。でも実際は、真逆で、自分の意見を言えるし、めちゃくちゃやりやすかったです」

牧田亜矢子(ディレクター)「1番、体張ったしね(笑)」

依田「私自身が、女性の性に対して抵抗が全くないので、自分の意見をバンバン言えました。初めてがこの番組で良かったです」

――女性だらけでやりにくかった部分はありましたか。

大場「荷物を運ぶのは大変でした。力仕事系が(笑)」

――MC3人のキャスティングの狙いはどういった部分でしょうか。

池田「バランスが大事だなと思っていました。特に三上さんに参加してもらえたのはありがたかったです。職業柄、踏み込んだお話も聞けそうでしたし、何より同性からの支持がすごくて。今までセクシー女優の方でここまで同性からの支持を集めた方はあまり記憶にないですね。IMALUさんは、ご自身で発信もしていらっしゃったり、いわゆる『フェムテック』の分野ではとてもお詳しいと伺い、3人の中での“アネゴ”的な立ち位置でイメージしました。NANAMIさんはいわゆる“この番組を見ている視聴者”目線で番組に参加してもらいたく、キャスティングさせていただきました。この番組では『なんで?』とか『どうやって?』のような視点がマストだと思っていました」

こがわあゆ(構成)「3人はこの収録が初対面でした。女性だけとはいえ、初めて会った人と心をすぐに開いて、しかもカメラがある空間でこういった話をするということは難しかったかなと反省する部分もありました。でも、IMALUさんが場の空気を温めてくださいました」

――台本を書かれる中で、どういった人をターゲットにしようと意識しましたか。

こがわ「当初は若い世代の女性に見てもらえたらと思っていましたが、私が普段携わっている女性に向けたラジオ番組では、女性との関かわりに悩む男性が番組を“覗き聴き”し、参考にしている、といったお便りもいただくことがあって。だからこの番組も、男性に積極的に“覗き見”してもらえたらと思っています。衝撃がいっぱいあるかもですが(笑)」

座談会形式で番組の魅力を語った「ハダカノココロ」制作陣【写真:ENCOUNT編集部】
座談会形式で番組の魅力を語った「ハダカノココロ」制作陣【写真:ENCOUNT編集部】

女性の「性」や「カラダ」に特化も「卑猥な感じが一切ない」

――「生理」や「セルフプレジャー」「膣トレ」など、テーマごとに番組は展開していきます。全7回という限られた中で、どのように選びましたか。

池田「しっかりと勉強をした上で、世の中的にズレていないと思われる7つのテーマを提案しました。そこから女性陣の意見をいただいてブラッシュアップさせました」

植田「私はこの番組自体、途中から参加だったのですが、すでにスタッフの皆さんはとても勉強して、知識を身につけていて、『私の立ち位置はどこなんだろう?』と考えたとき、私自身の知識がない部分を生かして知らない方の気持ちに立とうと考えました。その目線はつねに意識しましたね」

保野「すごく助かったよ。私たちが勉強をしすぎて、知識とハードルが上がってしまっていて……。『フェムテックって言葉を視聴者の皆さまはご存知ですかね?』と言われたとき、勉強した私たちは当然のように知っているけれど、街録でインタビューしてみたらほとんどの方が聞いたことある程度でした。植田さんが、見ていただく方の意見と近かったので、非常に参考になりました。本来だったら池田がその立場なんですけど、勉強しすぎていたので(笑)」

池田「僕らが知識をつけすぎてしまったということは大変でもあった部分ですね。どんどん目線が上がって、レベルの高い番組になってしまいそうでした」

保野「とにかく皆さんの意見、街の声、人の声がすごく反映された番組だと思います」

――メインビジュアルなど柔らかなピンク色も特徴的です。こだわりはございますか。

山戸蕗(デザイナー)「シシヤマザキさんをイラストレーターとしてお迎えするのは、池田さんからのアイデアでした」

池田「もともと、別番組でご一緒したことがあり、もし自分で番組をやることがあれば、ぜひデザインをお願いしたいと思っていました。なので今回もこの番組が決まった瞬間にお願いしました」

山戸「配信の画面ではどのように見えるかにこだわって、番組の雰囲気と色味、セクシャルではあるものの、いやらしくない雰囲気作りだったりがポイントになっています。そこにシシヤマザキさんのアニメーションだったり、筆のタッチなどの柔らかい雰囲気が加わりました。皆さんの頭の中にあるイメージを具現化できたなと思っています。ピンクというよりはどちらかというと肌色、そういったことを意識しました」

池田「ピンクだけど明るいピンク。そんなシシヤマザキさんの色味が絶妙にマッチしました。写真の構図、加工も雰囲気に合わせてくれたので、良かったです」

――放送後の反響はいかがですか。

大場「『もうちょっと長い時間で見たい』『もっと配信頻度を増やして下さい』といったメッセージが届きました。三上悠亜さんファンの友人が、それをきっかけで見始めたんですけど、『思っていたよりも爽やかで見やすい』『1人で見るよりも女の子数人で見たい』とリアクションをもらいました」

依田「企画を聞いたときにちょっとは“エロ方向”に走ってしまうのではないかと思っていたんですけど、卑猥な感じが一切ない番組に仕上がりましたね」

――続編の可能性はありますか。

植田「私個人としては、こういった番組は大事なので続けられたらと思っています」

保野「テーマはまだまだありますからね」

池田「Paraviで全話視聴可能となっています。『フェムテック』はこれからどんどん広がりますし、女性の『性』と『カラダ』の悩みや疑問は普遍的なテーマなので、この先も大きな話題となってくれることを期待しています」

□「ハダカノココロ」Paraviで独占配信中。三上悠亜、IMALU、NANAMIの3人がMCを務める女性の「性」と「カラダ」に特化した番組。「セルフプレジャー」「生理」「PMS」「デリケートゾーン」「膣トレ」「妊活」などさまざまなディープな話題に切り込んでいる。番組に携わるスタッフの“99%”が女性。

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