若ハゲ、不倫、借金…“どん底男”の生きざま YouTubeで取り戻したい「普通の生活」

年齢を取るにつれて、人間誰しもが髪の毛が薄くなっていく。男性型脱毛症(AGA)への知識や理解は現代人に浸透し、電車の中づり広告など街の至るところでAGAの文字を見るようになった。15歳から“若ハゲ”となり、「若ハゲの生き様 【2700万借金返済ストーリー】」というチャンネル名で人生を発信しているYouTuberのNORIO(30)に話を聞いた。

NORIOさん、15歳当時(左)と現在の比較写真【写真:本人提供】
NORIOさん、15歳当時(左)と現在の比較写真【写真:本人提供】

バスケをすれば「あいつ太陽拳使うから気を付けて」

 年齢を取るにつれて、人間誰しもが髪の毛が薄くなっていく。男性型脱毛症(AGA)への知識や理解は現代人に浸透し、電車の中づり広告など街の至るところでAGAの文字を見るようになった。15歳から“若ハゲ”となり、「若ハゲの生き様 【2700万借金返済ストーリー】」というチャンネル名で人生を発信しているYouTuberのNORIO(30)に話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

――15歳から始まったハゲ、気付いたきっかけは何だったのでしょうか。

「自分で気付いたというよりも友達が軟毛で悩んでいて、それきっかけで気付いたんですよね。外を友達と走っているときにその友達が『のりも髪の毛薄いよね』っていうのが始まりでした。そこで『薄毛なのか、俺は』ってなったのを今でも覚えています。そこからは徐々に進行していきました。完全に僕の場合はAGAだと思っています。高校3年生のときに、お調子者のやつに『ハゲハゲ』って言われていました」

――思春期で“ハゲ”と言われることにつらさを感じたことはございましたか。

「イジりは正直嫌なところもありましたね。。今でこそ笑ってネタにしているんですけれど、高校生時代は女の子にモテたいとか異性の目が気になる状況でした。カッコよくありたいのに『ハゲ』と言われると気になってしまいましたね。男だけだったら良かったんですけれど、女子がいる前で言われるのはきつかった。若ハゲで1番つらかったことは、ハゲが周知の事実として学校中に広まっちゃうこと。“ハゲのひょうきんもの”になっていて、もし他の女の子が僕のことを好きになっても『え、ハゲてるけどいいの?』と言われたりして付き合えないみたいな可能性もちょっと……」

――親御さんは気にされてはいなかったのでしょうか。

「良い質問ですね(笑)。高校3年生くらいかな。爆笑問題さんがAGAのCMをやっていた時期があって、それを見て親が『1回診断してきてもらったら』と3回くらい言われました。大学2年生でも言われましたね。まさか親に言われるとは思っていなかったです。ついに親に言われて深刻に受け止め始めました。そのころは育毛スプレーやったり、頭皮ケアすれば治るって思っていたので親に言われても『行く必要ないよ』って思っていました」

――実際に診断に行ったのはいつごろでしたか。

「24歳のときに1度、頭皮チェックみたいな感じで行ったことはありました。YouTubeの企画として28歳のときに行ったのが本格的には初めてですね。バスケをやるんですけど、試合中に汗をかくと髪の毛同士がくっついてめっちゃハゲてくるんですよ。恥ずかしいというか、何かバスケに集中しきれないという気持ちはありました。敵チームから『あいつ太陽拳使うから気を付けて』とかそういうのを言われたりもありましたね(苦笑)」

――“ハゲ”で動画発信しようと思ったのは理由を教えてください。

「元々は発信する予定ではなかったんです。人生で自分の不倫が原因の離婚とかもあって、本当にお金がない。自動車のローン、家賃も全て僕の方に請求がきていたので毎月マイナス。このまま普通に生活をしていたら無理だなと気付きました。大前提はお金でした。もう一つは暗いハゲより明るいハゲの方がいいなって。発信を始めてからはハゲでも全然気にならないと言う人、応援してくれる人が増えました。多くの男性は、ハゲると思う。ハゲるまでの恐怖とか体験談って若いときからハゲの自分にしか分からない。これが予兆だとかそういうハックみたいなものも発信していきたいと思ってやっています」

NORIOさんが1番上手く髪をセットできたという成人式【写真:本人提供】
NORIOさんが1番上手く髪をセットできたという成人式【写真:本人提供】

離婚で2700万円の借金、お金のためにYouTubeをスタート

「【2700万借金返済ストーリー】」ともチャンネル名には書いてある。NORIOの最初の投稿もハゲについてではなく、離婚とそれに付随する借金についてだった。恥部とも思える内容も赤裸々に発信している。

――私生活を赤裸々に発信するのはなぜですか。

「さすがに2回くらい姉には怒られています(笑)。人の生きざまとか人生って良くも悪くも面白い。実家暮らしで甘えだって最近視聴者から言われるんですけれど、お金が本当にないんですよね。YouTubeの収益あるだろって言われるけれど、それ以上にバイトの身ですし、税金とか払うものが多い。そういう部分も動画で見せないと視聴者には伝わらない。良い部分も恥ずかしい部分も含めて、応援したり、批判したり、してほしいからなんです。うそを発信しても僕のためにはならない。ある動画でプチ炎上したときもコメントが2000件くらいきて、『この行為はダメだったんだ』と気付きになりました。視聴者の声を聞いて成長しています」

――2700万円の借金の現状はどのようになっていますか。

「養育費、慰謝料に関しては残り2100万円くらいまでになりました。離婚したらどうなるかって普通は知らないことだと思うんです。僕は離婚の話し合いで弁護士を通さなかったんです。通さないと言い値でこうなってしまう。僕の場合(不倫)の借金額は相場ではない。不倫したらこうなってしまうという反面教師にしてほしいですよね」

――NORIOさんにとっての生きざまって何でしょうか。

「僕の返済までの道のりですね。もしかしたら今後、自己破産して借金を返せない、払えないよっていうことになったら減額してくださいって頭を下げるかもしれないですし。なので、生きざまってなると借金返済ストーリーということになりますかね」

――現在もつらい状況が続いているとは思いますが、夢はありますか。

「返済後……。46歳まで続くので考えられないし、想像できないです。ちょっと前までは自分で飲食店を持つことでした。コメント欄でボロクソ言われたりしたんですけどね(笑)。夢……。週末に友達と飲みに行ったり、自分の好きな服を買ったり、旅行に行ったりとか。誘われても今断っている状況なので……。普通の生活がしたいですね」

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