【ほぼ全文レポ】Snow Man宮舘涼太、念願の歌舞伎挑戦は自身の熱意がたぐりよせたチャンス 海老蔵もその情熱に太鼓判

歌舞伎俳優の市川海老蔵と人気グループ「Snow Man」の宮舘涼太が4日、都内ホテルで行われた「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』」の製作発表記者会見にそろって登壇した。

会見に出席した宮舘涼太と市川海老蔵【写真:ENCOUNT編集部】
会見に出席した宮舘涼太と市川海老蔵【写真:ENCOUNT編集部】

「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』」の製作発表記者会見

 歌舞伎俳優の市川海老蔵と人気グループ「Snow Man」の宮舘涼太が4日、都内ホテルで行われた「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』」の製作発表記者会見にそろって登壇した。

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「SANEMORI」は、海老蔵が“伝統の継承”と“新時代の歌舞伎の創造”を融合させた舞台を目指し、2013 年から行っている自主公演「ABKAI」の5回目(19年)に、シアターコクーンで上演。古典歌舞伎の名作「源平布引滝」より「実盛物語」を主軸にした歌舞伎作品で、海老蔵と宮舘が再びタッグを組む。海老蔵は今年11月、12月に歌舞伎座で十三代目市川團十郎白猿襲名披露を控えており、「SANEMORI」が上演される23年1月には團十郎として新たな挑戦をスタートさせる。

 この日、都内ホテルで行われた制作発表記者会見には、海老蔵と宮舘がそろって登壇。公演に向けての思いなどを語った。以下、会見の一問一答。

海老蔵「皆さま、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム『SANEMORI』の製作発表でございますので、どうぞお手柔らかにお願いいたします」

宮舘「皆さま、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。宮舘涼太です。貴重な会見になると思いますので、ぜひたくさん撮ってください。よろしくお願いいたします」

――今回の「SANEMORI」は、2019年に上演されてから3年ぶり。今回は團十郎として臨む。その心境は。

海老蔵「3年前に『ABKAI』で宮舘さんと阿部さん(亮平・Snow Man)とご一緒しました。『SANEMORI』というよりは、『源平布引滝』という演目を実盛として務めさせていただきました。そのときはシアターコクーンで、海老蔵ファイナルの企画としてやらせていただきました。2023年の公演は團十郎として務めるわけですが、まだ私は現時点で海老蔵でございまして。やはり11月12月(襲名公演)は、先輩、同輩、後輩みんなと一緒に古典を継承しながら襲名をしていくという公演でございます。

 次の演舞場で古典をやっていくことも十分考えられたことではございますが、やはり團十郎という名跡は古典を継承していくということは第一でございますが、初代團十郎から特に9代目團十郎あたりまでは新しいことを作り上げていくというところに信念があったところもございます。そういったことも継承しないといけない。ということで、新しいことに成長していく姿を、早々にご覧入れようということで。團十郎だからといって、守りに徹するわけでもなく、きちんと攻め続けられる姿勢を開口一番からやりたいと思いまして、團十郎としてこの演目を選定させていただきました」

――前回と内容は変わるのか。

海老蔵「変わります。私は実盛を1役の予定です。私がやっていた、大立ち回りがある義賢。劣勢の源氏が態勢を整えるために源氏の白旗を守り抜く、旗印を守り続ける、それを一番最初にやったのが木曽義仲と血のつながった義賢なんですね。それを今回は、宮舘くんができるかなということで。宮舘くんが急きょ、義賢やりたいですということで。お譲りしようかと思ってます」

宮舘「……そうみたいですね。え、本当ですか?」

海老蔵「頑張って」

――宮舘は今回のことをどの程度聞いている。

宮舘「えっと、今ここにいらっしゃる皆さんと同じタイミングですね。今、はい。頑張る……?」

海老蔵「もしくは楽しんで」

宮舘「えっと、早急にお稽古の方を始めたいと思います」

――今回は3年ぶりに海老蔵と共演。

宮舘「そうですね、気持ちの整理がつかないですね。3年前はまだジャニーズJr.としてデビュー前にご一緒させていただいて、そこからデビューさせていただいていろんなことを経験してきました。メンバーにも『頑張ってね』とか『絶対見に行くからね』とか言われながら、今こうやって記者会見という場に立たせていただいて、役を知る……。気持ちの整理がつかないですね。心境はもう『頑張ります』としか……」

海老蔵「ちなみに、前回ご一緒させていただいたときに私の義賢は少しご覧になったことはありますか?」

宮舘「はい、もちろんでございます」

海老蔵「あのままは難しいけど、あれに近しい形になったら、より宮舘さんがよく輝けるかなと思いまして。つまり、2役」

宮舘「ふたやく……?」

海老蔵「……ということになりそうです。あれ、これは知らなかったですか?」

宮舘「はい」

海老蔵「じゃあ、初めてお話しました」

宮舘「あの、前もって言ってください!」

海老蔵「先ほどまで、裏ではね、この3年間の過ごし方ですとか(を話した)。逆になにも聞かれなかったので、知っているのかなと」

宮舘「聞いたら教えてくれた……?」

海老蔵「もちろん」

宮舘「じゃあ聞いておけばよかった……」

――前回、宮舘は義仲を演じた。今回の2役は義仲と義賢ということか。

海老蔵「親子、父と子なんです。それをご自身でやる。歌舞伎ではよくあることなんですけど、やはり段階を踏まれていますよね。Jr.の時代に義仲をお勤めになって。そしてSnow Manとしてデビューなされて3年が経って、さまざまなご経験をなされて。今度は歌舞伎を本気でやろうというところでございますから。歌舞伎はよく自分で親子の役だったり、恋人同士も自分で演じたり、殺されたり殺すのも1人で演じたりする場合もある。今回は親子を“だて様”にやっていただくということで」

宮舘「すごい。今、聞きました? 皆さん。『だて様』と呼んでいただきました」

海老蔵「そう呼ばれているんですよね」

宮舘「はい、ファンの方にはそう言われております」

――海老蔵の團十郎襲名プログラム。感じるところはあるか。

宮舘「貴重な経験をさせていただく。僕自身も歌舞伎が好きですし、時代ものに触れるということは夢に思っているので。本当に3年前もいろんなことをいろんな経験を教えてくださった方に、その成長も見ていただく気持ちで、宮舘涼太個人としてもお力添えできたらという気持ちです」

――前回、宮舘からどんなものを感じたか。

海老蔵「お稽古の時と初日、千秋楽に向かっていく姿はずっと舞台袖で拝見していたわけです。稽古場では目の前で。伝統の古典に向き合おうという姿勢が、今の若い方々にあまり見ないような真っすぐで、妥協も手抜きももちろんない。自分に甘いようなこともみじんもない。そういう自分の向き合う姿勢は稽古のときに『すばらしいな』と感じました。

 ですから、それは当然いい部分。それゆえに、緊張ですとか、固定観念ですとか、『こうしなくちゃいけない』というものも同時にお生まれになっていたと思うんですね。そういうものが自分の体に束縛をするというか。硬くなったり、難しいことになっていくわけです。それと戦っている宮舘さんを、稽古中、僕は見ていました。『そうじゃなくていいんだよ』と言おうと思いましたが、それを経験されている方がいいと思ったので、言わなかったです。今日まで言ってなかったですよね」

宮舘「そうですね。(どう思った?)いや、感情がぐちゃぐちゃですよね。2役を今聞いて、成長をずっと見守ってくださって。うれしさもあり、今後の課題も見つかるかなという気持ちですね」

――宮舘に望むものは。

海老蔵「望むもの、期待するものは私がするべきではなくてお客さまが求めるもの。宮舘さんには宮舘さんのやり方がありますから。Jr.のときからもそうですし、デビューしてからも一生懸命生きている姿がある。それに対して、私はおこがましいのでそんなこと言えません。『どうやって役を理解してくるのかな』とか『どうやって向き合うのかな』を拝見して、僕も勉強したいと思っています」

――役について説明できることはあるか。

海老蔵「うーん。長くなりますね。それは稽古場に入ってからかなと思います。今とは価値観が違いますが、一族を守るためにはなくてはならない源氏の白旗を、命をかけて次の世代に渡したい。でも、次の世代だってそのときはまだこの世の中にいないんですよね。それでも執念に似た強い心から、それを残していく義賢。それを受け継いでいく人たち。それを守る人たち。その中で、新しく生まれる生命がまたご自身のお役(義仲)でもあるということ。このくらい話せばなにか伝わるかなと思います」

宮舘「このお話の中でも、すごく大事な役だなというのは感じましたし、本当に今知ったこと。すぐ帰って勉強したいという気持ちです」

――前回の公演のときに海老蔵から学んだことは。

宮舘「舞台に挑む姿勢です。僕らSnow Manも舞台はやらせていただいていますが、1人で立たせていただくことはなかなかなかったので、どうなるかわかりませんが、舞台に挑む支度であったりだとか、舞台に上に立つ1人の表現者としての姿勢だったりを学ばせていただきました。

 (具体的には?)オーラがすごかったですね。何役もやられるじゃないですか。3年前、僕らはまだ1役にがむしゃらにやらせていただいただけ。何個も役を変えながら物語を進ませていくという姿に、すごく衝撃を受けました」

――Jr.だった当時からデビューした現在までに積み上げてきたものは。

宮舘「舞台に生かせそうなことですか……?」(海老蔵に視線で助言を求める)

海老蔵「いや、一緒に住んでたわけじゃないから(笑)」

宮舘「やはり経験はJr.のころよりかはさせていただいているのかなと思います。人前に出て、1人の宮舘涼太という表現者としてエネルギッシュに伝えられるものを日々探して3年間活動してきた。そういうものを見せられたらなと思います」

――メンバーには報告したか。

宮舘「みんながいるタイミングで発表させていただきました。『よかったね』と。もともと、僕が歌舞伎とか時代劇に触れたい、そういうお仕事をしたいということをメンバーも知っているので、『やっと形になって実現できるね』という言葉をいただきました」

――歌舞伎に挑戦する意味や価値をどう感じるか。

宮舘「今、僕は29歳なのですが、僕が歌舞伎を知ったのが約10年前の『滝沢歌舞伎』という作品。力強さがあるというか。力強さの中に、役によって繊細さもあり、所作の部分ではすごく体幹を使うんですよね。なので、芯が通っていないとできないなと。僕自身はいろんなお稽古をさせていただくときに、自分の夢に向かっていく修業の場だという感覚で歌舞伎に挑戦させていただいております」

――公演直前の12月にはグループのコンサートも多く予定されている。稽古との両立は。

宮舘「今ライブツアー中ということもあり、その中でやらせていただくので、大変だとかは一切思っていないです。自分のやりたいことを存分に楽しみつつできたらなと思っています」

――宮舘に期待することは。

海老蔵「お言葉を拝聴していると、歌舞伎や時代劇に挑戦したいということで。昨今、時代劇がずいぶん衰退しているのではと感じているるところも個人的にはございます。その中で歌舞伎というものを経験して宮舘さんのような方が時代劇に挑戦していくのは、歌舞伎ももちろん伝統文化ですけども、時代劇も代々皆さんが親しんできた日本の娯楽の1つですよね。それが継承されていくことは、可能性が広がる。この公演で期待するとか望むというよりも、こういうことを経験した上でご自身のやりたいことの振れ幅がより大きくなることを、期待という形にさせていただいて。いい時代劇のお役がくるといいなと。そのときは、逆に私を使っていただいて。よろしくお願いします」

――團十郎になって初めて迎える新年の公演で、アルファベット表記の「SANEMORI」を上演する。團十郎になっても新しいものを生み出すことを忘れないという側面の表れか。

海老蔵「祖父である11代目團十郎、12代目團十郎の父は古典の中で生きてきた時代が多くございますよね。しかしながら、11代目團十郎も、12代目團十郎もその時代の新しいことには挑戦しているわけです。明治まで一気にさかのぼると、9代目團十郎は『活歴物』というもので、歌舞伎でも洋服で演じているものも多くございます。もっとさかのぼると、『ケレン』という芝居も4代目あたりがしっかりやっている時代もある。

 土台となることが古典であったり、歌舞伎十八番であったり、新歌舞伎十八番であったり、時代物であったり世話物であったり、俗に言う書き物だったり。そういう、当然團十郎としてやらなくちゃいけないお仕事が多いのはわかっています。しかしながら、それだけで凝り固まってしまうことが團十郎としての存在意義なのかということは考えなくてはいけない。新しいことに挑戦することを忘れていない、『海老蔵のときにもやっていたけど、團十郎としてもそういうことをやっていくんです』という所信表明ということに1つ捉えていただきながら。

 だからと言って、新しいことに偏るわけではなく、その次は古典の予定が入っていますし、團十郎襲名は大阪・京都・名古屋・福岡、そして日本全国津々浦々を回らさせていただきます。それは古典を中心にやっていく予定でございますから、どうしても古典が多くなる。ですからそういうことも考えて、忘れていないということもあります」

――襲名後、「ABKAI」に代わる企画は。

海老蔵「考えていないですけど、『DANKAI』とかね。これから考えます。自分のことではなく、次の世代、次の次の世代。また、うちのせがれや娘の世代。こういう人たち、未来に対しての公演形態を考えていく方向にシフトチェンジしたいと思っています。

 ABKAIはどうしても、“新しいことをやっている海老蔵”“走り続けている海老蔵”がテーマだったと思うんですけども。それに、海老蔵だからABKAIだったとお思いかもしれないんですが、僕がAB型だからABKAIかもしれないですよね(笑)。AB型を尊重する場合は、團十郎になってもABKAIが続くのかなと思いつつも、誰も理解してくれないので。名前はどうであれ、未来につながるような形を今後は考えていく立場、年齢になっているんだなと思っています」

――歌舞伎にまだ触れていない人たちにも広めていきたい。

海老蔵「日本人もそうですし、海外の方にも日本という国を知っていただく上で、歌舞伎のみならず、お茶もお花もお能も狂言も落語もさまざまございます。海外の方々に『日本にはこういう文化があるんですよ』ということを示していけるような人間になれるように、團十郎という名前もありますし、ちょっと考えていきたいと思っています」

――海老蔵とジャニーズはこれまでも共演してきた。

海老蔵「皆さんに共通していることは“真面目”。どんな方も根が真面目です。油断しない人が多いですね。必ず向き合います。僕も中学、高校のときからJr.の方々と学校が一緒だったことがあるんですね。その方々の生活を見ていると、ダンスのレッスン、歌のレッスン、コンサートのバックダンサー……。そういうスケジュールはかなりハードに皆さんお勤めだなと存じ上げていまして。その中で基本的になるもの、人間の芯の根幹の部分を、ジャニーズさんは環境の中で各々育て上げられているんだなと。そういう部分がファンの方々を魅了しているんだなとよく感じています。見た目が華やかできらびやかに見える方々ばかりですけれど、やはり日ごろから積み重ねていることは並大抵ではないということを日々、ジャニーズの方とご一緒するたびに感じています。それが一番の魅力かなと思います」

――これから歌舞伎の舞台に立つために新たに始める稽古はあるか。

宮舘「3年前も1からやらせていただいたのですが、また濃度の濃いといいますか。求められているものも大きいと思うので、また1から……」

海老蔵「1からじゃない方がいいんじゃないの? (前回)1からやったんだから、せめて5くらいから始めた方がいい」

宮舘「では5から始めようと思います」

――前回から続けていることは。

宮舘「『滝沢歌舞伎』という作品を通じて触れる機会もあるので、お着物も着ていることが大事かなと僕は思っているので。家でバスローブのところを……」

海老蔵「家で? 家で浴衣なの? 温泉のようですね」

宮舘「……にしていければなと思っています」

海老蔵「いければ!?(笑)フォローするわけじゃないけども、今回この3年間で歌舞伎に再度挑戦するということは、時代劇とか歌舞伎とか古典に魅力を感じている精神がずっとつながっていたと思うんですよ。でなければこの企画は成立していません。ご自身の意思がずっと継続されているんです。具体的に踊りをやっていたとか、そういったことは存じ上げませんけども、気持ちがつながっている。ですから、私の関係者にもときたま話をしにいったりとかもよく聞いていましたので、やはりご本人の気持ちが継続していることがなによりも大事なことかなと。なにかのお稽古を続けることはまた次の段階。その気持ちがあるということは、伝統側の人間としては、多くの日本人の方々が伝統なり文化なりに携わってもらえたらうれしいなと思っています。

(宮舘が)歌舞伎というものに興味があるというのはよく聞いていましたよ。僕ではなく、僕の周りの人間に話していることは僕の耳にも入っていましたので。たぶんこの企画は私も望んでおりましたが、宮舘さんがもっとも望んでいた形の1つになっているんではないのかなと思います。普段はSnow Manとしてみんなと一緒にやっていればいいわけですから。あえてここに挑戦するということは、ご本人の熱い思いがあったことを理解していただけるのが一番いいのではないでしょうか」

――宮舘も望んでいた公演。

宮舘「望んでしかいませんでした」

海老蔵「……ちょっとおもしろく聞こえるのはなんで?(笑)」

宮舘「僕、そういうことがあるんですよ。僕は真面目に言っているつもりなんですが、なぜか笑われてしまう」

海老蔵「そうだね、ちょっと違って聞こえるね」

宮舘「じゃあ……。あの、マジで望んでました」

海老蔵「まあ、届かないけど伝わりました」

宮舘「届け……!」

――はかま姿を自分で見てどう感じたか。

宮舘「ついに始まるんだなという気持ちでしたね。この紋所も雪の結晶になっております」

海老蔵「Snow Manですね」

宮舘「これは3年前に参加させていただいたときに着せていただいたものと同じですね。僕含めて9人分のSnow Manの思いが込められています」

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