佐藤浩市&横浜流星がW主演 沢木耕太郎の小説「春に散る」を映画化、2023年公開

俳優の佐藤浩市と横浜流星が、映画「春に散る」でダブル主演を務めることが5日、分かった。併せて2023年の公開が決定し、主演の2人と監督のコメントが到着した。

佐藤浩市(左)と横浜流星【写真:(C)2023映画『春に散る』製作委員会】
佐藤浩市(左)と横浜流星【写真:(C)2023映画『春に散る』製作委員会】

瀬々敬久監督「若者像にぴたりとはまる気がしています」

 俳優の佐藤浩市と横浜流星が、映画「春に散る」でダブル主演を務めることが5日、分かった。併せて2023年の公開が決定し、主演の2人と監督のコメントが到着した。

 本作は朝日新聞での連載時から大きな話題をよんだ沢木耕太郎の小説「春に散る」(朝日新聞出版)を映画化。ノンフィクションの傑作「深夜特急」三部作をはじめ、数々のベストセラーを世に放ってきた沢木が、半生をかけて追い続けてきたテーマは、ボクシングを通じて“生きる”を問うこと。新田次郎文学賞を受賞した「一瞬の夏」(1981年)、「カシアス」(2005)に続き、「春に散る」はその集大成ともいえる作品となっている。

 主人公は、不公平な判定で負けアメリカへ渡り40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一と、偶然飲み屋で出会い、同じく不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾。仁一に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は仁一にボクシングを教えて欲しいと懇願。やがて2人は世界チャンピオンを共に目指し、“命を懸けた”戦いの舞台へと挑んでいく。

 翔吾を導くことで人生に尊厳を取り戻そうとする仁一を演じるのは、日本映画界きっての名優、佐藤。その佇まいや目線で、人生感をまとった男の生き様を、絶対的な存在感をもって体現する。

 クランクインを前に佐藤は「生き様があっても生き方が見えない漢たちが、自身のこれからと最後を賭けて同じ船に乗る。例えそれが泥舟だと判っていても。世代が違うと異人種であるかのように距離を置く人達もいる昨今、世代を超え拳ひとつで明日の階段を登ろうとする漢たちの映画になると信じて臨みます」とコメント。

 仁一と出会い、諦めかけていた夢に再度挑戦する、翔吾を演じるのは、同世代俳優では人気・実力ともに抜きんでた存在の横浜。熱き青春の血潮がほとばしる情熱を、格闘技経験も豊富な横浜流星が、肉体を通してどう表現するのか。これ以上ないほどの配役に期待が高まる。

 横浜は「僕は人生を生きてく上で、一度しかない人生だから後悔しないように今を全力で生きようと心に刻み生きています。脚本を読んだとき、シンパシーを感じましたし、燃えつきることができず後悔し、ボクシングしかない人生の2人が出会い、もう1度命を懸けて挑戦する姿は心を揺さぶられました。ボクシングをできることや、監督、プロデューサーから熱い想いのつづった手紙をいただき、胸が高鳴り、出演したいと思いました」とコメント。

 続けて、撮影に向けて「今ボクシングを一から学んでますが、芝居と格闘技、心から好きなものを仕事でできる幸せをかみ締めながら、翔吾が言っていたように今しかない一瞬の光をつかめるよう、燃え尽きます。2人の命を懸けた挑戦をする姿を見て、皆さんに何か挑戦する勇気を与えられたら良いなと思っています」と意気込んだ。

 監督を「糸」、「ラーゲリより愛を込めて」などの瀬々敬久が務める。「64~ロクヨン~」をはじめこれまでに何度もタッグを組んできた佐藤と、初めて起用した横浜。2人の生き様をスクリーンに映し出す。瀬々監督は「10代後半から20代前半にかけて沢木耕太郎さんのノンフィクションのいくつかを夢中になって読んだ経験があります。それらは、『老人と青年』が主人公として描かれ、『命と使命』についての葛藤の物語であり、『永遠と一日』の感受性が、常に描かれていました。老齢に差し掛かってしまった今、もう一度あの時間を『春に散る』を通して生き直してみたいと思っています。佐藤浩市さんと横浜流星さんという2人の役者に託して」と期待を語った。

 主演の2人について瀬々監督は、「昭和から映画の現場のさまざまを生きて来た佐藤浩市さんの繊細と豪胆。そして今回は、亡父、三國連太郎さんや息子の寛一郎くんとの実人生も、劇中の横浜流星さんとの疑似父子の中に深い影を落としてくるような気がしています。一方の横浜流星さんにはずっと以前から注目していました。彼の一本気なまな差しが、現在この瞬間だけを生きようとする若者像にぴたりとはまる気がしています。2人のそういう今の佇まいと立ち向かい方を映画に刻み残していきたいと思っています。そういえば、沢木耕太郎さんの著作のタイトルを思い出しました。『流星ひとつ』、今回のキャスティングもまた、沢木耕太郎さんに導かれたのかもしれません」と印象を明かした。

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