解体寸前で救い出した1台 学生時代から乗り続けて40年、今もレースで“現役バリバリ”
「これは、僕にとっての戦闘車ですね」。学生時代から40年、ずっと同じ愛車を大事にし続けるオーナーがいる。「日産ブルーバード クーペ1600SSS(KP510)」のオーナー・鈴木重人さんだ。ひときわ目を引く、サファリブラウンのカラーリングの名車クーペは、今もレース出場で現役バリバリだ。
学生時代は自動車部に在籍 独特ルール「フィギュア」にも挑戦
「これは、僕にとっての戦闘車ですね」。学生時代から40年、ずっと同じ愛車を大事にし続けるオーナーがいる。「日産ブルーバード クーペ1600SSS(KP510)」のオーナー・鈴木重人さんだ。ひときわ目を引く、サファリブラウンのカラーリングの名車クーペは、今もレース出場で現役バリバリだ。
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学生時代に自動車部に所属していた鈴木さん。19歳の時に、中古で4万円で手に入れた。「当時、学生でもバイトで買えると宣伝されていたトヨタのスターレットが、確か新車で75万円ぐらいだったと思います」と振り返る。入手時にすでに約10年たっており、「解体に出る予定で、スクラップ手前の1台だったんです。でも、レースで走る戦闘力はしっかりあったんですよ」。
そこから足回り、アンダーガード関係を中心に、ヘッドランプをハロゲンタイプに新調するなど自らの手で整備を施した。ネットのない時代。「雑誌に載っているパーツの個人取引欄でこまめに探して、電話でやりとりして買いました。ショップで新品もありましたが、学生だけに中古を探し回って。先輩や知人からもらった部品も使っています」。
学生時代は愛車を駆って、ラリーやダートのレースに出場。独特なルールのフィギュアにも挑戦した。
丈夫な作りに助けられたエピソードも。学生時代に長野にスキー旅行に出かけた時だ。「夜に出発して、タイヤにチェーンを付けて国道からスキー道に上がると、除雪されていない新雪が積もっているような道路状況でした。両脇にポールが見えて、ただひたすらその中を走るだけ。それでもしっかり駆動して滑ることなく、朝方に宿に到着することができました。『よく来たね』と言ってもらえて。でも、宿の人がタイヤを見て、『あっ、これ、チェーン逆に付けてるよ』って(笑)。そうしたら帰りは途中でエンジンのプラグの一部から水漏れをしてしまって、たまたまマフラーの穴を埋めるパテを持ち合わせていたんです。それで埋めてみたら、東京まで帰ってこれました(笑)」と懐かしそうに語った。
その後は大きな故障はなく、これまでにエンジンのオーバーホールなど必要なメンテナンスを行ってきたが、現存で残せる部分は残している。2台持ちで、大事に乗ってきた。丈夫で長持ちが一番の魅力といい、「タフな相棒です」。大磯ロングビーチで年2回開かれる旧車によるジムカーナ選手権にも参加し、レース競技の醍醐味(だいごみ)を愛車と一緒に味わっている。「タイムトライアルではどうしても輸入車が強いのですが、どうにか抜くことができるように、チャレンジしているんです。これが今の楽しみです」と語る。
旧車だからこそ、クルマとの“付き合い方”がより多く学べるという。「クルマに乗る人間がうまく扱うようになること。今のクルマはどうも、人間が乗せられているだけに思えます。どう乗ったら長持ちするのか。実際に自分でいじってみるうちに分かることでもあります。気を付けて乗って、手をかけ続けることで、愛着も沸いてきます。人間をベースにクルマがある。これが本当のカーライフなのだと思っています」。それに、元手が4万円だ。「まあ、その何百倍のお金と労力をかけて乗り続けていますが(笑)、新車を何回も乗り換えるより、安上がりだと思っていますよ」。学生時代からの相棒とこれからも走り続けていく。