【週末は女子プロレス♯69】スターダム「5★STAR GP」10・1最終戦はどうなる!? 注目ポイントに迫る

スターダムのシングルナンバーワンを決めるリーグ戦「5★STAR GP(ファイブスター・グランプリ)」が本稿掲載の10月1日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ・メインアリーナ(調布市)にていよいよファイナルを迎える。

史上最年少優勝を狙うAZM【写真:スターダム提供】
史上最年少優勝を狙うAZM【写真:スターダム提供】

「5★STAR GP」がファイナルを迎える

 スターダムのシングルナンバーワンを決めるリーグ戦「5★STAR GP(ファイブスター・グランプリ)」が本稿掲載の10月1日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ・メインアリーナ(調布市)にていよいよファイナルを迎える。

 このシリーズは旗揚げ翌年から開催され、今回が11回目。今年は昨年の20人を超える史上最多の26選手がエントリー。7・30&31の東京・大田区総合体育館2連戦でスタートし、新潟、長野、島根、岡山、大阪、静岡、香川、広島、神奈川、愛知と全国各地をサーキット。シリーズ中にはタイトル戦中心のビッグマッチを愛知県体育館、若手中心の別ブランド「NEW BLOOD」を開催するなど、リーグ戦のない大会もおこなわれており、そのスケールは他団体の追随を許さない。そして、全21大会(公式戦が2試合組まれた9・25高田馬場「SHOWCASE」を含む)のフィナーレを飾るのが、初進出となる10・1武蔵野の森総合スポーツプラザ大会なのだ。

 リーグ戦はレッドスターズ、ブルースターズの2ブロック制で行われ、ひとり12試合を闘い抜く。それぞれのブロックの最高得点者が頂点を争うのだが、最終戦でも公式戦が組まれているため、誰が決勝に進出するかは直前まで分からない。

 10月1日を待つばかりとなった9・25高田馬場終了時点では、レッドスターズで林下詩美、AZM、中野たむ、舞華、ひめか、朱里の6人が7勝4敗14点で横一線に並ぶ大混戦。これに次ぐのが世羅りさの6勝4敗1分13点である。一方のブルースターズでは、ジュリアが7勝3敗1分15点でトップ。続いて葉月、スターライト・キッド、鈴季すずの3人が7勝4敗14点、その次に岩谷麻優、上谷沙弥、MIRAIが6勝4敗1分13点でジュリアを追っている形だ。

 最終戦ではレッドスターズで朱里vs世羅、林下vsコグマ、AZMvs鹿島沙希、中野vsSAKI、舞華vsひめか、ウナギ・サヤカvs向後桃、ブルースターズで岩谷vsキッド、ジュリアvs鈴季、葉月vs渡辺桃、上谷vs壮麗亜美、飯田沙耶vsMIRAI、なつぽいvs白川未奈が組まれており、最後の最後まで予断を許さない。公式戦は15分1本勝負で、時間切れ引き分けも頭に入れておかなければならないだろう。いずれにしても、優勝の可能性がある選手が頂点を極めるには、一日2試合(決勝戦は時間無制限1本勝負)の過酷な闘いに臨まなければならないのだ。

 昨年度覇者で史上初の連覇を狙う朱里は、“デスマッチ&ハードコアユニット”プロミネンスのリーダー、世羅と対戦。このカードは5・28大田区で行われたワールド・オブ・スターダム王座戦のリマッチで、セコンドのタオル投入による屈辱のTKO負けを喫した世羅にとっては雪辱戦。優勝は絶望的ながらも朱里の足を引っ張ることにでもなれば、プロミネンスとしてもスターダムでのネクストにつながるはずだ。5★STARでは過去に赤いベルトの王者の優勝、また複数回の制覇を成し遂げた者はいない。初の快挙に向け、最短距離にいるのが“モノが違う女”朱里だが……。

 こちらも2度目の優勝を視野に入れている“ビッグダディ三女”詩美は、コグマとの対戦だ。意外にもシングル初対決だが、今リーグ戦は初顔合わせが続出し、それだけに番狂わせも数多く発生している。しかも相手が“ハイスピードジーニアス”コグマとなれば、詩美には細心の注意が必要だろう。

 史上最年少優勝を宣言したハイスピード王者AZMは、曲者中の曲者である鹿島沙希との対戦だ。アーティスト・オブ・スターダム(6人タッグ)王者でもある鹿島は一発大逆転の丸め込み技、その名も起死回生を最終兵器にこれまで何度も予想外の白星をゲットしてきた。6人タッグのタイトル戦はもちろん、5★STARでも起死回生が冴えわたり、今シリーズでの白星は詩美、中野、舞華、朱里、世羅(5勝6敗)とブロックの上位選手ばかり。誰に勝っても誰に負けても不思議ではない鹿島の罠にはまらないよう、AZMには最大級の警戒が求められる。ちなみに、10・1当日は、AZM20歳の誕生日だ!

中野たむと林下詩美の一戦は林下に軍配【写真:スターダム提供】
中野たむと林下詩美の一戦は林下に軍配【写真:スターダム提供】

ジュリアvs鈴季の遺恨決着戦、勝った方が優勝に近づく大一番

 初優勝をもくろむ元ワンダー・オブ・スターダム王者・中野はガールズプロレスリングユニット、カラーズのリーダーSAKIと対戦。カラーズは中野率いるコズミックエンジェルズとの連合軍を結成したため、この試合はユニット同門対決の意味合いも含まれている。白いベルトで独自の世界観を構築してきた中野だが、5★STARやシンデレラ・トーナメントなど、シングルの祭典には不思議と縁がない。ひとりの対戦相手との人間ドラマを背景に情念を傾けるファイトで支持を得てきただけに、試合ごとに相手の変わるシリーズは苦手ということか。とはいえ、今年に関してはスタートから好調で、着実に星を積み重ね得点を上げてきた。終盤での連敗は気になるが、SAKIとの初シングルでドラマを作り出せるかが決勝進出へのカギとなるだろう。また、仲間を引き連れスターダムに乗り込んできたSAKIはリーグ戦で5勝6敗と一つの負け越し。なんとか五分でリーグ戦を終え、カラーズ代表としてのメンツを守りたい。

 そして、舞華vsひめかの直接対決も見逃せない。ドンナ・デル・モンドでタッグを組む“舞ひめ”が決勝進出のかかる場面で同門対決とは、これ以上ない絶好のシチュエーションだ。パワーとパワーのぶつかり合いが期待されるが、初シングルだけに予想は難しい。舞華は連敗スタートも、徐々に盛り返し中盤の5連勝が効いて初の決勝進出が見えるところまでやってきた。9・24高田馬場で向後に不覚をとったものの、気持ちの切り替えはできているはずだ。一方のひめかは初参戦の2020年に詩美と決勝を争い、今年の開幕戦ではその詩美を破っているだけに今度こそはとの思いは大きいだろう。どちらが優勝してもスターダム参戦で初めてのシングルでの栄冠となる。舞華は、ジュリアとのDDM同門決勝戦を望んでいるが……。

 一方のブルースターズも葉月独走状態から混戦に突入。“スターダムのアイコン”岩谷は、キッドとの対戦だ。両者とも14点ながら、同点の場合、直接対決の勝者が上位となるため、キッドが岩谷に勝ったとしてもジュリア、鈴季との直接対決で敗れているため、決勝進出の可能性はなくなった。ジュリアと公式戦で引き分けている岩谷だが、たとえキッドに勝ったとしても鈴季がジュリアに勝てば逆転される。いずれにしても、岩谷とキッドの一騎打ちは“裏切られた岩谷”と“裏切ったキッド”の遺恨も含まれているだけにただでは済みそうもない。キッドは岩谷のSTARSから大江戸隊に移籍し急成長、大きな影響力を持つまでになった。過去のシングルでは岩谷の全勝だが、今年は違う?

 今シリーズでスタートダッシュに成功、7連勝で一時独走状態だったのが、葉月である。葉月は垂直落下式ブレーンバスターを武器に白星を積み重ねてきた。しかし、上谷からの黒星を機に、今度はまさかの4連敗、公式戦も残すところあとひとつとなった。最後の相手は大江戸隊の桃、昨年の準優勝者である。が、今年はすでに敗退が決定。それだけに葉月の足を引っ張ることだけを考えてリングに上がってくるのではないか。葉月としても7連勝からの5連敗では終われない。まずは桃戦で2点を獲得し、ブルースターズのほかの試合の結果を待ちたい。また、葉月の快進撃を止めた張本人の上谷だが、最終戦で壮麗に勝っても15点どまり。ジュリアとの直接対決に9・24高田馬場で敗れているため、現・ワンダー・オブ・スターダム王者の優勝もなくなった。

 開幕戦でジュリアを倒し波に乗ったMIRAIは、春のシンデレラ・トーナメントを制覇しており、日本人初の春夏連覇を目標とした。最終戦の相手は飯田沙耶。直接対決では葉月に敗れているものの、岩谷、ジュリア、鈴季には勝っている。飯田戦で手堅く2点を加え、ライバルの状況を見守りたい。

 そして、ジュリアvs鈴季の遺恨決着戦である。ジュリアのアイスリボン退団で裏切られたとの思いを募らせたのが鈴季だった。その後、鈴季は世羅らとプロミネンスを結成、デスマッチ&ハードコアをテーマに自身のプロレスを貫いている。そんななかでプロミネンスがスターダムに宣戦布告。鈴季の狙いはジュリアひとりにあった。が、シングル実現までに鈴季はスターダムの選手とも対戦する機会を得て、ジュリアのいる団体に侵攻、5★STAR GPに世羅とともにエントリーされた。が、リーグ戦開始当初はまさか両者が決勝進出をかけて闘うことになろうとはまるで予想がつかなかった。というのも、鈴季は開幕2試合を新型コロナウイルス陽性判定で欠場、出遅れてシリーズに合流も3連敗スタートで大きくつまずいた。ところが、怒涛の9月反攻で6連勝。あれよあれよという間に白星を重ね、ジュリア戦をほとんど対等の立場で迎えることになったのである。プロミネンスの登場当初から「すずとの試合には最高の舞台を用意する」と言っていたジュリアだが、鈴季は“公式戦のひとつ”に怒りが増幅、ジュリアはスターダム最強を決めるリーグ戦を侮辱されたと受け取った。しかしながら、勝った方が優勝に近づく大一番になったことで、「最高の舞台」と言っていいだろう。果たして、この「最高の舞台」で勝った方がそのまま頂点をかっさらうのか、それとも……。

 2022年度の優勝者決定まで、待ったなしだ!

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