改造バイクを売って結婚資金に 子離れ後に「いつか乗りたい」極上車を購入したワケ

ライフステージの変化によって、一度は離れた大型バイク。子どもの頃からの情熱を取り戻し、今では仲間や先輩たちとツーリングを楽しんでいる銀行マンがいる。カワサキW1のオーナーズクラブ「クラブロク・ゴー・マル」メンバーの橋本隆司さん(49)だ。自身の生まれ年と同じ1973年式のカワサキ650RS(W3)を駆る、充実バイク人生とは。

橋本隆司さんは“同い年”のカワサキ650RS(W3)が愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】
橋本隆司さんは“同い年”のカワサキ650RS(W3)が愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】

ヤマハXS250が人生のキーポイント 現在の愛車は1973年式カワサキ650RS(W3)

 ライフステージの変化によって、一度は離れた大型バイク。子どもの頃からの情熱を取り戻し、今では仲間や先輩たちとツーリングを楽しんでいる銀行マンがいる。カワサキW1のオーナーズクラブ「クラブロク・ゴー・マル」メンバーの橋本隆司さん(49)だ。自身の生まれ年と同じ1973年式のカワサキ650RS(W3)を駆る、充実バイク人生とは。

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 もとも中学生の頃からバイクが大好きで、免許を取ってからは原付やスクーターに乗り始めましたが、大学時代にはアメリカンフットボール競技に没頭しました。シーズン中は固定のバイトができず、趣味と実益を兼ねてシーズンオフの期間に、動かないバイクを引き取って、自分で修理して販売したことが古いオートバイに興味を持つようになったきっかけなんです。

 アメフットチームの先輩が、卒業と同時にバイクを譲ってくださって。それで、最初にもらったヤマハXS250が人生のキーポイントになりました。タンクも自分でオレンジ色に塗り替え、当時はやっていたSRみたいに自分で改造したんです。電装からホイールから何からやって、エンジンも250CCから400CCに積み替えて。原点ですね。結局、友人のバイクを引き取るなどして、最大12台ぐらいになりました。ほぼ独学で、雑誌や本で研究をして実際にやってみて、修理や整備を覚えていきました。愛車遍歴は他に、ヤマハのXT250、SR400、FZR250、ホンダのLEAD90、スペイシー125、ヤマハのマジェスティ125です。

 バイクは大好きでしたが、就職して、26歳で結婚しました。まだ若かったので結婚費用がどうしても必要で、大事にしていたのですが、その改造XS250を売って結婚資金に充てました。子どもも2人生まれて、大型バイクには乗らなくなり、いったん離れました。その十数年の間もビッグスクーターには乗っていたのですが、大型バイクはいったん卒業といった感じでした。

 子どもの行事には積極的に参加していたので、いま高校2年の長男が小学校までは土日の行事にも出席していました。長男が中学に入ってからは、少しずつ自分の自由な時間を持てるようになってきました。

橋本隆司さんは「クラブロク・ゴー・マル」の活動にも力を入れている【写真:ENCOUNT編集部】
橋本隆司さんは「クラブロク・ゴー・マル」の活動にも力を入れている【写真:ENCOUNT編集部】

「父が『いいバイクだ、宝物だ』と言っていたものなんです」と教えてくれました

 バイクから離れていた時も、ずっと憧れていた1台があったんです。1973年式のカワサキ650RS(W3)。高校の時、バイク雑誌の表紙で見て。「いつか乗りたいな」なんて思っていました。少し時間が持てるようになってきた8年前、ネットオークションでたまたま見つけたんです。カワサキW3を。その時は相場より高めに設定されていて、3回ぐらい入札が空振りになっていました。意を決して、出品者に連絡したんです。このW3は広島のオーナーが亡くなり、息子さんと娘さんが出品したものでした。「父が『いいバイクだ、宝物だ』と言っていたものなんです」と教えてくれたんです。交渉して、オークションが終わった後に、直接やりとりして買わせていただきました。こうして巡り会ったのが、今の愛車なんです。

 ここから、今僕が所属している「クラブロク・ゴー・マル」にもつながりました。もともと、「陸王」のレストアで知られ、カワサキWシリーズの部品ストックや整備で“神様”と呼ばれている整備士の森誠さん(71)が顧問を務めていらっしゃいます。僕が高校の時に一目ぼれしたW3が表紙の雑誌に、森さんを取り上げたコーナーがあって、高校時代から森さんのことも知っていたんです。すごい人だなってずっと思っていました。

 いざW3を手に入れてみると、少し不調のところもあって、修理・整備の相談をしようと、当時の記事に書いてあった電話番号に電話して、森さんのところを訪ねたことが、オーナーズクラブに入るきっかけになりました。

 オーナーズクラブでは、修理・整備のプロの森さんに教えていただきながらも、会員メンバーで情報交換をし合っています。学生時代に独学で覚えたバイク整備の知識がこんなに役立つなんて。それに、W1シリーズのオーナーは、今は60歳以上の方が中心で、残念ながら亡くなったり、高齢になってバイクを降りられる方もいらっしゃいます。ここ何年かで若いオーナーも増えてきていますが、先輩方の知識と経験を受け継いで伝承することが大事だと思っています。微力ながら僕自身がそのお役に立てればと思い、活動を続けています。

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