徹底軽量化のレース車はなんと“通勤カー” 魅せられたドライバー「目立ちますよね(笑)」
マツダのコンパクトカー一筋で、競技用としても乗りこなすドライバーがいる。ベリーサのオーナー、平田朋也さんだ。徹底して軽量化を施し、「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」のレースに出場。たくさんのステッカーが貼られた深紅の1台は通勤用でも乗っている。愛車が放つ「不思議な魅力」とは。
ル・マン優勝車両787Bのデモ走行を見たことがきっかけ マツダ・ベリーサでMFCT&マツ耐に出場
マツダのコンパクトカー一筋で、競技用としても乗りこなすドライバーがいる。ベリーサのオーナー、平田朋也さんだ。徹底して軽量化を施し、「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」のレースに出場。たくさんのステッカーが貼られた深紅の1台は通勤用でも乗っている。愛車が放つ「不思議な魅力」とは。
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MFCTの公式サイトによると、JAF公認のタイムアタック競技会で、規定時間内にサーキットを1周するベストラップタイムを競うルール。「競技用に改造したクルマだけでなく、街中を走る全てのマツダ車が参加できることも特長です」としている。
もともとテレビでモータースポーツ観戦を楽しんできた平田さん。19歳で最初に買ったのが、ベリーサだった。デミオ、スズキ・ラパン、日産・ステージアといった候補がある中で、「中古屋さんで一目ぼれだったんです」。紫色のベリーサを手に入れた。
それから2年後、筑波サーキットに友人に誘われて行った時に運命的な出会いが。ル・マン24時間耐久レースでマツダが日本メーカーとして初めて総合優勝を達成した1991年の優勝車両787Bの実物のデモ走行が行われていた。会場では、MFCTのレースも開催されており、ベリーサの姿もあった。間近で目撃し、「自分のクルマでも走れるんだなと思ったことが大きかったです」。その後に、赤のベリーサを手に入れ、競技の道を歩み出した。
MFCTのアマチュア選手でもあり、参加型の2時間30分の耐久レース「マツダファン・エンデュランス(通称:マツ耐)」への出場経験もある。愛車には、出場大会の記念やメーカーなどのステッカーがド派手に貼られているが、普段の通勤でも乗っている。「目立ちますよね(笑)。でもクルマは乗ってあげないと不調に陥ってしまいます。毎日乗ってあげるのは、クルマにとっていいことなんです」と話す。
競技でいい数字を残すために、軽量化。トランクのカバーを外し、ナビを取り去った。カーラジオもスピーカーもない。ハンドルは一部を競技仕様に。6点式シートベルトを導入している。レース観については「この車は重くてパワーが少ないです。MFCTのクラス分けだと、遅い部類に入ります。正直優勝のチャンスはないです。それでも、僕としては自分のタイムを追求していて、自分との戦いを繰り返しています。前回の自分を超える、これしか考えてないです」。それに、「自分としてのコンセプトがあって、当初の装備を大事に、アップデートはしない、ということです。自分のタイムに挑戦しているので、仕様が変わらない中で、どれだけ自分の腕だけで勝負できるか。これがこだわりです」と強調する。
何がそこまでひき付けるのか。「このクルマには何とも言えない、不思議な魅力があるんです。オーラを放っています。僕の場合は、こんなにおしゃれなクルマなのにシンプル化を追求しています。オーナーさんそれぞれ不思議な魅力を感じて、それぞれの乗り方にこだわっています。この感覚は、ベリーサオーナーの共通項だと思っています」とのことだ。今後のレース生活に向けて、「僕ぐらいしかこのクルマで出場していないです。できる限り、やり続けていきたいです」と前を見据えている。