フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオなどで活躍する安東弘樹。TBS時代の2017年から現在まで「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務めるほどの車好きだ。数えきれないほどの車を試乗し、これまで所有した愛車は45台を誇る。そんな安東に、現在所有する愛車の魅力や、マニュアル車にこだわる理由を聞いた。（取材・文＝猪俣創平）

25歳人気女優のクルマ愛…免許はマニュアル取得、愛車はSUV（JAF Mate Onlineへ）

　安東は現在、「スズキ ジムニー」「ロータス エリーゼ」「メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン」と3台の愛車を所有している。これまで乗り継いだ45台の愛車も含めて、多くがマニュアル車だ。そのこだわりの理由は「運転していて気持ちがいい」からだそうだ。

「まず、回転を合わせる作業が必要になるんですけど、アクセルをちょっとふかして、減速したり加速したりするときも回転がピッタリ合ってクラッチを離してスパっとつながるときの感覚が楽しいんですよね。つまりマニュアルだと3つのペダルを駆使してスムーズに運転するというカタルシスがあります。何にも代えがたい魅力ですよね」

　たとえ高級車であろうと軽自動車であろうとも、その快感を同じように味わえるという安東。シフトレバーの操作時にギアが入る感触「シフトフィール」に、運転する気持ちよさが詰まっていると力説する。

「それぞれのギアのゲートに入る時の感触がいい方がより快感を味わえますね。1速から2速など、ギアチェンジする時にゲートに入れたときの感覚にメリハリがあると更に快感が味わえますし、楽しいんですよね。運転していて気持ちいいです」

　そんなシフトフィールの快感を抜群に感じられるのが愛車・エリーゼだ。シフトレバーを動かす身振りを交えながら、「すごく気持ちよくて、『カクン！』『カキン！』と入るところがいいんですよ」としみじみと語る。エリーゼを初めて運転した際に、シフトフィールなどにあまりにも感動して購入を決断したほどだった。

　また、エリーゼの特徴について、「いわゆるサーキットも走れますし、ワインディングロードも気持ちよく走れます。シフトフィールを楽しみながらたまにサーキットに行って、自分の運転の未熟さを知る事も頻繁にあります」と、自身の運転技術の向上にも役立てている。

　もう1台の愛車・ジムニーは、オフロードを楽しむ目的と、軽自動車であることから駐車場の狭い都内での走行に役立つという趣味と実益を兼ねた1台だ。デザインも「秀逸です。多分、歴史に残ると思います」とうなるほどお気に入りとあって、自身のYouTubeでは、実際に林道を走行する様子も公開している。

　3台目の愛車が、エリーゼと同じく輸入車にあたるEクラスオールテレインだ。

「メジャーなメルセデスですが、実はマニアックな車でエアサスが付いていて、オフロードのときは車高を上げて、高速道路を走るときは車高が下がるという、今はやりのSUVのテイストも兼ね備えたワゴンです」

　愛車はほとんどローンで購入しているため、新たに愛車を購入する頭金のために、これまでの“相棒”たちは泣く泣く手放してきた。全国どんな仕事現場であっても移動手段はもっぱら自ら運転する車であるため、かなりの距離を走ることになり、通常よりも早い年数で売らざるをえないケースが多いという。「日本市場は10万キロを超えると急に売れなくなるんですよ。だから、僕は新しく買う車の前の車を売らないと頭金が払えないので、売ることが必須です」。しかし、すでに8万5000キロほど走行しているEクラスオールテレインは、安東にとって珍しく車検を通したほどお気に入りの1台だ。

　愛車の特徴はディーゼルエンジンだ。「満タンなら給油せずに1000キロは走りますね。東京から福岡まで行けるので、これは非常に有難いです。日本人にとって最近までディーゼル車はなじみが薄くて、クリーンディーゼルになってから輸入車中心に入ってくるようになりましたけど、とにかく燃費がいいんです。それはCO2の排出も少ないということですので」と、性能面でも環境面でも評価する。

　また、走りに関した部分も満足している。「馬力ではなくトルクという進む『力』が強くて、速く走るスピードに対して『力』って感じなんですけど、それもしっかりありますし、家族4人で乗っていても1人で乗っているときでも重さを全く感じないくらいトルクがあります」と、その力強さから長距離運転だけでなく、家族で乗る際も重宝している。

　加えて、「お財布にもやさしいです。軽油なので燃料費も安いですし、単価が安いうえに燃費がいいのでランニングコストも抑えられます」と、実用性もさることながら、経済的にも助かっている。

　車を愛する安東は、現在のライフスタイルに合わせた3台の愛車たちと充実したカーライフを満喫している。

□安東弘樹（あんどうひろき）、1967年10月8日、神奈川県生まれ。91年、株式会社東京放送（現TBSテレビ）にアナウンサーとして入社。これまで45台の車をほとんどローンで購入して乗り継ぐ。現在所有する愛車は「スズキ ジムニー」「ロータス エリーゼ」「メルセデス・ベンツ Eクラスオールテレイン」の3台。2017年から日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務める。YouTubeチャンネル「安東弘樹／no car, no life」で車の魅力を発信中。