元ブランチリポーターが目指す「暴言」禁止のゲーム実況配信 小学生に大人気のワケ

タレントの櫻井ゆりのは、TBS系「王様のブランチ」のリポーターを2年半務めた後、社会人を経験し、再び芸能界に戻った異色のキャリアを持つ。芸能界きってのゲーム好きとして知られ、YouTubeでもゲーム実況を配信するが、その中身は他とは一線を画す。視聴者は小中学生が中心で、勉強の相談を受け、保護者が出入りすることも。本来のターゲットは大人で「まさか小学生としゃべることになるとは」と受け止めている。今後は子ども向けの番組を作りたいと話す櫻井に、これまでの歩みと目標を聞いた。全2回のうち2回目。

子どもたちの“お姉さん”櫻井ゆりの【写真:舛元清香】
子どもたちの“お姉さん”櫻井ゆりの【写真:舛元清香】

コロナ禍でゲーム動画を毎日配信したら…想定外の反響に

 タレントの櫻井ゆりのは、TBS系「王様のブランチ」のリポーターを2年半務めた後、社会人を経験し、再び芸能界に戻った異色のキャリアを持つ。芸能界きってのゲーム好きとして知られ、YouTubeでもゲーム実況を配信するが、その中身は他とは一線を画す。視聴者は小中学生が中心で、勉強の相談を受け、保護者が出入りすることも。本来のターゲットは大人で「まさか小学生としゃべることになるとは」と受け止めている。今後は子ども向けの番組を作りたいと話す櫻井に、これまでの歩みと目標を聞いた。全2回のうち2回目。(取材・構成=水沼一夫)

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 ブランチのリポーターを2年半務めて卒業した後、私は芸能活動を休止して一般の会社に就職しました。その就職をしているときに、eスポーツが日本でも少しずつメジャーになってきていて、私がゲーム好きなのを覚えてくださった方々が、「eスポーツのイベントに出てみない?」と声をかけてくださいました。就職していたんですけど、会社を辞めてタレントの道に戻ることになりました。タレントとは別にVTuberが認知され始めたときで、「VTuberの活動をやってみないですか」というお話もいただいて、VTuberの活動も挑戦してみました。声優さんみたいでとても楽しかったです。

 そこからはずっとゲームですね。ゲームに関わるお仕事がしたいと思ったのですが、ちょうどコロナ禍になってしまいイベントなどが全部なくなってしまい、YouTubeを開設してゲームの攻略を自分でやって出すようにしました。自分でやるしかないという気持ちで家に機材一式をそろえて、動画編集の勉強をして、自分で撮って動画を編集して毎日出していました。

 ゲームをやり込んで、これはためになる情報かもしれないと思うものを情報発信として出していったら意外な反応がありました。想定では私よりもうちょっと年齢が上の方が見るのかなと思ったら、小学生がたくさん見てくれました。おそらく学校が休みになっていた影響もあると思います。自分で何年生ですとか、自分のことを教えてくれ、中にはお母さんと一緒に見てくれる子たちもいました。

 YouTubeはアナリティクスという機能で登録している方の年齢層が確認することができます。一番多いのは小学生から高校生の18歳ぐらいまで、次は20代から30代までなんですけど、予想外で驚きました。男女別で見ると、女性4割男性6割ぐらいで、女性が見てくれていたのもうれしかったです。

 配信中にはいろんなお話をします。中学生になるとみんな受験で、この前も2年前は毎回来てくれた子たちだったんですけど、「実は今、受験勉強しているんです」「勉強やっていてゲームができなくなりました」と話してくれました。ライブ配信が視聴者みんなとのコミュニティーの場になっていて子どもたちの成長を感じれることもあります笑

 小学生からは、「ゆりのんゲームチャンネル」なので「ゆりのん」って呼ばれています。「ゆりのん、ありがとう」みたいな(笑い)。

 今、夏休み真っただ中で夏休みの宿題をやっている子が多いです。「今から宿題やらなきゃな」という声があったら、「あ、宿題やってから待ってるから来てね」と返します。だいたい2、3時間配信するので、「宿題1時間で頑張って終わらせます」と言って、本当に戻ってくる子もいれば、お母さんが子どものために代わりにコメントしてくれたりすることもあります。夜8時ぐらいから10時過ぎの配信になると、9時半ぐらいにそのお母さんが、「〇〇はもう寝る時間なので、ありがとうございました」とおっしゃってくれて。お父さんが代わりに参加することや、息子のゲームのアカウントで一緒にプレイしているのを見ると家族で配信にきてくれることがとてもうれしくてありがたい気持ちでいっぱいです。

 配信しているゲームは「Fortnite(フォートナイト)」なんですけど、大学生や大人が多く遊んでいるゲームという認識で、「子どもたちはそんなに見ないかなぁ」と思っていたんですけど、最初から視聴者は子どもが多くてびっくりしました。

一度社会人を経験して芸能界に戻った【写真:舛元清香】
一度社会人を経験して芸能界に戻った【写真:舛元清香】

「暴言」は禁句 子どもやお母さんが安心できるチャンネル作り

 今はみんなが何をやっているかを聞いて、その子たちが興味あるゲームをやろうと思っています。フォートナイトだったり、ポケモンはゲームはもちろん、アニメやグッズも大好きなので配信に来てくれている方たちとポケモントークしながら遊んでいます。なるべくみんなが参加できるものを選んでいます。小学生たちも、1人でしかできないゲームより、みんなが参加してオンラインでできるゲームを一緒に遊びたいという子が多いですね。フォートナイトというゲームは最大100人の中から1位を目指すバトルロイヤルのゲームで、視聴者参加型で配信できるのでみんなでチームを組んだりして遊んでいます。100人まで同時に遊べるので、そういうものを選んでやっています。

 本当にもうYouTubeが活動の軸ですね。家にはソファがあって、ゲーミングPCとゲーム用のモニターがあって、ヘッドセット、マウスとコントローラーを置いてゲーム機を置いてやっています。ゲーミングチェアもあります。

 子どもたちが見るので、悪い言葉遣いは言わないようにしています。相手プレイヤーを倒すようなゲームは勝敗もあるので実況者さんによっては「過激な表現」を使う方もいます。私は言葉遣いを大事にしたいので絶対言わないようにしていますし、ゲームってもともとあんまりいいイメージを持たれてない方もいるので、お母さんたちが見ても安心できるチャンネルにしようと心がけています。フォートナイトをずっと遊んでいるお子さんのお母さんから「どういうゲームなのか分からないけど、撃ち合いとかだからあんまりさせたくない」という意見をもらったときに、このゲームがどういうゲームなのかをお母さんの向けに紹介するのもいいなと思いました。

 ゲームの魅力は、趣味を通していろんな方たちと知り合えることですかね。それこそeスポーツは世界大会もあるので、その世界の壁を越えてリアルタイムで同じゲームをしてコミュニケーションが取れるってすごいと思うんですよね。なので、新しいコミュニケーションの一環としてゲームってあるなと思っています。男女問わず年代を問わずいろんな人と交流できるのも魅力のひとつです。

 今の世界大会とかになると、「もう何をしてるんだろう」というくらいコントローラーやキーボードを打つ速さが異次元すぎてすごい戦いです。

 今は動画投稿や配信はゲームだけやっているんですけど、せっかく子どもがたくさん見てくれているので、子ども向けのお菓子とかおもちゃとかそういう紹介のチャンネルも楽しそうだなと思って考えています。子どもやお母さんたちが安心して見れる、何かお姉さん的な感じになりたいですね。まさかこんなに子どもが見てくれると思わなかったのでこのご縁を大事にしつつ、頑張っていこうかなと思います。子どもはもともと大好きです。子どもたちと関わるのが好きなので、それをずっと大事にしていきたいなと思っています。

□櫻井ゆりの(さくらい・ゆりの)京都府生まれ。一家でゲーム好きの家庭に育つ。2014年1月から、16年4月までTBS系「王様のブランチ」元リポーター。ドラマ、映画、本、エンタメ、食レポ、旅などさまざまなコーナーのロケを2年間半担当した。今までプレイしたゲームタイトルは250を超し、FPS、RPG、サッカー、ソーシャルゲームとジャンルは幅広い。現在はBS朝日「テイバンタイムズ」リポーター、エヴァンゲリオンバトルフィールズ公式アンバサダーを務める。

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