一家3人感染、元気になった6歳児と共倒れの両親 職場復帰も不安抱える30代ママの胸中

今年の夏は新型コロナウイルスの流行「第7波」に見舞われ、ついには岸田文雄首相まで感染する事態となった。3年ぶりに「行動制限のない夏休み」ではあったが、感染リスクに気をもんだ人は多いだろう。家庭内感染が問題化する中で、千葉県内に住む30代の女性は、6歳長女からうつってパパママが“共倒れ”となる一家3人の感染を経験した。再感染や体力回復への不安を抱えながらの「しんどい夏」を過ごしているという。

家庭内感染の療養中でも母親は休めなかったという(写真はイメージ)【写真:写真AC】
家庭内感染の療養中でも母親は休めなかったという(写真はイメージ)【写真:写真AC】

幼稚園で「自分の子から他の子に広めていないか」の懸念 ネットスーパーを初めて利用

 今年の夏は新型コロナウイルスの流行「第7波」に見舞われ、ついには岸田文雄首相まで感染する事態となった。3年ぶりに「行動制限のない夏休み」ではあったが、感染リスクに気をもんだ人は多いだろう。家庭内感染が問題化する中で、千葉県内に住む30代の女性は、6歳長女からうつってパパママが“共倒れ”となる一家3人の感染を経験した。再感染や体力回復への不安を抱えながらの「しんどい夏」を過ごしているという。

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 女性は7月の前半を療養に費やした。発端は、長女の発熱だった。39度の熱が出て小児科に行ったところ、当初は「夏風邪」の診断で解熱剤だけもらって帰ってきた。熱が下がって幼稚園に行けると思った矢先に、幼稚園の同じクラスから感染者が出たという連絡が入った。発熱外来で抗原検査を家族3人で実施。長女が陽性で、女性と夫の2人はその時は無症状で陰性だった。長女は翌日にPCR検査を受けてコロナ陽性が確定した。

 濃厚接触者でありながら長女の世話をどうしようかと考えていたところ、時間がたたないうちに両親にも症状が。女性は悪寒、吐き気、39度近くの熱、夫はのどの痛みとだるさ。「これはもうコロナだな」とPCR検査を受け、2人の陽性が確定した。家族で自宅療養をすることに。女性は「娘からの感染だったようです。ただ、娘は熱以外の症状はなく、解熱して回復していく段階で、両親が共倒れ状態になったので、かなりつらかったです」と振り返る。

 あれよあれよで始まった療養生活。マンション暮らしで、未就学児の家庭内での隔離は「ほぼ不可能」。自身の療養と長女の世話で疲弊したという。長女はトイレは1人でできるが、ご飯は無理、お風呂も完全に1人で入るのはまだ難しい。「母親は自分が感染者だろうと、ずっと子どもの世話をしないといけない。もしこれで子どもが複数いたらと思うと、想像するだけで大変だなと思いました」。

 療養期間の前半は、のどが痛くて声が出ず、高熱の症状がおさまるのかに恐怖を覚えた。夫婦ですら話す機会がなくなり、娘に何か声をかけられても反応するだけでつらかった。ただぐったり寝ていた。

 何より大変だったのが、「親が一番つらい時に子どもが元気いっぱいだったこと」。長女は家の中で遊んでほしいとせがむが、リクエストに応えられない。YouTube、テレビ、Netflixを見せるだけ。「何もしてやれず、申し訳ないなという罪悪感を感じた」。

 対外的な対応にも頭を悩ませた。幼稚園については、「自分の子から他の子に広めていないか」ということが懸念で、精神的負担にもなった。ただ、“犯人捜し”の雰囲気にならなかったことが救いだった。

「今も自分の体が完全に元に戻っているかは分からない」

 女性は飲食店で働いている。接客業で、夫と違ってテレワークができる仕事ではない。コロナ禍の状況のため職場の理解はもちろんあるが、本来は自分が休む場合は代わりを探すルールがある。今回、責任を感じて自分の代わりを探した。「もし見つからなかったら、精神的にもっとつらかったと思っています」。職場への連絡調整も苦慮した。

 食料の調達は、初めてのネットスーパーを活用した。7月中旬からなんとか復帰を果たした。それでも、通常の生活が始まるにあたり、外に出ていなかった中で、今夏の猛暑に対応できるのか。そして、体力は回復するのか。心配になった。療養期間後半からの不安のタネでもあった。一時は味覚が鈍くなり、結局、食事量が戻るのに1か月以上かかった。今も自分の体が完全に元に戻っているかは分からないという。

 8月に入ってから、全国的に感染が爆発的に拡大。今度は職場でコロナ感染者が続出した。「私が先に休んだから申し訳ないという気持ちがありました。人がいなくなったので、自分が代わりにたくさんシフトに入ることになりました。休んだ分頑張らないとと思ったのですが、体力面・食事面で戻り切れていないままだったので、ちょっとしんどかったです」と話す。

 長女はディズニーが大好き。7月にディズニーランドに遊びに行く計画をしていたが、感染状況や人が集まる場所に行くリスク、両親の体力面の戻り具合を考慮して、中止に。長女に大泣きされたことが、この夏の大きな悔いだ。

 今では外出や外食をしているが、感染を経験したからこそ、ちょっとした鼻水やせきでさえ、このまま症状が悪化しないか、コロナではないかと気を病んでしまう。「再感染は本当に嫌です」。不安に付きまとわれ、「落ち着かない夏」になったという。

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