ティーン誌モデルから大河女優へ 20歳・南沙良の素顔はアニメ好き「推しに癒やされていた」

みんなおかしい――。放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、源頼朝と北条政子の娘・大姫を演じ注目を集めた女優の南沙良(20)が、最新主演映画「この子は邪悪」で、心に傷を負った少女を演じている。静かだった生活は事故後、植物状態だった母が目覚めたことから少しずつ動き出していく。「演じていてゾクゾクした」と振り返った。私生活では6月に20歳になったばかり。シリアスな撮影の間には「推しに癒やされていた」と愛らしい素顔をのぞかせた。

映画「この子は邪悪」で主演する女優の南沙良【写真:ENCOUNT編集部】
映画「この子は邪悪」で主演する女優の南沙良【写真:ENCOUNT編集部】

最新作で心に傷を負う少女を熱演 私生活では「推しに癒されている」

 みんなおかしい――。放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、源頼朝と北条政子の娘・大姫を演じ注目を集めた女優の南沙良(20)が、最新主演映画「この子は邪悪」で、心に傷を負った少女を演じている。静かだった生活は事故後、植物状態だった母が目覚めたことから少しずつ動き出していく。「演じていてゾクゾクした」と振り返った。私生活では6月に20歳になったばかり。シリアスな撮影の間には「推しに癒やされていた」と愛らしい素顔をのぞかせた。(取材・文:西村綾乃)

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 映画はオリジナル作の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」の準グランプリ作品を映像化したもの。心理療法室を営む父と優しい母、そして妹と暮らしていた少女・花(南)は、5年前に家族で交通事故に遭ったことで心に傷を負った。

「4人共、命は助かりましたが、父(玉木宏)は脚に障害が残り、母は植物状態に。妹は顔をやけどしたことからマスクを付けて生活をしています。花は自分だけ無傷だったことを負い目に感じている女の子。台本を読んだ時、花が抱えている孤独感を表現したいと思いました」

 物語は植物状態で眠っていた母(桜井ユキ)が、5年ぶりに目を覚まし帰宅したことから、少しずつ展開していく。繊細な花は「この人、お母さんじゃない」と訴えるが、取り合ってもらえない。そんな花に寄り添ってくれたのは、自分の母親の奇病の原因を探る少年・純(大西流星/なにわ男子)だった。

「大西さんは、撮影初日から『純』として存在してくれていました。なので私もお芝居を返しやすかったですね。純とやりとりしたことがきっかけで、花が一歩踏み出す場面もあり(片岡翔)監督から『良いシーンだった』と言っていただいたことはうれしかったです」

 不気味に動く目など、不穏な空気が流れる中で、シーンごとに変わる南の衣装はホッと和ませてくれる時間だった。作品の中に登場する、たくさんのうさぎたちとも「交流できた」と笑う。

「花がベンチで純と話をする場面で着ていた、白いバルーンスリーブのブラウスがお気に入りでした。ほかにもワンピースなど色々な衣装があるので注目して欲しいです。うさぎは『好かれてないのかな?』と思うくらい静かな動物ですが、遊んで欲しいときなどに、鼻先で『ツンツン』と突いてきたので、自己表現をするんだと感じてかわいかったです」

 映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」に初主演したのは2018年のこと。クランクイン前日は心配で眠ることができなかった。吃音の少女と自身の胸に沸いた心細さを重ね、体当たりした演技は数々の映画賞を受賞。今年はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で源頼朝と北条政子の娘・大姫を演じた。

「大河への出演は初めてでした。着慣れない着物での演技など難しいこともありましたが、貴重な経験になりました。祖父母が喜んでくれたことが嬉しかったです。志乃ちゃんもそうですが、これまで何かを抱えている女の子を演じることが多かったので、20代は明るい活発な役にも挑戦したいです」

 4年前のインタビューでは、趣味は神社仏閣巡りと裁縫と教えてくれた。パッチワークのようにデニムを重ねてボトムスを作るなどプロ顔負けの発想力だが、いまはどんなものに夢中なのだろう。

「アニメが大好きで、最近は『ヒプノシスマイク』の碧棺左馬刻 (あおひつぎさまとき)が推しです。撮影の空き時間などは、ハンカチに左馬刻をミニ化した刺しゅうをしたりして気分転換しています。待ち時間によく読んでいるのは辻村深月さんの小説。新作が出ると必ず読んでいます。一番好きな作品は、小学5・6年生の時に初めて読んだ『凍りのくじら』。ワクワクしながらページをめくりました。辻村さんの作品は温かくて、物語が持っている力を信じたいと思わせてくれます」

 辻村とは、まだ対面したことがないと話した南。「お目にかかりたいですし、(映像化されたら)作品にも出てみたい」と胸を膨らませた。いつか辻村作品の中で躍動する南の姿を見てみたい。

 映画は9月1日から、新宿バルト9など全国でロードショーされる。

□南沙良(みなみ・さら)2002年6月11日、東京都生まれ。2014年に雑誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを受賞。同誌の専属モデルとして活動をスタート。17年に映画「幼な子われらに生まれ」で女優デビューした。初めて主演を務めた映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で、報知映画賞、ブルーリボン賞など、数々の映画賞を受賞。TBS系日曜劇場「ドラゴン桜」など話題作にも出演している。放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では大姫を演じ注目を集めた。160センチ、A型。

次のページへ (2/2) 【写真】圧倒的な透明感 すらりとした足を抱えて首をかしげる南沙良
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