「ザ・タワー」が最優秀作品賞&観客賞 アニメの最高賞は初

若手映像クリエイターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」のクロージングセレモニーが7月21日、埼玉・川口市のSKIPシティ映像ホールで行われ、各賞が発表された。ノルウェー、フランス、スウェーデン合作のアニメ「ザ・タワー」(マッツ・グルードゥ監督)が最優秀作品賞(賞金100万円)と観客賞の2冠に輝いた。長編コンペティション部門にアニメが選出されたのは同映画祭では初めてで、同時にアニメ初の最高賞受賞となった。

「ザ・タワー」(c)Jour2Fete
「ザ・タワー」(c)Jour2Fete

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019クロージングセレモニー

 若手映像クリエイターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」のクロージングセレモニーが7月21日、埼玉・川口市のSKIPシティ映像ホールで行われ、各賞が発表された。ノルウェー、フランス、スウェーデン合作のアニメ「ザ・タワー」(マッツ・グルードゥ監督)が最優秀作品賞(賞金100万円)と観客賞の2冠に輝いた。長編コンペティション部門にアニメが選出されたのは同映画祭では初めてで、同時にアニメ初の最高賞受賞となった。

「ザ・タワー」は故郷を追われ、70年間レバノンの難民キャンプで暮らす曽祖父と、彼を愛する少女の深い絆を軸にした4世代に渡る物語。ストップモーションアニメ、2Dアニメ、実際の映像を織り交ぜた力作。監督は、今作がデビュー作となるノルウェー人のアニメーション作家マッツ・グルードゥ氏。2018年のアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミアされ、世界各国で上映されている。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019

 本作を持って、難民キャンプを回っている監督に代わって、プロデューサーのパトリス・ネザン氏が登壇。お礼の言葉を述べた上、「監督自身が難民キャンプで過ごし、見聞きしたことが基になっています。現実を忠実に描きたいということがあり、製作に8年かかりました。監督は繊細で人間性あふれる人物。彼と寄り添ったことは贅沢な経験でした」と話した。

 国際コンペティション審査委員長の三池崇史監督は「おめでとうではなく、素晴らしい作品を『ありがとう』と言いたい。審査員の総意として選ばせていただきました。審査員には映画に関わる個性的な4人が集まったわけですが、観客の意見と一致したことは素晴らしいことです。自分は世界の歴史を知っているわけではないですが、映画を通じて、レバノンで生まれたパレスチナの少女と心を通わせることができた。しかも監督はノルウェー人ということに、映画の可能性を感じることができた。日本のすべての人が観るべき作品。自分の中でなくした優しさを取り戻すことができる」と大絶賛だった。

「ザ・タワー」のプロデューサーのパトリス・ネザン氏
「ザ・タワー」のプロデューサーのパトリス・ネザン氏

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