デビューから45年の増田惠子 ピンク・レディーは「止まることを知らない機関車」だった

歌手の増田惠子が9月2日にソロ40周年と自身のバースデーを祝う記念ライブを横浜で開催する。7月にリリースしたソロ40周年を記念したアルバム「そして、ここから…40th Anniversary Platinum Album」は、昭和の国民的デュオ「ピンク・レディー」のケイ、そして解散後のソロシンガー・増田惠子として長年にわたり第一線で活躍してきた彼女の足跡が記録されている。今回は過去を振り返ってもらいながら近況を語ってもらった。

増田惠子【写真:荒川祐史】
増田惠子【写真:荒川祐史】

ピンクレディーから45年、歌手・増田惠子の今

 歌手の増田惠子が9月2日にソロ40周年と自身のバースデーを祝う記念ライブを横浜で開催する。7月にリリースしたソロ40周年を記念したアルバム「そして、ここから…40th Anniversary Platinum Album」は、昭和の国民的デュオ「ピンク・レディー」のケイ、そして解散後のソロシンガー・増田惠子として長年にわたり第一線で活躍してきた彼女の足跡が記録されている。今回は過去を振り返ってもらいながら近況を語ってもらった。(取材・構成=福嶋剛)

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 ピンク・レディーとしてデビューして45年。ソロシンガーになって40年がたちました。

 振り返ってみると輝かしく、また壮絶なピンク・レディーとして活動していた4年7か月が、あまりにも濃密で実感として何倍もの時間お仕事をしていたような、そんな気がしていて。そのあとのソロとしての40年はピンク・レディーと同じくらいかそれより少し長いかなという実感です。

 ピンク・レディーは、たとえると走り出したら止まることを知らない機関車。私たち2人を支えてくださった限られたキーパーソンのみなさんが車輪となってとてつもない大きな力とスピードでピンク・レディーという機関車を動かしていき、機関車の先頭にいる私は必死でしがみつきながら夢を叶えてくださったみなさんに感謝を伝えたいという一心で走り続けました。

 ピンク・レディーが解散して心機一転、事務所もレコード会社も変わり、もともとやりたかったソロシンガーとしてスタートを切りました。新しく所属した事務所の社長さんに「ソロデビュー曲はどんな人に書いてもらいたい?」と聞かれたとき、今までとは違うと驚きました。と同時に関係者のみなさんが敷いてくださったレールの上を走る活動から、今度は自ら運転しながら前に進んでいくんだと、そう感じました。

 そこで私は「中島みゆきさんに書いていただきたいです!」と即答しました。桜田淳子ちゃんの「しあわせ芝居」という曲が大好きで、なんとピンク・レディーとして活動する前の「クッキー」というデュオ時代の事務所の大先輩、中島みゆきさんが書いた歌だったんです。私自身、「しあわせ芝居」のような心情を歌える歌手に憧れていたので、みゆきさんから曲が届いたときは本当にうれしかったです。

 1981年に中島みゆきさんに書いていただいた「すずめ」という曲でソロデビューをさせていただきました。2枚目のシングルは松任谷由実さんに書いていただいた「ためらい」、そして3枚目は竹内まりやさんの「らせん階段」、さらに4枚は桑田佳祐さんの「女優」。アルバムも吉田拓郎さんや伊勢正三さんといった、そうそうたる方々に曲を提供していただき、ピンク・レディーと比べるとゆっくりですが一歩一歩着実に進み、たくさんの方々の愛に包まれながら歌手として充実した日々を送ることができました。

 そんな私のソロシンガーとしての40年を振り返る記念アルバム「そして、ここから…」をリリースしました。タイトルの通り、ピンク・レディー、そしてソロシンガーとして今まで紡いできた45年間という時間や歴史を優しく抱きしめながら新たな一歩を踏み出すという気持ちで2枚組のCDを制作しました。1枚目はピンク・レディー時代の私のソロ楽曲とソロシンガーとしてデビューした全シングルが発売順に収録されています。2枚目は私が今歌いたい新曲と最新のライブ音源が収められているので増田惠子を知らない世代の人にも楽しんでもらえるような作品になっています。

 先行配信した新曲の「Del Sole」(デル・ソーレ)は、リズミカルで私の中の血がみなぎってくるような大好きな曲で歌詞も素敵なんです。「それより踊ってみて♪」ってすごく前向きな言葉で始まるんですが、20代、30代の恋愛や人生に迷ったり落ち込んだりしていた頃の私だったらきっとまだ歌えなかったかもしれません。「過去をかかとで蹴り上げたら あなたのそのつま先 前を向いてゆくでしょ♪」という歌詞。私もそんな年齢になってきたのかなって、すごく説得力のある曲です。

9月2日に横浜で記念ライブを開催【写真:荒川祐史】
9月2日に横浜で記念ライブを開催【写真:荒川祐史】

主人はコーヒー派、私は日本茶派

「ペッパー警部」でデビューして45年間ずっと応援し続けてくれて、一緒の時間を過ごしてきたファンのみなさん、「すずめ」から新たに応援してくださったファンのみなさん、そういった人たちと一緒に歩んできた時間が本当に幸せで、私1人じゃなくてみなさんと一緒に紡いできたんだなという実感があらためてこみ上げてきました。体力的にも気力的にも昔とは違い、いつまで歌えるか分かりませんが、その日が来るまではこれからも歌い続けていきたいと思っています。

 最後に私の最近のマイブームを紹介します。それは“日本茶のブレンド”です。静岡生まれなのでもともと日本茶は大好きなんですが、年齢を重ねるたびに日本茶を味わう時間が私にとって誰にも邪魔されたくない大事な時間になりました。主人はコーヒー派なのでいつもコーヒーを入れて2人の時間が少し落ち着いたら、次は私だけの大切な時間です(笑)。

 最近は父親の実家の掛川で賞をもらった甘くて色もキレイなグリーンの茶葉を使っているのですが、さらに深い味が欲しいなと思って試しに知り合いから手に入れた茶葉をひとつまみしてブレンドしたら「なにこれ!」ってビックリするぐらいおいしくて。そのときの気分に合わせたちょっとした日本茶のブレンドが今の私に安らぎを与えてくれるんです。

 先日、昔のマネジャーが遊びに来てくれたので、お茶を入れたら「とってもおいしいんですけど、これはどこのお茶ですか?」ってビックリした様子だったんです。うれしくなって得意げに「私のオリジナルブレンドですよ」って(笑)。それ以来、私の家に遊びに来てくださる方には、いつも心を込めてお茶を振る舞っているんです。

□増田惠子(ますだ・けいこ)1957年9月2日生まれ、静岡県出身。O型。76年、ピンク・レディー「ペッパー警部」でデビュー。解散後は、81年11月、「すずめ」でソロ・デビュー。2010年、ピンク・レディーの「解散やめ!」を発表。2022年9月2日、ビルボードライブ横浜で1日2回公演の記念ライブ「増田惠子 40th Anniversary & Birthday Live “そして、ここから…”」を開催。

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