撮り鉄のマナー逸脱が深刻化 阪急電鉄のミッフィー号での注意喚起ツイートが話題

近鉄電車で撮影目的で車内通報ボタンを押した乗客に対して車掌がボタンの意味を説明する動画がネット上で拡散した騒動で、迷惑行為に走ってしまう「撮り鉄」のマナー問題に改めて注目が集まっている。阪急電鉄ではこのほど、人気キャラの装飾をあしらったミッフィー号について写真撮影に関する注意喚起のツイートを投稿。誠意ある発信が反響を呼んでいる。マナーを逸脱した行為について鉄道会社はどのように対応しているのか。阪急電鉄に聞いた。

撮り鉄の迷惑行為や対応策について阪急電鉄に聞いた(写真はイメージ)【写真:写真AC】
撮り鉄の迷惑行為や対応策について阪急電鉄に聞いた(写真はイメージ)【写真:写真AC】

具体的な注意点を列挙 「他のお客様が写らないようプライバシーへのご配慮も」

 近鉄電車で撮影目的で車内通報ボタンを押した乗客に対して車掌がボタンの意味を説明する動画がネット上で拡散した騒動で、迷惑行為に走ってしまう「撮り鉄」のマナー問題に改めて注目が集まっている。阪急電鉄ではこのほど、人気キャラの装飾をあしらったミッフィー号について写真撮影に関する注意喚起のツイートを投稿。誠意ある発信が反響を呼んでいる。マナーを逸脱した行為について鉄道会社はどのように対応しているのか。阪急電鉄に聞いた。

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 近鉄電車の騒動は、近畿日本鉄道への取材によると、今月12日午後9時ごろに、近鉄名古屋駅に停車中の電車内で、車掌と撮り鉄とみられる男性の会話が記録されたもの。車掌がボタンを指さし、「これは緊急用のものです。もしこれを押してほかのところで何かあった場合、あなたはどうするんですか」などと、男性に説明する様子が収められている。同社は「個別の要望にはお応えしないので、それについてはお断りさせていただいて、車内通報装置は車内で異常が発生した際、緊急時に押していただくことで乗務員に異常の発生を知らせていただくものですので、車内通報装置の使用目的と、それ以外での使用をお控えいただくようにお客様にご説明させていただいた」と説明した。

 阪急電鉄は今回、2022年8月3日から23年3月30日までの期間で、ミッフィーのキャラたちを装飾した「ミッフィー号」を神戸線・宝塚線・京都線で運用。神戸三宮駅、大阪梅田駅、京都河原町駅といった主要都市の主要駅を走行する。公式サイトでは、「思わず記念撮影したくなるミッフィー号」とPRしている。

 一方で、今月8日に「【写真撮影時のお願い】」と題して注意喚起のツイートを行った。「皆様に装飾列車『ミッフィー号』を安全に楽しんでいただくためにお願いがございます。写真撮影の際、手やカメラがホームドアを乗り越えてしまうと、警報が鳴り電車が走れなくなってしまいます」とし、ホームドアから距離を保って撮影するよう促した。

 SNS上の反響は大きく、「何よりも、安全が優先ですね!!」「気を付けて楽しみます」などの声が上がっている。

 同電鉄はENCOUNT編集部の取材に対し、ツイート投稿の理由について、「列車撮影などのため、可動式ホーム柵から身を乗り出して列車の写真を撮影されようとした場合など、危険を検知しセンサーが動作します。このような事象の発生により、列車の出発が遅れることがありました。何よりもお客様の安全確保のため、今回、情報を発信させていただきました」と説明。実際に列車遅延の影響が出てしまったケースがあるとのことだ。

「駅構内で列車を撮影する際は、撮影に夢中になりがち」

 それでは、可動式ホーム柵(ホームドア)のセンサーの仕組みはどうなっているのか。「可動式ホーム柵から身を乗り出して列車の写真を撮影されようとした場合など、危険を察知してセンサーが動作しますと、当該場所でブザーが鳴動し、異常の発生が運行状況の管理者に知らされます。この場合、安全が確認できない限り、列車を発車させることができませんので、運行にも大きな支障をきたすことにつながります。万一、ブザーが鳴りましたら、速やかに黄色い点字ブロックの内側までお下がりいただきますよう、ご協力をお願いいたします」とのことだ。

 過去を含めた撮り鉄のマナー違反や危険行為についての事例や対応について聞くと、「個別の事象についてはお答えしかねますが、阪急電鉄では、お客様の安全確保と、列車運行の安全確保のため、お客様には、可動式ホーム柵のあるなしにかかわらず、ホームでは黄色い点字ブロックの内側をご通行いただくようお願いしております」との回答を寄せた。

 目当ての電車を撮ろうとして他人や周囲に迷惑をかけたり、ホームから線路に落下するなど、撮り鉄を巡るニュース報道や危険行為の報告は後を絶たない。撮影者個人のモラルによるところが大きく、抜本的な解決策が見当たらない現状がある。

 暴走してしまう撮り鉄への啓発については、「駅構内で列車を撮影する際は、撮影に夢中になりがちですが、お客様自身の安全や、周囲のお客様にも十分配慮して、行っていただきますようお願いします。特に、ホームの端での撮影はやめていただきますとともに、運行中の列車に向けてのフラッシュ使用、立入禁止区域での撮影など、列車の運行に影響を及ぼす行為につきましても、おやめいただきますようお願いします。また、他のお客様が写らないようプライバシーへのご配慮もお願いします」と呼びかけた。

 ミッフィー号の場合は撮り鉄のみならず、スマホを持って撮影し、SNSに投稿する一般の女性ファンも多い。電車撮影の基本的なルールをお互いに知っておくことで、より安心して撮影に臨むことができる。同電鉄は「たくさんのお客様に、ミッフィー号を見て、乗って楽しんでいただきたいと思っておりますので、お互いにルールを守りながら、気持ちよくミッフィー号を楽しんでいただきますよう、皆さまのご協力をお願いします」としている。

次のページへ (2/2) 【写真】阪急電鉄の「ミッフィー号」“注意喚起ツイート”
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