結婚指輪を拾い「#拡散希望」→本人に届くも賛否 専門家が指摘する情報公開の注意点
持ち主の元に落とし物が届くよう、拾った結婚指輪の画像とともに、指輪に記された情報を拡散したSNS投稿が議論を呼んでいる。投稿者の行動に称賛の声が上がる一方、「持ち主の個人情報を載せすぎでは?」「持ち主に成りすました別人が取りに来たらどうするの」という批判的な声も。落とし物を拾った際、その情報をSNSに公開する行為はNGなのか。専門家に聞いた。
取得者が「#拡散希望」のハッシュタグとともに、拾った指輪の画像や情報を投稿
持ち主の元に落とし物が届くよう、拾った結婚指輪の画像とともに、指輪に記された情報を拡散したSNS投稿が議論を呼んでいる。投稿者の行動に称賛の声が上がる一方、「持ち主の個人情報を載せすぎでは?」「持ち主に成りすました別人が取りに来たらどうするの」という批判的な声も。落とし物を拾った際、その情報をSNSに公開する行為はNGなのか。専門家に聞いた。
「靖国神社の参道で結婚指輪をなくされた方はいませんか? 今から届けに行きますね」。話題の投稿があったのは8月16日の午後2時過ぎ。「#拡散希望」のハッシュタグとともに、拾った指輪の画像に指輪の色やブランド、内側に記された記念日や持ち主のイニシャルを示す情報が添えられている。続く投稿によれば、すでに持ち主は見つかっており、DMで詳細をやり取りしているという。
この投稿に「こういう素敵なツイートあるとほっこりします! 持ち主様見つかって本当に良かったです!」「優しいニュースありがとうございました」といった称賛の声の一方、「他人がこの情報を元に自分のものと名乗り出る可能性もありますよ。イニシャルは公表しない方がいいです」「親切心なんでしょうけど、こういうのを検索して他人が受け取りに行く事件もあるわけで、、やってることがありがた迷惑」と第三者による成りすましのリスクを指摘する声も。投稿者は「リツイート、情報出しすぎツイートへにのお叱り、暖かいコメント等ありがとうございました」「情報を出しすぎたことは反省しています、ごめんなさい」とつづっている。
落とし物が持ち主の元に届けばと、善意で情報を拡散した今回のケース。落とし物の情報を拡散することは控えた方がいいのだろうか。
ネットの個人情報特定や情報リテラシーに詳しく、「ネットで勝つ情報リテラシー」「11歳からの正しく怖がるインターネット」などの著書がある小木曽健氏は「拾った落とし物の画像をネットにあげるのは違法ではないですし、持ち主が見つかって喜んでいるのなら第三者からそこまで責められる必要はないでしょう。指輪を拾った、どこに預けた、写真はこれですとネットにあげることは何の問題もないです」と投稿者を擁護。
その上で「前提として、日本で拾ったものを届ければ、持ち主が必死になって探しさえすれば大抵は見つかるもの。なくした本人であれば、写真だけ見れば自分の物だと分かりますし、そこまで具体的な情報を書く必要はなかったかもしれません」とよりベストな情報発信の仕方をアドバイスする。
また、持ち主の成りすまし以外にも、落とし物の画像を投稿することで投稿者自身が特定されてしまうこともあるという。
「例えば、『家の前にカニが落ちてる』など、変わった落とし物を投稿者が面白がって投稿すると、アカウントと住所がひもづいてしまいます。そこまで極端な例じゃなくとも、花火大会の写真に『どこどこの橋の上から』などのハッシュタグをつけて投稿したのを、すぐ隣で見ていた人が検索してアカウントを特定することも容易です。落とし物に限らず、SNSに何かを投稿する際には一度周りを見る、少し時間を置くなど、冷静になることが大切です」
「困っている人を助けたい」との思いから広がって久しい「#拡散希望」のハッシュタグ。SNSのリテラシーもその都度高めていく必要がありそうだ。