“伝説の女子プロレス団体復活”里村明衣子インタビュー「GAEAこそがプロレス界の王道」【後編】
“愛弟子同士の代理戦”橋本千紘と彩羽匠戦から生まれるものとは?
――このカードはセミで、里村選手はメインに橋本千紘選手を送り出す事になります。
「そこは、これからの未来を見せてほしいという実行委員会の強い要望があります。私の団体の未来というか現在の団体のトップである橋本千紘と、長与さんの団体のトップである彩羽匠を対戦させたいと」
――現在のトップで、同時に未来もある選手同士だということですよね。
「そうですね」
――では橋本選手はどうですか。現在、センダイガールズワールドチャンピオンシップを保持していますが。
「橋本は、とにかく自分自身の欲が深い。それこそ『プロレス界のトップに立つ』と言い切っている選手です。なおかつレスリングの実績もあって(高校では全日本選手権3位、アジアジュニア選手権67kg級優勝。大学では日大レスリング部に所属)、タイトルマッチを重ねるごとにドンドン大きくなっているので、これからさらに期待に応えてくれる選手だと思いますよ」
――橋本選手に“GAEAイズム”は流れているのでしょうか。
「橋本はずっとGAEAを見ていたんですよ」
――らしいですね。その事については以前から知っていましたか。
「よく話に聞いてました。すぐに私の言う事を飲み込んでくれるというのも、ずっとGAEAを見てたからなのかな、と思います。他の子が疑問に思うような事も橋本はすぐに飲み込んでくれる。そこは本当にありがたいですね」
――橋本選手と対するのは長与選手の弟子である彩羽匠選手です。彩羽選手といえば里村選手はデビュー戦の相手を務めています。また、Marvelousの旗揚げ戦でも対戦しています。
「そうなんですよ。やっぱり今は長与千種の愛弟子だなって思いますね。相当鍛えられているんだろうなって思います」
――ここ数年の成長が凄いです。特に他団体に参戦した時にはそう感じます。今回はGAEAの名の下に行われる大会ですから、よりいっそう2人とも燃えるのではないかと思いますが。
「相当燃えてると思いますよ。お互いに意識してますしね」
――今回一夜限りとのことですが、長与選手は会見で「今後どうなるかわからない」と含みを持たせています。それに関して里村選手はどのように受け取っていますか。
「長与さんは、昔から本当にいつ何を起こすかわからない、そんな何かを持っている方なので、私にもわからないです」
――大会後のリング上で何が起こり、里村選手がそれをどう見るのでしょう。
「(GAEA一夜復活の)記者会見後のチケット先行は相当予約があったらしいですよね。それはやっぱり、長与さんが何かを仕掛けるというところに皆さんが期待をしているんじゃないかなと。“何かが起こってほしい”と思っているんだと思うんですよ。何かが起こらないプロレス界ってつまらないじゃないですか。だから何かを起こしていかないと、何も始まらないぞ、っていう。それがメインの橋本千紘と彩羽匠の対決なのか、セミファイナルにあるのか解りませんけど」
――どこかで何かしら起こるのではないかと。
「みんなが心に何かしらの仕掛ける爆弾を持っていないと何も起こらないですからね」
――何かしら抱えながら集まってくるわけですね。
「ええ。抱えながら行きたいと思います(笑)。私は、GAEA JAPANの熱とか、厳しさとか、GAEA JAPANこそが本当のプロレス界のトップに立つべき“王道”だと思ってます。だけどそれが10年で解散してしまった。それって凄くもったいない事ですよね。ただ、その意志を私は継いでいるし、再び長与さんが戻ってきたと。長与さんが戻ってまだ数年ですよ。この先に何が作られていくのか、まだ続きがあると思っています。これこそが“王道”というか、“これこそが女子プロレスだよ”というのをもっと追求していきたいですね」
インタビュー・撮影協力:ホテルグレイスリー新宿
□里村明衣子(さとむら・めいこ)、1979年11月17日生まれ。3才より柔道を始め、中学時代に女子柔道部を設立し、県大会優勝。その後新日本プロレスを観戦しプロレスラーを目指す。長与千種率いる「GAEA JAPAN」の第一期オーディションをトップで合格し、95年デビュー。「GAEA JAPAN」解散後、2006年に「センダイガールズプロレスリング」を旗揚げ。「女子プロレス界の横綱」と称され、現在活躍中。