世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット100」が13日、東京ビッグサイトで開催された。記念すべき100回目のコミケは3年ぶりの夏開催とあって、台風8号が接近するなかでも熱気十分。アツい会場内で一際視線を集めるコスプレイヤーたちの素顔に迫った。

　迫力満点の体格で次々とポーズを決めていくトラ男の正体は、コスプレ歴18年目の「その他色々」さん。着ぐるみ制作会社で特殊造形の仕事をしていたこともある本職の着ぐるみ職人だ。これまでにもゲーム「スターフォックス」シリーズのウルフや「スーパーマリオ」のクッパ、「ドラゴンクエスト」の竜王など、獣人型のコスプレ衣装を多数製作してきた。

「もともと特撮が好きで、その中でも怪人とか獣人とか、どちらかというと悪役が好き。ヒーローのコスプレをしている人と合わせられるといいなと。今年は寅年なので、『戦闘員、派遣します！』というアニメのトラ男の格好で来ました。製作費は6万円くらい。仕事がない時期だったので1か月半くらいでできましたね」

　コスプレもコミケも18年目という古参のその他色々さんだが、その間は波乱万丈な人生だったという。

「両親が教員で自分も何となく教員になったんですが、覚悟がないまま教育現場の難しさに直面して、中学校、小学校とどっちも挫折してしまって。一度は着ぐるみの製作会社に転職したんですが、辞めて初めて、やっぱり子どもが好きという気持ちに気づいた。今は幼稚園の先生をやっています」

　勤め先の幼稚園のマスコットキャラを作ったり、ヒーローショーでスーツアクターのバイトをしたりと、子どもたちを喜ばせるために着ぐるみを作っているという。真夏に着ぐるみを着てのアクションは熱中症との闘いだが、「こまめに水分、塩分、休憩を取って頑張ってます」と汗を拭う。

「着ぐるみづくしの人生ですが、子どもには喜ばれますね。これからも子どもたちを楽しませる着ぐるみを作っていきたいです」とマスクを脱いでさわやかな笑顔を浮かべた。