三遊亭円楽、涙の高座復帰で随所に“円楽節”「歌丸が悪い」「見てて面白くなかったのは『笑点』」
今年1月に脳梗塞を発症しリハビリを続けている落語家の三遊亭円楽(72)が11日、東京・国立演芸場で高座復帰を果たした。予定時間の15分を大幅に超え約30分間の魂の高座で、満員札止めの客席のひときわ大きな拍手を浴びた。
生涯現役宣言「死ぬまでやります」
今年1月に脳梗塞を発症しリハビリを続けている落語家の三遊亭円楽(72)が11日、東京・国立演芸場で高座復帰を果たした。予定時間の15分を大幅に超え約30分間の魂の高座で、満員札止めの客席のひときわ大きな拍手を浴びた。
出囃子「元禄花見踊」に合わせて緞帳がゆっくり上がると、板付き(最初から高座に座っていること)の円楽がいた。釈台が置かれ、その上で、右手で扇子をいじる。拍手に感極まり、手ぬぐいで涙をぬぐいながら「ここまで来ました。感極まると怪しくなるご勘弁ください」と口を開いた。多少おぼつかなさは残るかすれ声だが、はっきりと聞き取れる口跡だ。
「俺ぐらいの落語家はいくらでもいる。でもね、みんなが『みっともなくてもいいから死ぬまでやれ』と。死ぬまでやります」といきなり生涯現役を宣言すると、会場は拍手で満たされた。
病気になった理由を、「みんな歌丸が悪いんだね」と笑わせ、「これから後の人生、余命は急がない、のんびりのんびりやっていく。こんな不便な体になっちゃってね」と再び涙。「何で急がないかっていうとね、病気が脳梗塞だからね(ノー高速のしゃれ)」と、きっちり笑いにつなげた。
「皆さん、どうせ円楽がどんな状態が、テレビじゃ分かんないから見に来たんだろう。まだ生きているか確かめに来たんでしょ。今晩ご家庭で、生きていたわよ、って。どうぞ酒のさかなにしてください」と毒舌を放つと、だんだん言葉も流暢に。「今、炎症係数が高く、喉が炎症、肺が炎症、肩が炎症。少しずつ炎症(=三遊亭円生)になっている」としゃれも聞かせた。
入院中の病室ではテレビを見る時間が長く「テレビっ子になっちゃった」。
ロシアのウクライナイナ侵攻、知床の遊覧船沈没などに触れた後、「見てて面白くなかったのは『笑点』」とばっさり。「早く出てくださいよ、って世間は分かっている。分かってないのは周りだけ」とチクリと皮肉るなど、円楽節健在を示した。
長いマクラの後に、落語「猫の皿」に。漫談だけで高座を降りるのではなく、きっちりと落語を語ることで自らの初高座を落語家の復帰の場として意味づけた。