日本最大級のスクリーン“IMAXシアター”で映画「天気の子」を観るべき理由
想像以上の出来栄え…「君の名は。」以上の大ヒットは間違いなしか
肝心の本編ですが、期待通り、いや、期待以上の出来栄えでした。離島から家出し、東京にやってきた16歳の少年(醍醐虎汰朗)と、「100%晴れ女」という不思議な力を持つ少女(森七菜)の物語。宇宙、自然現象をモチーフにしたカミング・オブ・エイジ・ストーリーという新海映画の定型の中に、昨今、ニュースを賑わせている長期の降雨、ゲリラ豪雨、洪水といった異常気象を見事に盛り込んでいます。
ファンタジーの世界ではあるのですが、新宿、代々木、池袋などロケ地はほとんどすべて実在の場所です。それをアニメで切り取ることで、新たな視座を見せてくれます。劇中のような長雨は、現実世界ではちょっと信じられないことではありますが、今年6~7月はまさに監督が予期したような異例の長雨となりました。昨今の自然災害は“異常気象”というべきなんでしょうが、それは今、常態化、日常化しています。きっと、僕らは“異常が通常”の“狂った世界”で生きているのでしょう。
新海監督は「僕らはそんな現実を受け止めて、生きるしかない。その中で、僕らは大切なものを愛し、守っていくのだ」という主人公の覚悟を、メッセージとして送ります。主人公たちの何倍も生きた大人からすると、多少の気恥ずかしさもあるわけですが、ストレートゆえの力強さがあります。
また、今回も、主人公たちが10代という人物設定が成功しています。お金がない、働けない、宿泊できない。守りたい人がいるのに、自分が弱いがゆえ守れない。こうしたカセが物語を動かす原動力です。きっとこうした経験は誰もが何度もしていることで、もどかしさ、やるせなさを感じ、何度も強く心を揺さぶられます。
「君の名は。」(興収250.3億円)以上の大ヒット間違いなし。映画の入場料金の値上げもあるので、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」(2001年)が打ち立てた興収301億円を上回る大ヒットとなるでしょう。既にほかの劇場でご覧になった方も、2度目は「グランドシネマサンシャイン」のIMAXシアターで体感してみてください。「IMAXレーザー/GTテクノロジー」という最新映写システムを採用しているので、画面が大きく、細部まで鮮明です。池袋もメイン舞台の一つとなっているので、鑑賞後はロケ地に想いを馳せるのも楽しいでしょう。