「早慶上理」? それとも「SMART」? 上智大学の強みは“国際性”、意外な実情も

受験界では関東の超難関私大トップクラス4大学をまとめて「早慶上理」と呼んでいる。それぞれ早稲田、慶応、上智、東京理科を指し次のランクの明治、青山学院、立教、中央、法政は「MARCH」という名の難関大学群としてひとくくりにされている。しかし、近年は早慶を別格ポジションに置き、上智(S=SOPHIA)、明治(M)、青学(A)、立教(R)、東京理科(T)を「SMART(スマート)」と呼ぶ進学校や予備校もある。例えば東進ハイスクールは「2022東進現役合格実績」として「東大」「旧七帝大+東工大、一橋大、神戸大」「早慶」「上理明青立法中」などにグループ分けしている。上智と東京理科はMARCHクラスの大学としてワンランク下げられたかっこうだ。実際のところはどうなのか。上智のオープンキャンパスで雰囲気を探ってみた。

国際性で注目されている上智大学【写真:ENCOUNT編集部】
国際性で注目されている上智大学【写真:ENCOUNT編集部】

七夕に合わせた“浴衣デー”も 勉強だけではなく遊び心も充実

 受験界では関東の超難関私大トップクラス4大学をまとめて「早慶上理」と呼んでいる。それぞれ早稲田、慶応、上智、東京理科を指し次のランクの明治、青山学院、立教、中央、法政は「MARCH」という名の難関大学群としてひとくくりにされている。しかし、近年は早慶を別格ポジションに置き、上智(S=SOPHIA)、明治(M)、青学(A)、立教(R)、東京理科(T)を「SMART(スマート)」と呼ぶ進学校や予備校もある。例えば東進ハイスクールは「2022東進現役合格実績」として「東大」「旧七帝大+東工大、一橋大、神戸大」「早慶」「上理明青立法中」などにグループ分けしている。上智と東京理科はMARCHクラスの大学としてワンランク下げられたかっこうだ。実際のところはどうなのか。上智のオープンキャンパスで雰囲気を探ってみた。

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 8月2日、都心に位置するJR四ツ谷駅。徒歩5分で上智大学北門に到着する。キャンパス内は制服姿の受験生と保護者らで大変な賑わいとなっており、その間を縫うようにキャンパスツアーの各グループが校内の名物スポットを案内していた。ソフィアタワーと呼ばれる6号館は17年春にオープン。地上17階、地下1階で館内には全学の言語教育を担う言語教育研究センターや800人規模の大教室、研究室が設けられている。館内はどこもピカピカで1階エントランスホールには大学や周辺地域の歴史・文化を展示するスペースがあり地域の新たなランドマークといった素敵なたたずまいだ。

 オープンキャンパスを盛り上げようと多くの在校生が活動していたが、すぐに気付くのは女性学生の多さだ。早稲田、慶応の女性学生比率は全体で4割弱。これに対し上智は6割を超えている。「23年上智大学入学試験資料」によると、一般選抜志願者は男性1万791人、女性1万1712人で合格者数は各3414人、3739人。いずれも女性が多いという結果だった。女性の学生に上智の魅力をたずねてみると「学生数が少ないのでこじんまりしている感じです。メインストリートが1本しかなく歩いていると知り合いに出会います。校舎も学部ごとに分かれておらず、学部横断型の全学共通教育が多い。有識者や企業人が来校するセミナーも頻繁に行われているので社会勉強になります。七夕に合わせた“浴衣デー”というのもあって学生がみんな浴衣を着て授業を受けるので楽しいです」。

 約1万2000人の学生がいるので決して小規模大学ではないが、早稲田の3万8000人、慶応の2万8000人と比べると確かに“こじんまり”感はある。別の学生はこう話した。「語学の授業は20人ぐらいの少人数教室なので、クラスメートとすぐに仲良くなります。外国籍の先生が多く国際的だと感じますし、留学制度も他大学に比べ相当充実しています」。上智の入試では大学独自の英語試験の代わりにTEAP(アカデミック英語能力判定試験)と呼ばれる外部の英語検定試験のスコアを利用する制度がある。早めにTEAPを受けて高得点を取っておけば、入試までの時間を他の科目に集中投下することができる。ただ、英語以外の科目は記述式が多くかなりの難問という見方が多い。

 一方、上智は推薦入学の割合が高いともいわれる。「確かに推薦合格者の割合は多いという印象です。旺文社の『2022年度用大学の真の実力情報公開BOOK』を見ると、総合人間科学部の一般選抜の割合は37%、法学部は40%、文学部、総合グローバル学部、理工学部、外国語学部は46~48%台です。一般選抜の定員枠が減れば狭き門となりいやでも偏差値は上がりますよ」(予備校入試関係者)。大手予備校・河合塾によると私学人文科学系難易度は早稲田の文学部と文化構想学部、慶応文学部が偏差値65.0~67.4のトップクラスで、上智文は早稲田教育、立教異文化コミュニケーションと並んで偏差値62.5~64.9のグループに入っている。一方、理工系は早稲田、慶応の理工学部が偏差値65以上でトップ。上智理工は東京理科、明治、同志社と同じ2ランク下の60.0~62.4のグループに入っている。「上智は超難関校と言われますが、理工は早慶に比べ入りやすい」(同)。

 では早慶上智、迷ったらどうすべきか。私大の大学講師はこう話す。「東京6大学野球の早慶戦やラグビーの早慶戦、早明戦を応援して大騒ぎするのも楽しいですし、浴衣デーを楽しむのもそれぞれ青春の一コマだと思います。圧倒的なブランド力がある早慶に行きたい、という気持ちも分かりますが、大学はレジャーランドではなく学問や研究をする場ですから、語学力や専門性を身につけることが第一。受験前にその大学の教育と研究の中身をよく調べて自分が将来何をしたいのか自問すべきです。もちろん不景気が続く中、4年後には就職を控えているわけですから、現実問題として“学歴フィルター”は意識すべきではありますが」。

 参考までに「大学の真の実力」によると、教員1人当たり学生数は上智24.3人、早稲田29.1人、慶応15.6人。国際性の指標となる外国人教員比率(大学院を含む)は上智19.3%、早稲田14.3%、慶応6.9%。学生数に対する教員の割合は慶応がダントツで良いが、国際性を見ると慶応は割と貧弱で上智がかなり進んでいるようだ。近年、グローバル教育を看板にしている大学は激増しているが、教員の多国籍化はなかなか進んでいないのが実情だ。上智といえば英語力と国際性。将来、世界を舞台に活躍したいと思っている受験生からの評価が高いのはうなずけるが、学生数に比べ教員数が意外に少ないという実情も透けて見える。ただ早慶上智とも東大の3.6人、京大の7.3人、東工大の4.6人には遠く及ばない。「早慶上理」なのか「SMART」なのか、あるいは国公立か……。受験産業が編み出した言葉遊びに振り回されるのではなく、大学の中身を問うことが大切だ。

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