「エール」窪田正孝インタビュー、ハーモニカを1人で吹くシーンで感じたこと
「誰かのために吹くと、音が変わるし、技術と気持ちがいったりきたりする感覚でした」
――演奏シーンを振り返って、いかがですか。
「ハーモニカ、譜面の書き方、オルガンの練習……色々あってすごく大変でした。自分の前にいる先生が回転ずしのように回っている感じでした(笑)。ハーモニカを1人で吹くシーンでは、実際の生音を使ったりするので、緊張というか何とも言えない感覚になります。人生どん底の中で吹くシーンもありましたが、音にならない音になって、音は外れたが、『気持ちを表す意味ではオッケー』という監督の決断になって、使われることになりました。誰かのために吹くと、音が変わるし、技術と気持ちがいったりきたりする感覚でした」
――妻の音さんとは手紙をもらってから交流が始まったと思うのですが、手紙から始まる交流をどう思いますか。
「とてもいいと思います。文通をしていたころを思い出します。今はメールとか色々便利ですが……。音さんからの手紙には、ハートがついていたりするんです。ふちが赤く塗られていたり、ハートの上に音符が刺さっているという風に、かなりおしゃれでした。色んなデザインが書かれていて、ちょっと照れ臭くなりましたね。文章だとちょっと厳格な感じがしますが、ひも解いて読んでみると、結構、イチャイチャしているんですよね(笑)」
――2人はどんな夫婦だと思いますか。
「同じ音楽家ですが、声楽家と作曲家というジャンルも違うというところで、お互いにないものを担い合っているところが、すごい理想だと思います。同業者の夫婦だと色々話せることもあるし、理解しあえるところもあると思ってやっています。妻の音さんはきびきびしていて、迷った時にそばにいてくれるだけでいい感じがします。ケンカもすごくするが、あまり怒らせちゃいけないなと思います。音さん、すごく怖いです(笑)。突き放された感があった時は、ちょっとショックでした(笑)。そのシーンの前はラブラブなことをやっていたんですが……やっぱりラブラブが一番だなと思います」
――撮影中に励まされた曲はありますか。
「中学の時の文化祭で『大地讃頌』という曲の指揮者をやらせてもらいました。高校に進学する時に、バスケ部だったんですが、『この先、どうしよう』とすごく悩んでいた時に聞いていたので、僕の中で大切な曲です。それを思い出したりしました」
――現場の様子を教えてください。
「笑いが絶えない現場です。脚本もすごくポップで、監督がポジティブで、ふみちゃんもすごくよく笑っているし、みんな生き生きしています。音楽のシーンになると、みんな自然と体が揺れているんですよね。カメラマンさんも頭が動いて、リズムを取っているんです。すごい一体感がある感じがしています。ムードメーカーはふみちゃん。唐沢(寿明)さんが来たら、圧倒的に唐沢さんです(笑)」
□窪田正孝(くぼた・まさたか)1988年8月6日、神奈川県出身。2006年、フジテレビ系「チェケラッチョ!! in TOKYO」でドラマ初主演。12年にNHK大河ドラマ「平清盛」、14年に朝の連続テレビ小説「花子とアン」に出演。これまで「デスノート」「ヒモメン」「MARS~ただ、君を愛してる~」「東京喰種トーキョーグール」「カノジョは嘘を愛しすぎてる」「64-ロクヨン-前編/後編」など数多くの映画やドラマに出演している。