椿彩奈、一世風靡で多忙を極めた当時 プロ雀士としての夢に突き進む今、eスポーツ分野でも存在感発揮

今季からプロ雀士として活躍するタレントの椿彩奈(38)は、巧みなトーク術を持ち味に、大好きなゲーム・eスポーツ分野で、イベント司会や実況でも存在感を発揮している。モデルとして一世風靡(ふうび)した当時は多忙を極めた悩みも。それに、自らのセクシュアリティー、今後目指す姿を語ってもらった。

ゲーム・eスポーツ分野でイベント司会や実況でも存在感を発揮している椿彩奈【写真:舛元清香】
ゲーム・eスポーツ分野でイベント司会や実況でも存在感を発揮している椿彩奈【写真:舛元清香】

麻雀プロとして活動1年目 夢は「Mリーガーになりたいです」

 今季からプロ雀士として活躍するタレントの椿彩奈(38)は、巧みなトーク術を持ち味に、大好きなゲーム・eスポーツ分野で、イベント司会や実況でも存在感を発揮している。モデルとして一世風靡(ふうび)した当時は多忙を極めた悩みも。それに、自らのセクシュアリティー、今後目指す姿を語ってもらった。(取材・文=吉原知也)

 2008年に自叙伝「わたし、男子校出身です。」(ポプラ社)を出版したことが大きな話題となり、09年に女優デビュー。テレビ出演にひっぱりだこの多忙な日々を送った。当時の記憶は飛び飛びだという。

「あの時は本当に忙しすぎて毎日の睡眠時間が1時間、2時間で、倒れたりすることもありました。いま振り返ると、反省点の方が多く、『いまならもっとうまくやれたのに』と思うことばかりです。モデルからのスタートで、私自身も当時の所属事務所のマネジャーも全然慣れていませんでした。来た仕事は全部受けるみたいな感じで、多い時は分刻みのスケジュールで1日10件をこなしていました。20歳過ぎぐらいの私なりに精いっぱい頑張ったとは思うのですが、もうちょっと1つ1つの仕事のクオリティーを上げることができたかな。事務所の社長と大げんかして大泣きしてそのまま収録に出てということもありました。いまの私だったら、とりあえず泣くのは我慢して出られたのに、と思ったりします。もちろん事務所が私のためにやってくれていたことは分かっています」

 討論・トーク番組にも出演。幅広くイベントにも出た。知名度が上がるとともに、周囲の反応や反響に気を病むこともあったという。酸いも甘いもかみ分けた。

「あの時に呼んでいただき、お仕事をいただいた方々には感謝の思いがあります。私がワーッと頑張ってしゃべって、面白いことを言ったり他の人と絡んだりしても、私が面白くなかったのかもしれないのですが、結構カットされちゃって。私に求められているのはそういうポジションではないのかもしれない、ニコニコ笑っていればそれでいいのかな。『あれ、これは私じゃなくてもいいんじゃないかな』と悩んだ時期もありました。

 例えば討論番組で、ちょっといがみ合うようなところで私がガーッと言うと、どうしても編集の都合で盛り上がっている場面が使われることもあるので、ネットで『性格悪い』と言われたりしました。他にも、あることないことをネットに書かれて、人間不信になっちゃうこともありました。それに、すごく疲れているのに5分で衣装を買いに行かないといけない時があって、店員さんに話しかけられても、『あっ、ありがとうございます』と言ったもののあまり笑顔が作れなかったりすると、『すごい愛想が悪かった』と書かれて叩かれちゃうこともあって……。何をどうしたらいいのか。あの頃は分からなくなった時もありました。

 もちろん、『応援しています』と声をかけられることもたくさんあります。そういう方たちと触れ合える、メッセージをいただけるという、すごくすてきな仕事だなと思うところももちろんあります。ファンの皆さんには常に感謝しています」

 頭の回転と話術の「司会力」が、現在の原動力になっている。どのように鍛えたのか。

「もともと人と話すのがすごく好きなんです。好奇心旺盛で、ラジオが大好き。ちっちゃい頃からラジオMCごっこをやっていたんです。ニコニコ動画の配信もずっと見てきて、実際に関わるようにもなりました。芸能界に入って生放送のラジオのレギュラーをいくつかやらせてもらった経験もあって、まだまだですが、少しずつ培われてきたと思っています」

「フランス語や英語といった語学の強みを生かしながら」

 新たな挑戦を続け、トーク力を磨いてきた。MCの道に進んだ深い理由についても教えてくれた。

「タレント活動をしていく中で、例えば大きな災害などが起こった際に、仕事がなくなってしまうことがあります。私に関してタレントの『才能』というものは何があるんだろうと考えた時に、あの本に関してのことだけしか触れられてこなかったことが多かったんですよね。それはそれで別に隠しているわけではありません。ただ、私という人間・存在はそれだけじゃないのに、と思うことが増えてきました。自分自身のスキルを身に付けないといけないと思って、MCに進み始めたのも理由の1つです」

 従来から、シングルマザーや容姿でいじめられている人、コンプレックスを抱えている人、LGBTQ+(性的少数者)らに前向きなメッセージを送っている。「コンプレックスは個性になり得るんだよ、自分の経験値になることもあるよ」と、優しく支えている。

「例えば、LGBTQ+について言うと、極論になるかもしれませんが、こういう会話の中に、何か特別な話題として出てくることがなくなる時代になればいいなと思っています。例えば、自然に『あの人はゲイの方なんだよ』『そうなんだね』というように、それが特別な議題やテーマに上がることがないような時代になってほしいです。それに、LGBTQ+は、世界の人口で1割から2割近くいるとも言われています。身近に結構そういった方がいて、社会がちょっとずつ変わってきていると思っています。私自身は、いま麻雀プロやeスポーツの仕事をしていて、セクシュアリティーのことは全く言っていません。看板を持つように『私はこうです』と押し出すことはしていません。それでも、私のことを調べたら出てくると思います。特別視されることなく、『そういう人がこうやって、いち女性タレントとして活躍しているんだ』と思ってもらえたら。私はそれが、偏見がなくなる一番のことかなと思っています。

 いろいろなコンプレックスを抱えている人、少数者の人が、生きやすい社会になれば。私は、自分の気持ち次第で、世間体の壁をなくすことができると思っています。一度きりの人生を、自分らしく生きられる。そんな前向きなメッセージを引き続き届けていきたいです」

 麻雀のプロとして活動して1年目。eスポーツは世界的に人気が高まる中で、自身の今後の歩みをどう見据えているのか。

「もちろんプロになったからには人生を懸けて取り組み、(プロ麻雀リーグ『Mリーグ』の)Mリーガーになりたいです。それに麻雀ブームがきているので、麻雀自体の普及活動を進めていきたいです。タレントとしては、いまベースとなっているMCのお仕事をもっとやっていきたいと思っていますし、eスポーツについても海外ファンの方との交流を進めながら世界に視野を広げていきたいです。私だからできること、それは、タレントでありながらeスポーツに詳しい、麻雀プロでありながらトークでしゃべれる。さらに、フランス語や英語といった語学の強みを生かしながら、それぞれの分野で少しでも何か貢献できたらと思っています」

□椿彩奈(つばき・あやな)、1984年7月15日、埼玉県生まれ。青山学院大文学部フランス文学科出身。2008年、自叙伝「わたし、男子校出身です。」(ポプラ社)を出版、モデルや女優として活躍し、ゲーム分野のMCや実況でも長く活動する。21年、日本プロ麻雀協会に20期後期入会。プロ雀士として麻雀界の発展にも注力している。

公式ツイッター
https://twitter.com/ayanatsubaki
公式インスタグラム 
https://www.instagram.com/tsubakiayana/

公式YouTube「つばきちゃんねる/椿彩奈 Ayana Tsubaki」 
https://www.youtube.com/channel/UCLE2-k0OlzQT98Fcc_dT06w

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