皇治、人気集める「BreakingDown」に持論 「賛否両論あっていい」「プロは知名度があってナンボ」

来る8月14日、エディオンアリーナ大阪 第1競技場で「3150(サイコー)FIGHT」が開催される。これは元プロボクシング世界王者の亀田興毅ファウンダーがプロデュースするボクシングイベントだが、プロボクシング公式戦の後のイベントにキックボクサーの皇治が参戦。「ABEMA スペシャルマッチ」 by「3150FIGHT」を行うことが決定した(正式なルールは後日公表)。なぜ皇治はこのイベントに関わるのか。本人に聞いた。

皇治は「3150Fight」に参戦しスペシャルマッチを闘う
皇治は「3150Fight」に参戦しスペシャルマッチを闘う

緊迫感のあった会見

 来る8月14日、エディオンアリーナ大阪 第1競技場で「3150(サイコー)FIGHT」が開催される。これは元プロボクシング世界王者の亀田興毅ファウンダーがプロデュースするボクシングイベントだが、プロボクシング公式戦の後のイベントにキックボクサーの皇治が参戦。「ABEMA スペシャルマッチ」 by「3150FIGHT」を行うことが決定した(正式なルールは後日公表)。なぜ皇治はこのイベントに関わるのか。本人に聞いた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

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「もっと盛り上げてくれよ。覚悟が足りんですね」

 去る7月22日、都内にて実施された「ABEMAスペシャルマッチ」の会見に出席した皇治は、会見後に行った単独取材の席で、開口一番そう言い放った。

 皇治が言いたいのは、会見上で皇治の対戦相手を決める際、敵意をムキ出しで皇治に歯向かって来なかった、「亀田史郎の3150ファイトクラブ」出身のヒロキングやABEMAの「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」企画に出場した藤崎美樹による、皇治に対する姿勢を指す。

 言ってしまえば格闘技界からボクシング界に侵略してきたエイリアンである皇治が歓迎されているようでは、「ABEMA スペシャルマッチ」 は盛り上がってはいかない。結局、くじ引きの結果、皇治の相手はヒロキングに決定したが、当日はスペシャルマッチで闘うとはいえ、皇治にとっては物足りなさを感じた会見だったようだ。

 それでも、これまで皇治が闘ってきたK-1やHEAT、またはRIZINと違って、ボクシングの大会になるだけにルールも含め、「他流試合」の色合いが強くなる。その点ではこれまでとは違った、あらたな皇治の姿が見られる可能性は高い。これに関して皇治は、「そうっすね。自分がどこまでボクシングができるのか。スパーリングとはちゃいますからね」と答えた。

 皇治は「盛り上げてくれ」とは言ったものの、会見はこれまでに皇治が出席したものとは別の緊張感があった。それをリング上に持ち込めたら、今までとはまた別の面白いものが現出できるに違いない。

「いや、そうですそうです。ただ、いつも思っていることですけど、これ以上のものを見せないとね。会見もちゃんとした見せ場ですけど、それ以上のものを見せないと。やっぱりリング上はバチバチ行きたいですから」

 参考までに皇治は、これまでにも何度か「トライアスロンに挑戦する」といった独特の言い回しで、これまで闘ってきたキックボクシングの枠を飛び出す旨の発言を残してきた。今回の試合も、それに該当するのか。

「これもそのひとつですよ。いろんなことせんとね」

 ともあれ、皇治が今回の参戦を決めた理由が気になった。やはり亀田興毅ファウンダーの熱意にほだされたのか。

「それもあるし、ボクシングが好きやからやってみたいっていうのもありましたけど、なにより大阪を盛り上げたいっていうのがありますし。俺は綺麗事で言っているんじゃなくて、一部のおっさんたち、ちっさいこと言うなよって。みんなで盛り上げたらええやんけと。俺はそう思っているので、そういう思いから出ることに決めました」

 皇治の話を聞いていくと、その言葉の裏には、独自の「プロ」に関する考え方が見え隠れしている。

「だってね、俺がここに呼ばれたのはなんでかっていったら、(会場が)埋まらへんからでしょう? お客を入れられへんから、俺に『出てくれ』って言われているわけじゃないですか。もし『皇治なんかが出てくるな』って、一丁前にボクサーが言うんだったら、お前がそれだけの客を入れろよと。それだけの話なんでね」

皇治(左から二番目)の相手はくじ引きの結果、ヒロキング(右端)に決定。元世界王者・内山高志(左端)と闘う可能性もあった
皇治(左から二番目)の相手はくじ引きの結果、ヒロキング(右端)に決定。元世界王者・内山高志(左端)と闘う可能性もあった

まずは「ABEMAスペシャルマッチ」

 もちろん、あくまでこれは皇治の主張だが、その言い分は至極真っ当だ。

「まあ、全部ひっくるめてプロですよ。それを分かれと。たぶん、グチャグチャ言うヤツがいると思いますけど、俺がいなくなったら凄いオモロないと思うんですよ。だから、いろんな選手が自分の足で動いて試合すればいいんですよ。ちょっと前までは考えられなかったでしょう。俺がボクシングのイベントに関わるなんてね」

 たしかに歴史や伝統を重んじてきたボクシングのリングで、番組企画のスペシャルマッチとはいえ、皇治のようにライセンスを持たないキックボクサーが試合をすることは例を見ない。それだけ、「ABEMAスペシャルマッチ」が非常に斬新なことを行っている証拠でもある。

「そういうことをもっとやっていったら盛り上がると思うんですよ。個々の影響力を持った選手がどんどん動いていったら、どんどんいい影響になっていく。だから他人に乗っかるってことをせずに、自分の足でリスクを背負って動くことに意味があるんかなって俺は思う」

 そんな独自の考えを持っている皇治に、ひとつ聞いてみたいことがあった。それは最近、特にSNSを使いこなす若者に支持を受けている「Braeking Down」についての見解だ。「Braeking Down」とは公式ツイッターによれば、「格闘技や格闘家のありきたりなイメージを壊し続ける。1分1ラウンドの超短期決戦」。要は1分1ラウンドという非常に限られた試合時間のなかで、最強を決める試合形式のことだ。

 これについて皇治は持論を述べる。

「いいと思いますよ、賛否両論あって。格闘技に関する努力の時間が長いのはボクシングの選手だったり立ち技のヤツらだと思うんですけど、それを素人のヤツらが一夜にして抜いていく。プロなんでね、知名度があってナンボなんでね。そこを抜いていくってことは、(抜かれてしまう)今の格闘家の人たちの考えがダメなんですよね。そういう意味では、もちろん俺たちにも刺激はありますし。逆に言えば、素人が一気に抜いていってしまうのは、プロに実力がないわけですから」

 そう言って皇治は、いわゆる格闘家が内包する問題点を指摘しながら話を進めた。

「一番プロが大事なことは、客を集めること。その点では(「Braeking Down」は)素晴らしいと思いますよ」

 そんな皇治に「その前にまずはこれですね」と「ABEMAスペシャルマッチ」のパネルを指差すと、「まずはね。頑張ります」と答えた後に、「ただね、これは遊びですよ。試合じゃないですから」と付け加えた。そうやって皇治は常に自分の役割をまっとうしようとする。それが皇治の話す「プロ」の姿。だからこそ波風が立つこともあるが、それは誰に言われずとも本人が一番分かっている。分かっているからこそ、皇治にお声がかかるのだ。

「ABEMAスペシャルマッチ」での皇治が何を見せるのか。楽しみになってきた。

次のページへ (2/2) 【動画】大阪での「3150Fight」に参戦する皇治が、名古屋での「 HEAT」を盛り上げる会見に出席した際の映像
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