椿彩奈、プロ雀士の新たな顔 “麻雀プロマニア”から一念発起「もう遅いかなと諦めていた」

モデルとして一世風靡(ふうび)し、タレント・ゲーム分野MCなどで活躍する椿彩奈(38)が、プロ雀士として新たな道を切り開いている。もともと“麻雀プロマニア”だったというが、2021年夏に「日本プロ麻雀協会」のプロ試験に合格。晴れてプレーヤーとしてリーグ戦などで奮闘している。大好きなゲーム分野では、得意のトークを生かしてイベント司会や実況で活躍し、eスポーツ普及にも思いを寄せる。充実のいま、今後の夢について聞いた。

椿彩奈はプロ雀士として新たな道を切り開いている【写真:舛元清香】
椿彩奈はプロ雀士として新たな道を切り開いている【写真:舛元清香】

2021年夏に「日本プロ麻雀協会」プロ試験に合格 「Mリーガーになりたい」宣言

 モデルとして一世風靡(ふうび)し、タレント・ゲーム分野MCなどで活躍する椿彩奈(38)が、プロ雀士として新たな道を切り開いている。もともと“麻雀プロマニア”だったというが、2021年夏に「日本プロ麻雀協会」のプロ試験に合格。晴れてプレーヤーとしてリーグ戦などで奮闘している。大好きなゲーム分野では、得意のトークを生かしてイベント司会や実況で活躍し、eスポーツ普及にも思いを寄せる。充実のいま、今後の夢について聞いた。(取材・文=吉原知也)

誰もがアッと驚く夢のタッグ…キャプテン翼とアノ人気ゲームのコラボが実現

 麻雀との出会いは、家族や親戚で正月に集まって遊んだことがきっかけ。祖父と父が好きで、「私にとって麻雀は、人と人をつないでくれる温かいもの。子どもの頃から自然にあったものでした」。そして、麻雀ゲームがはやり出した学生時代に転機が訪れたという。

「20歳過ぎぐらいの時です。ライト層としてゲームで楽しく麻雀をやる感じだったのですが、携帯の麻雀ゲームでたまたま役満を出したので、ブログにアップしたんです。そうしたら、『THEわれめDEポン』(フジテレビ系)のオファーがきちゃったんです。『初心者なんですけど、それでもいいですか』と聞いたら、『打てなくてもいいから来て』とお返事をいただいて。当時は麻雀の仕事をよしとする事務所はあまりなく、タレントさんが少なかった事情もあったみたいです。それでも、実際に出演したらボロボロで何もできず、それに叩かれたりもしました。次は実力で呼んでもらえるように、より真剣に取り組むようになりました。そこから(俳優でプロ雀士の)萩原聖人さんに教えていただいたり、麻雀界のつながりでスピードワゴンの小沢一敬さんやアンジャッシュの児嶋一哉さんとは麻雀友達として仲良くさせていただいたり。他にもMリーガーの方やプロの方との人脈が広がりました」

 麻雀に興味を持つ女性芸能人を集めた勉強会の“裏方”としても活動してきた。

「じわじわ麻雀ブームがくる中で、タレントの麻雀番組の需要が出てきました。プロデューサーの皆さんから『初心者で、名前が売れているタレントさんをちょっと鍛えてあげてほしい』と言われたことで始まりました。私は“場所決めおばさん”といった感じです(笑)。プロの先生をお呼びして芸能人の皆さんに声をかけて運営をやっています。やってみると、意外にアイドルの子もいて。(元乃木坂46でプロ雀士の)中田花奈ちゃん、(SKE48の)須田亜香里ちゃんが来てくれたこともありました。みんな興味はあるけどリアルで打つ機会や勉強をする機会に飢えているんだな、ということを感じました。2017年ぐらいから続けてきましたが、コロナ禍になってしまい、プロになった子も多く、現在はストップしています」

 それでは、自らがプロになるという決意はどのようなものだったのか。

「ようやく重い腰を上げました(笑)。もちろん、プロになりたいという気持ちはずっとあったんですよ。でも、私自身がものすごく麻雀プロマニアで、一時期は全ての有料チャンネルに登録して、どのプロがおすすめなどノートにまとめていたぐらいだったので、憧れの人たちと同じ舞台に自分が立つことはおこがましいという思いが先に立っていました。こうした中で、麻雀ブーム到来で、私もそれに乗ってもいいんじゃないかなと思うようになりました。もう遅いかなと諦めていたんですけど、プロにしか出場できない大会もあります。それに、コロナ禍になって仕事がなくなるという状況を経験して、人生でもう1回、真剣に打ち込んで挑戦できることは何かと考えた時に、麻雀だと思ったんです」

eスポーツ界への思い「ゲームの魅力を伝えるプロという立場で力になれたら」

 一方でゲームの造詣も深く、“守備範囲”はおなじみのタイトル、格闘ゲーム、カードゲームと幅広い。eスポーツ界への貢献の思いを強くしている。

「好きなゲームは『ドラクエ』、『ポケモン』、『モンハン』、それに各種eスポーツです。eスポーツで注目されるもので言うと、ポーカーゲーム『m HOLD’EM(エムホールデム)』や、国体の文化プログラムに選ばれている『ぷよぷよ』の大会MC・実況をやらせていただいています。私自身、小さい頃から『ゲームをしたらばかになる』『ゲーセンは不良のたまり場』と言われて育った世代です。それがいまは、eスポーツが常にツイッターのトレンドに入り、プロ選手が世界中から応援される時代になりました。それでも、まだ未成熟なジャンルでもあります。プロとはなんぞやということがはっきりしていませんし、マネタイズの方法もふわふわしています。出る側のコンプライアンスの部分で炎上することもあります。私自身はゲームの腕前は中の上ぐらいで、がっつりアスリートの性格ではないので、好きなゲームの魅力を伝えるプロという立場で、何かお力になれたら。それに、青山学院大でゲームのシンポジウムの司会をやらせていただく機会がありました。eスポーツと麻雀について啓蒙活動じゃないですけど、イメージアップにつながる活動にも力を入れたいと思っています」

 麻雀ではプロとして参戦1年目。プロ選手として、ファンとして、充実した日々だ。

「純粋にすごく楽しいです。なぜかと言うと、私はプロでありながら、いち麻雀ファンなんです。同じ麻雀の話ができる、熱い討論ができる、そういった仲間が周りにいるということが最高に幸せなんです」

 麻雀界で生きる今後は。新たな夢が芽生えているという。

「デイケアセンターを訪問しておじいちゃんおばあちゃんに麻雀を通して楽しんでもらったり、子どもたちと麻雀で遊びながら交流できるような活動がしたいです。それに、目標について改めて考えている中で先日、プロ麻雀リーグ『Mリーグ』のドラフト会議を見ていた時に、麻雀界の頂点として目標にするべきところは、やっぱりMリーガーなんだなと思いました。まだまだ実力不足ですし、憧れの先輩たちですらまだなれていない状況もあります。おこがましいですが、それでも、Mリーグのドラフトで名前が挙がるぐらいの雀士になることを目標にするのは悪いことじゃないのかなと思いました。新人が何を言ってるんだと怒られるかもしれませんが、『Mリーガーになって』と言っていただけるファンの方に応えるためにも、プロとしてちゃんと名を上げて、支えてくださる方たちに『応援してよかったな』と思ってもらえるようになりたい。その気持ちがすごくあります」

□椿彩奈(つばき・あやな)、1984年7月15日、埼玉県生まれ。青山学院大文学部フランス文学科出身。2008年、自叙伝「わたし、男子校出身です。」(ポプラ社)を出版、モデルや女優として活躍し、ゲーム分野のMCや実況でも長く活動する。21年、日本プロ麻雀協会に20期後期入会。プロ雀士として麻雀界の発展にも注力している。

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