寺島しのぶ「フランスは芸術への理解が違う」「心打たれた」 SKIP映画祭で審査委員長

若手映像クリエイターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」のクロージングセレモニーが24日、埼玉・川口市のSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザで開催され、国際コンペティション最優秀作品賞にフランスの「揺れるとき」(サミュエル・セイス監督)が選ばれた。

ビデオメッセージを寄せた寺島しのぶ【写真:ENCOUNT編集部】
ビデオメッセージを寄せた寺島しのぶ【写真:ENCOUNT編集部】

セイス監督「映画作りは豊かな旅路でした」

 若手映像クリエイターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」のクロージングセレモニーが24日、埼玉・川口市のSKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザで開催され、国際コンペティション最優秀作品賞にフランスの「揺れるとき」(サミュエル・セイス監督)が選ばれた。

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 同作は東フランスの貧しい地域で、シングルマザーの母と2人のきょうだいと共に暮らす10歳の少年が、新任教師に心を惹かれ、成長していく姿を描く。カンヌ映画祭批評家週間でプレミアされ、今回がジャパンプレミアとなる。

 国際コンペティションの審査委員長を務めた女優の寺島しのぶは諸事情でセレモニーを欠席したが、ビデオメッセージで祝福。「心打たれた。主人公の男の子から目が離せなかった。どうやって監督は男の子を導かれたのか。最後に夢もあって、完成度も高い。素晴らしい映画を見せていただいた。10本見た作品のうち5本がフランスが出資している。芸術に対する理解を違うんだ、と見せつけられた。監督とお話したかったです」などと語った。

 寺島はフランス人アートディレクター、ローラン・グナシア氏と結婚し、フランス文化に造詣が深い。

 セイス監督は「映画作りは豊かな旅路でした。コロナ禍で苦難の時代ですが、活力がみなぎっている。新たな領域の挑戦も始まっています。映画とは人と共同体験することだと信じています」と話した。

 2019年以来3年ぶりのスクリーン上映とオンライン配信を併用した初のハイブリッド開催を行った同映画祭は、過去に白石和彌監督(09年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」)、中野量太監督(12年監督賞&SKIP シティアワード「チチを撮りに」)、坂下雄一郎監督(13年「神奈川芸術大学映像学科研究室」)、上田慎一郎監督(16年「テイク8」)、片山慎三監督(18年「岬の兄妹」)が受賞。新人監督の発掘の場となっている。

 製作援助を受けられるSKIP シティアワードの武蔵野美大出身の霧生笙吾監督は「正直、賞はもらえないだろう、どうやって帰ろうかなと思っていました。昨日は教授が来てくれたのですが、怒られました。課題は山積みだと気づけましたが、映画を作る楽しさを学べた。SKIPシティの機材を使って、またSFを作りたいなと思います」と意欲を見せた。

 国内コンペティション審査委員長を務めた撮影監督の芦澤明子氏は「驚くべきレベルの高さにびっくりしました。作品がコロナ禍を経て、未来へ向かっていくことに可能性を感じましたし、受賞作以外にもたくさんのいい作品がありました」と総評を述べた。受賞作のほとんどはオンライン配信で7月27日午後11時まで鑑賞できる。

○受賞一覧
国内コンペティション部門
観客賞(短編部門)=「ストレージマン」(萬野達郎監督)
観客賞(長編部門)=「ヴァタ ~箱あるいは体~」(亀井岳監督)
優秀作品賞(短編部門)=「サカナ島胃袋三腸目」(若林萌監督)
優秀作品賞(長編部門)=「ダブル・ライフ」(余園園監督)
SKIPシティアワード=「Journey」(霧生笙吾監督)

国際コンペティション
観客賞(長編部門)=「彼女の生きる道」(セシル・デュクロック監督)
審査員特別賞=「UTAMA~私たちの家~」(アレハンドロ・ロアイサ・グリシ監督)
監督賞=「マグネティック・ビート」(ヴァンサン・マエル・カルドナ監督)
最優秀作品賞=「揺れるとき」(サミュエル・セイス)

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