俳優の役所広司と永山絢斗が18日、都内で行われた映画「峠 最後のサムライ」公開後舞台あいさつに、共演の坂東龍汰、メガホンをとった小泉堯史監督とともに登壇した。

　歴史小説界の巨星・司馬遼太郎が、幕末の風雲児と呼ばれた、越後長岡藩家老・河井継之助（役所）を描いた国民的ベストセラー「峠」を実写映画化した本作。時流は倒幕へと傾き、サムライとしての使命と庶民を先導するリーダーとしての狭間で葛藤しながらも、強大な武力を誇る明治新政府軍に立ち向かっていく継之助の“最後のサムライ”として本当の正義を貫こうとするその姿が、現代を生きる私たちに日本人の生き方、リーダーとしてのあるべき姿を問いかける歴史超大作となっている。

　ロケ期間中に、自身が演じる継之助の従僕・松蔵の墓参りに行くため、花を買いにイオンに行ったという永山は「そこで役所さんとばったりお会いして、とてもレアな経験をさせていただきました。お付きの方がいらっしゃって、どういうポジションで、どういう距離感でいつも役所さんのそばにいるのかなって見ていたんですけど、ついに話しかけてしまいまして、『役所さんの素晴らしいと思うところはどこですか？』と聞いたんですけど、『現場に入って感じるのは、ほかの役者さんよりも台本を読み込んでいることです』とおっしゃられて、すごく心に刻み込んだ一言でした」とエピソードを回顧し、これに役所は「僕はたぶん、部屋で食べる酒のつまみかなんかを買いに行っていたんだと思います（笑）」と照れ笑いを浮かべた。

　また、本作は公開から1か月が経ってもなおロングラン興行が続いているが、時代劇の面白さを聞かれた役所は「人間の生活とか、生き方というのは今もそんなに変わらないんでしょうけど、時代劇の場合はいろんなものが簡潔ですよね。携帯電話もないし、手紙を書けばずいぶん時間もかかるし、そういう意味で余分なものを削り取った人の生き方とか、日本人の習慣とか文化とか、そういうものがシンプルに伝えられるのが時代劇なような気がしますし、同じ人生の過去を生きてきた人たちのことを演じたり、見たりすることによって、学ぶことがたくさんあるような気がします」と吐露し、「表現の仕方は違うと思いますけど、時代劇の場合はそれがくっきりとした状態で伝わってくれるような気がしますね」としみじみと語った。