阪本順治監督が語る 別府のミニシアター館長が「日本映画ペンクラブ賞」受賞の意味
2019年度「日本映画ペンクラブ賞」表彰式が18日に東京・銀座のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われ、功労賞を受賞した大分・別府ブルーバード劇場の岡村照さん(88)のサプライズゲストとして阪本順治監督(61)が登壇した。
大分・別府ブルーバード劇場の岡村照さんに功労賞
2019年度「日本映画ペンクラブ賞」表彰式が18日に東京・銀座のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われ、功労賞を受賞した大分・別府ブルーバード劇場の岡村照さん(88)のサプライズゲストとして阪本順治監督(61)が登壇した。
日本映画ペンクラブは、映画など映像に関する評論、報道、出版、放送、制作、マルチメディアなどに従事するプロの任意団体(1959年11月創立)。毎年、ベスト5映画を選定するとともに、映画界に多大な業績や貢献をした人々を表彰している。私も本年度から同会員に名を連ね、新参者ながら照さんを功労賞に推薦させていただいた。
コロナウイルスの世界的な蔓延が進む中、この表彰式も開催か中止かの選択を迫られた。幹事によれば、通年、開催していたバイキング形式の食事をやめて、徹底した感染防止作を講じ、規模を縮小することで、どうにか開催できるとの判断に至ったそうだ。華やかな式典とはならず、受賞した皆さんに対しては申し訳ない気持ちもあるが、さまざまなイベントが中止を選ぶ中、一生に一度の晴れ舞台である式典を開催できたことは一会員として、よかったと思っている。
照さんは日本有数の温泉街、大分・別府で唯一、経営を続けているミニシアター「別府ブルーバード劇場」の3代目館長。父・中村弁助さんが敗戦後まもない1949年に「子どもに夢を与えたい」と創業。しかし、弁助さん、夫・昭夫さんが相次いで亡くなり、70年に3代館長に就任した。
全盛期には別府にも20館程度の映画館があったが、映画の斜陽化、近年はデジタル化、シネコンの進出などさまざまな時代の波に押され、一つずつ映画館は閉じていった。そんな中でも、照さんは「父や夫が作ってくれた映画館を残したい。2人がせっかくレールを敷いてくれたんだから、その上を走っていけばいいと思い、続けてきた」と映画の灯を守り続けてきた。
私はそんなブルーバード劇場の評判を聞き、昨年夏、同じく大分県由布市で開催の「湯布院映画祭」の帰りに取材させていただいた。娘でマネージャーを務める実紀さんから話を伺い、館内を拝見し、昭和レトロな味わいある映画館に魅了された。初めて来たのに、なんだか懐かしい、そんなアットホームな映画館だった。昨年11月には、阿部サダヲ、真木よう子、リリー・フランキーらが参加した「第3回Beppuブルーバード映画祭」も取材させていただいたが、毎回、長い行列ができる盛況ぶりだった。