ツーブロック禁止、下着指定…ブラック校則はなぜ存在? 元教員が説明する“合理的理由”

近年、学校現場で一方的に理不尽な規則を押し付ける「ブラック校則」が問題化している。東京都教育委員会では4月から高校を中心に、頭髪の黒染め強要やツーブロック禁止、下着の色の指定など5つの校則を全廃した。兵庫県神戸市でも今年からポニーテール禁止や靴下は白一色といった校則を廃止するなど、ブラック校則撤廃の動きは各地に広がっている。理不尽なブラック校則はどのように生まれ、なぜこれまで維持され続けてきたのか。元公立中学校教員で自身の経験から学校の“モヤモヤ”を発信、フォロワー2.4万人を抱えるのぶ(@talk_Nobu)さんに学校現場のリアルを聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

ブラック校則、なぜ誕生?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ブラック校則、なぜ誕生?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

東京都では4月から頭髪の黒染め強要やツーブロック禁止などの校則を全廃

 近年、学校現場で一方的に理不尽な規則を押し付ける「ブラック校則」が問題化している。東京都教育委員会では4月から高校を中心に、頭髪の黒染め強要やツーブロック禁止、下着の色の指定など5つの校則を全廃した。兵庫県神戸市でも今年からポニーテール禁止や靴下は白一色といった校則を廃止するなど、ブラック校則撤廃の動きは各地に広がっている。理不尽なブラック校則はどのように生まれ、なぜこれまで維持され続けてきたのか。元公立中学校教員で自身の経験から学校の“モヤモヤ”を発信、フォロワー2.4万人を抱えるのぶ(@talk_Nobu)さんに学校現場のリアルを聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 のぶさんがツイッターで発信を始めたのは、中学教員として10年目を迎えた2020年4月。その後、教育関係の民間企業に転職し、現在は主に教育委員会などを相手に活動、教育現場をより良くするため多忙な日々を送っている。

「ツイッターを始めたのは、教育現場で日々感じていた違和感について、世間一般の人がどう感じるのかを知りたかったから。そこからもっと自分の知見を広めたいと思い転職しました。教員時代は都道府県単位でしか現場を知れませんでしたが、今は全国のいろんな地域の学校事情を知れる。そういったものはまた現場に戻ったときにも役立つでしょうし、世の中を巻き込むためにも発信力は持っておきたいと考えています」

 髪型や制服の着こなし、日焼け止めの使用や水筒の持参禁止など、科学的な根拠のない理不尽なブラック校則は各地に存在する。のぶさんも過去にさまざまなブラック校則に遭遇するたび疑問を唱えてきたが、そもそもこれらの校則はなぜ誕生したのだろうか。

「ルールができたときはそれなりの理由はあったのでしょう。ツーブロック禁止は『不良に絡まれるから』、キャラものの文房具禁止は『経済格差からいじめにつながる』といった感じですね。確かに、学校が荒れていた時代にそれを沈静化させる一定の効果はあったと思います。あとは教員の指導力不足や負担の問題。先生によって言うことが違うよりは、一律に禁止してしまった方が楽。教員が一枚岩になるという目的もあったと思います」

非行をやめさせるのであれば、必要なのは福祉や支援で髪型の指導ではない

 時代が違うとはいえ、もともとは生徒が荒れるのを防いだり、教員の負担を軽減するという目的のあったブラック校則。それを廃止すれば、また生徒が荒れたり、先生たちが指導に追われたりするのではという不安を覚えるのも最もだが、これまでの経験上、実際はそんなことは起こらないという。

「問題の本質はツーブロックを禁止にすることではなく、非行に走る生徒をなくすこと。不良や非行と無関係ならツーブロックを禁止する理由はありません。そして、仮に非行に走る子を更生させるのであれば、必要なのはしかるべき福祉や支援であって、けっして髪型の指導ではありません。教員の労力の問題も実は逆で、理不尽な校則に反発する生徒を指導するより、意味のない校則なら自由にさせるのが一番楽に決まってます。髪型や服装がだらしないと近隣からクレームが入ることもほとんどなく、実際にはなぜこの髪型がダメなんですかという保護者の問い合わせに答える方が負担になっています」

 ようやく改善の兆しが見えてきたものの、まだまだ残るブラック校則。どうすれば理不尽な校則をなくすことができるのか。

「最終的にはその学校の校長次第です。校則を決める権限は校長先生にあり、教育委員会に言ったからといってなくなることはありません。まずは子どもや保護者から、他の学校の例を挙げて発信することが大事かなと思います。ただ、一度決めたルールをその年度中に変えることはまずありえません。中学校、高校であれば3年単位で卒業なので、『ちょっと我慢すれば……』という意識があるのもなかなか学校が変わらない原因かもしれませんね」

 教育現場が時代錯誤なブラック校則から脱するためには、保護者や子ども一人ひとりが発信力を持つことが大切なようだ。

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