話題の韓ドラ「ペーパー・ハウス・コリア」 Netflixランキング初登場で世界1位の快挙

Netflixで配信中の韓国ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」が同サービスのグローバルトップ10(非英語テレビ部門)ランキングで今週初登場1位を記録、「イカゲーム」の再来として注目を集めている。

大ヒット映画「シュリ」のキム・ユンジンが敏腕警部として頭脳戦を展開する「ペーパー・ハウス・コリア」【写真:(C)Netflix】
大ヒット映画「シュリ」のキム・ユンジンが敏腕警部として頭脳戦を展開する「ペーパー・ハウス・コリア」【写真:(C)Netflix】

日韓大ヒット映画「シュリ」の北朝鮮工作員役キム・ユンジンが存在感

 Netflixで配信中の韓国ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」が同サービスのグローバルトップ10(非英語テレビ部門)ランキングで今週初登場1位を記録、「イカゲーム」の再来として注目を集めている。

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(※以下、ドラマの内容に関わる記述があります)

 同作は、Netflixで17年から21年まで配信されていたスペインドラマ「ペーパー・ハウス(英題:Money Heist)」(パート1~5)の韓国リメーク。韓国と北朝鮮が統一を目指して実験的に創設した共同経済区域(JEA)を舞台に、統一紙幣を奪うため人質を取って造幣局に立てこもった強盗団と南北合同警察チームの熾烈な攻防戦を描いている。

 主演の“教授”を演じるのは2004年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した韓国アクションサスペンス「オールド・ボーイ」(パク・チャヌク監督)の悪役で知られる俳優のユ・ジテ。ほかにNetflixの大ヒット韓国ドラマ「イカゲーム」のサンウ役を務めた俳優パク・ヘスが強盗団の親玉的存在であるベルリン役を、「愛の不時着」に北朝鮮の令嬢ソ・ダンの伯父役で出演した俳優パク・ミョンフンが造幣局局長役で出演しており、Netflixの韓ドラファンにはおなじみの“名脇役”がドラマの魅力を高めている。

 天才戦略家の“教授”は金持ちがさらに金持ちになっていく社会の矛盾を目の当たりにして4兆ウォン(約4000億円)という巨額の大金を奪って姿を消すことを計画する。その目的を遂行するために社会の底辺に陥った荒くれたちを次々とスカウトして最強強盗団を結成していく過程が痛快だ。北朝鮮出身のトーキョー(チョン・ジョンソ)はBTSのファンARMY(BTSファンの総称)で実際に北朝鮮の軍隊(ARMY)経験もあるという設定。自由を夢見て韓国に渡るが、資本主義の現実に飲み込まれて底辺に落ち自殺寸前に。物語はこのトーキョーの語りで進行し、北朝鮮の強制収容所に25年間収監された脱獄犯ベルリン、元炭鉱員の特殊窃盗犯(イ・ウォンジョン)、その息子でストリートファイターのデンバー(キム・ジフン)、天才詐欺師のナイロビ(チャン・ユンジュ)、元医大生でハッカーのリオ(イ・ヒョヌ)、特殊組織を壊滅させたヘルシンキ(キム・ジフン)とオスロ(イ・ギュホ)が互いに対立したり奇妙な友情を感じたりする人間ドラマも盛り込まれている。造幣局に突入した後は緻密な計算と奇想天外の作戦で警察の交渉チームを翻弄する。

 韓国映画ファンにとって特に気になるキャストが、京畿警察庁警部で危機交渉チーム長のソン・ウジンを演じている女優のキム・ユンジンだろう。日本で彼女の名が知れわたった作品が映画「シュリ」(99年公開)。2002年ワールドッカップを控え、北朝鮮と韓国の諜報員の間で熾烈な攻防戦が展開されていた。韓国の情報部員ユ・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)の恋人でアクアショップを経営するイ・ミョンヒョン(実は北の工作員)を演じたのがキム・ユンジンだ。「シュリ」で北朝鮮の工作員を演じたキム・ユンジンが今回は北朝鮮の脱獄犯と対峙するという構図が面白い。

 キム・ユンジンは73年11月7日、ソウル生まれの48歳。10歳の時に米国に移民しボストン大学で公演芸術学を修めた。米国で2004年から10年まで全6シーズンが放送され社会現象を巻き起こしたドラマ「ロスト」にレギュラー出演したことで世界的に有名な女優となった。今回の「ペーパー・ハウス・コリア」では頭脳派警部と離婚裁判を進める母親を巧みに演じ分けているほか、主演のユ・ジテとの濃厚なベッドシーンにも挑んでいる。ベテラン女優ならではの体当たりの演技が見どころだ。

 韓国版の設定変更も興味深い。原作のスペイン版で登場するマスクは自由の象徴を意味するが、韓国版では権力層への風刺や批判が込められたハフェタル(韓国伝統芸能の面)が使われている。ハフェタルは正面や横、下から見た時の印象が異なるためどの角度で撮影されているのかが注目ポイントだ。また、唯一の分断国家である韓国にしかできない舞台設定となっており北朝鮮の庶民の生活を描いた「愛の不時着」との共通点もある。原作をなぞりながらもオリジナリティーあふれる作品となっているところが最大の魅力だろう。「ペーパー・ハウス・コリア」のシーズン1は全6話。唐突に終わるラストシーンは続編を強く意識させる。

 ちなみに、「ペーパー・ハウス・コリア」の原作ドラマ「ペーパー・ハウス(Money Heist)」シリーズはNetflix配信開始後28日間の視聴時間ベスト10で、パート5が2位、パート4が3位、パート3が5位となっている。1位は世界中で大ヒットした「イカゲーム」で2位以下を大きく引き離して独走状態となっている。

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