夏川りみ、夢は親子3人でバンド結成 息子は作曲にも挑戦「今度はお母さんの曲を作ってね」

歌手の夏川りみが3年ぶりとなるオリジナルアルバム「会いたい ~かなさんどぉ~」をリリースした。“かなさんどぉ”とは沖縄の方言で“大好きだよ”という意味。コロナ禍を通してこれまで当たり前だった人と会うことの尊さに気付き、会いたい思いや会えなくてもつながっているよというメッセージを沖縄の風に乗せて歌った。待望の新作に込めた思いについて、さらに後半では音楽に熱中する12歳になった息子との日常について語ってもらった。

夏川りみ【写真:荒川祐史】
夏川りみ【写真:荒川祐史】

“島への愛”をテーマに「うちなーぐち」の作詞に挑戦

 歌手の夏川りみが3年ぶりとなるオリジナルアルバム「会いたい ~かなさんどぉ~」をリリースした。“かなさんどぉ”とは沖縄の方言で“大好きだよ”という意味。コロナ禍を通してこれまで当たり前だった人と会うことの尊さに気付き、会いたい思いや会えなくてもつながっているよというメッセージを沖縄の風に乗せて歌った。待望の新作に込めた思いについて、さらに後半では音楽に熱中する12歳になった息子との日常について語ってもらった。(取材・文=福嶋剛)

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――オリジナルアルバムとしては約3年ぶりとなりました。

「きっかけは、長い間ずっと一緒に活動しているピアノ奏者の醍醐弘美さんと私の地元の石垣島で昨年、TikTokライブを開催したんですが、そこで新曲を作ろうと約束をしていたんです。ライブが終わって母が住む西表島で醍醐さんと一緒にのんびりしていたら、『そうだ! 新曲を作らないと』って(笑)。私も三線を持ってきて『こんな感じはどう?』みたいなセッションをしていたら3曲ぐらい出来上がったんです。それでしばらくアルバムを出していなかったので、じゃあもっと曲を増やそうといって進んでいきました」

――アルバムにはいろんなタイプの曲が入っていてこれまで以上にバラエティーに富んだポップナンバーが並んでいます。

「最初はミニアルバムでもいいかなって思っていたんですが、とんとん拍子で曲が集まってきて、宮沢和史さんと大城クラウディアさんの3人で昨年開催した『沖縄からの風コンサート』がきっかけで生まれた曲『沖縄からの風』も夏川りみバージョンとして収録させていただき、最終的にボーナストラックを入れたら全部で8曲が出来上がりました」

――「会いたい ~かなさんどぉ~」というアルバムタイトルに込めた思いとは?

「コロナ禍で会いたくてもなかなか会えないという思いを込めて、『みんなのことが大好きだよ』っていうメッセージを『かなさんどぉ』という沖縄の方言を使って沖縄から届けたいという気持ちが強かったです。そしてもう1つ、アルバムタイトルになっている『会いたい(想■)』(=シャンニー)という曲は私の大好きなテレサ・テンさんに向けて作った歌なんです。

 以前から台湾と縁があって向こうで歌うときは必ずといっていいほどテレサさんの曲を歌わせていただきます。でも残念なことに直接お会いする夢がかなわず、テレサさんは旅立ってしまったので、天国のテレサさんに『今もずっと私のそばにいるよ』という気持ちをお手紙で伝えるようにラブソングを作ってみたんです。そんないろんな人への『会いたい』という素直な気持ちが、いっぱい詰め込まれたアルバムになりました」

※■は中国語で読みは「ニー」

――全曲にわたって沖縄の青い海や空、そして潮の香りまで伝わってきそうな作品ですが、その中でも“風”という言葉は今回の作品にもたびたび登場します。

「自分ではあまり意識していなかったんですが、今までアルバムのタイトルに風という言葉を入れてきた時代があったんです。それも無意識なので不思議だなというのもあるんですが、やっぱり沖縄の風みたいなものは常に感じますし、沖縄っぽくない曲も私が歌うと自然と沖縄の風みたいに聴こえると言ってくださる方もいらっしゃいますし。『うちなーんちゅ(=沖縄の人)』にとってはやっぱりうれしいことですね」

――夏川さんにとって沖縄の風とは言葉にすると?

「なんでしょう? 例えるのがとっても難しいですね。自然だけじゃなくて沖縄で暮らす人だったり育った場所だったり、いろんなものが入っていると思います。東京で吹いている風とはまったく違いますね(笑)」

――1曲目の「波照間ブルー」はいわゆる沖縄音階ではない王道のポップソングですが、夏川さんが歌うと今の沖縄を感じる歌として聞こえてきます。

「これまでの私のイメージにはなかったキラキラとした晴れやかな曲で、とっても新鮮な挑戦でした。他の楽曲でも作家さんから『りみちゃんだったらどんな曲もで海や空の青さを歌で伝えられるから』という言葉をいただいて、それはすごくうれしかったです」

――6曲目の「愛さ生まり島」(かなさうまりじま)は、沖縄に古くからある方言で歌われています。

「沖縄の方言の歌も1曲入れたいと思ったんです。私自身は方言で育ったわけではないんですが、方言を残したいという思いや使わないといつか忘れ去られてしまうという気持ちとか、いろんな思いが込み上げてきて“島への愛”をテーマに歌おうと決めました。沖縄の方言の辞書を片手に言葉を探しながら歌詞を作って。今回のアルバムの中では最も時間をかけて作りました」

流行りの音楽はすべて息子から教わるという【写真:荒川祐史】
流行りの音楽はすべて息子から教わるという【写真:荒川祐史】

息子にギターやベースも教えてもらっています

――ところで夏川さんのご長男は最近ドラムを練習しているとお聞きしましたが?

「そうなんです。まだ小学校6年生なんですけど、ドラム以外にギターやベースも弾いていて、最近はパソコンで音楽も作り始めました」

――ミュージシャンのご主人の影響も大きいんでしょうか?

「はい。旦那が好きな音楽を一緒に聴いていて。AC/DCとかKISSとかマイケル・ジャクソンとかの曲を譜面を見ないで耳でコピーして練習しているみたいです」

――ご両親から音楽を教えてもらえるなんてうらやましいです。

「それが逆で最近は息子からいろいろと教わっているんです。ギターやベースも息子に教えてもらって(笑)。ちょっと前だと『香水』とか『ドライフラワー』、あとBTSなんかも全部息子から教わりました。いつも『これ誰の歌?』って聞くんです」

――夏川さんの曲を息子さんに聴いてもらうこともありますか?

「新曲ができたら聴いてもらったりすることはあります。今回のアルバムも『どう?』って聞くと、『うん、いいんじゃない』とか言って(笑)。じゃあ今度はお母さんの曲を作ってねって息子にリクエストしてます。出来上がるのを楽しみにしているんです」

――ご家族3人で一緒に演奏したことは?

「石垣島の幼稚園で、旦那と息子と私の3人でセッションしたことがあります。息子がドラムで私が三線、旦那さんは何を演奏してたんだろう? 忘れちゃいました(笑)」

――ご家族で演奏してみていかがでした?

「いやもう本当に楽しかったですよ。いつかコンサートをやりたいなって。早くやりたいです! この前、BEGINの(比嘉)栄昇さんの後ろで息子の舜太朗くんがドラムを叩いているのを見ながら、『いつか私たちも親子で演奏したいな』って思いました。BEGINと夏川りみバンドで対バンとかいつかできたらいいですね」

――将来息子さんの気持ちが変わってやっぱり音楽はやめると言ったら?

「それがちょっと心配なんですよ(笑)」

□夏川りみ(なつかわ・りみ)沖縄県石垣市出身。1999年、夏川りみとしてシングル「夕映えにゆれて」でデビュー。2001年、3rdシングル「涙そうそう」をリリースし、大ヒット。116週連続チャートイン。02年、紅白歌合戦に初出場し、以降5年連続出場を果たす。03年「童神」で第45回日本レコード大賞金賞受賞。04年「愛よ愛よ」で第46回日本レコード大賞最優秀歌唱賞受賞。21年11月、沖縄県世界自然遺産大使に任命される。22年6月22日ニューアルバム「会いたい ~かなさんどぉ~」発売。6月25日より全国ツアーがスタート。

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