乙武洋匡氏、選挙初日に「東京大行進」で支持訴え 炎天下の2時間、ゴール後に感極まる

第26回参院選(7月10日投開票)が22日、公示され、各候補が第一声を上げた。東京選挙区(改選数6)では無所属で立候補した作家の乙武洋匡氏が渋谷のセンター街に構えた事務所前から選挙活動をスタート。炎天下の中、国会まで約5キロの道のりを歩いた後、感極まって涙を見せた。

国会議事堂まで歩いた乙武洋匡氏【写真:ENCOUNT編集部】
国会議事堂まで歩いた乙武洋匡氏【写真:ENCOUNT編集部】

ボランティア1200人超 寄付金「想定外」の追い風も

 第26回参院選(7月10日投開票)が22日、公示され、各候補が第一声を上げた。東京選挙区(改選数6)では無所属で立候補した作家の乙武洋匡氏が渋谷のセンター街に構えた事務所前から選挙活動をスタート。炎天下の中、国会まで約5キロの道のりを歩いた後、感極まって涙を見せた。

 マクドナルドやABCマートがある中心部の一角。「五体不満足」の著者で知られる乙武氏は、渋谷のセンター街で第一声を上げた。渋谷を選んだ理由は若者の街であり、多様性の象徴でもあるということ。渋谷区の長谷部健区長が応援に駆けつけ、18日間の選挙戦への決意を示した。

 その後は強い日差しの中、渋谷から青山通りを進み、国会議事堂前までの道を2時間かけて歩き、支持を訴えた。

「皆さんありがとうございました。渋谷を出発してから2時間かけて、ここまで皆さんと一緒に歩いてくることができました。本当に心強く、改めてパワーをいただいた時間になりました」

 こう語った乙武氏は、公示初日に5キロの道のりを行脚した目的を、米国のワシントン大行進にたとえ、「東京大行進」と呼んだ。

「アメリカでは、長く黒人が差別をされ、生活を非常に制限されるという時代が続いていました。それが、1950年代から60年代にかけて公民権運動が起こり、少しずつ黒人の人権が認められ、保障されていくようになりました。もちろん、その中心にいたのは、マーティン・ルーサー・キング牧師です。でも、それを変えたのは、キング牧師1人だったのか。決してそうではない。多くの人々がキング牧師のメッセージに共感し、彼と一緒に社会を変えたい、彼と一緒に差別をなくしていきたい。そんな思いでいたからこそ、社会が変わっていった。黒人への差別が撤廃されていったんだと思います」

 そして、「まさに今日の渋谷からこの国会議事堂にかけての2時間の行進は、日本でも同じことを起こす、その一歩になる行進だったのではないかなというふうに思っています。もちろん、当時のアメリカのようなあからさまな差別ではないかもしれない。それでも障がいがあって仕事ができない。セクシャルマイノリティーが結婚ができない。家にお金がないことで進学ができない。こういった自分自身で選んだわけでもない境遇で、不利益をこうむっている方々に何も国が対応できていない。ある意味、差別を放置してしまっている。これを何とかしていきたい。そんなメッセージに、共感してくださった皆さんが今日こうして集まり、これだけの方々と一緒に行進ができたというのは、まさにワシントン大行進ならぬ東京大行進」と続けた。

 激戦区の東京で、無所属で戦っている。選挙前1か月の街頭演説では手ごたえもつかんだ。「演説を聞いていると、途中で『ビブスをください』『今から私もスタッフに回りたい』と言って、その場でスタッフを務めてくださる方が続出しています」。ボランティアは21日夜の時点で、1200人を超え、目標の1000人を突破した。「少なくとも5000万以上かかる」とされる選挙資金も、21日までに寄付金は2000万円を超えた。「想定外のことでありがたい」と、追い風に感謝した。

 選挙戦はまだ始まったばかりだが、支援者の期待に胸が熱くなった乙武氏は「泣かないでよ。俺も泣けてくるんだよ」ともらい泣き。スタッフにティッシュで涙を拭かれ、改めて18日間、闘い続けることを誓った。

 東京選挙区は自民党の朝日健太郎氏、立憲民主党の蓮舫氏、公明党の竹谷とし子氏、共産党の山添拓氏の現職4人に加え、自民が元「おニャン子クラブ」でタレント生稲晃子を擁立。立民の松尾明弘氏、日本維新の会の海老沢由紀氏、ファーストの会代表の荒木千陽氏、れいわ新選組代表の山本太郎氏らが立候補している。

次のページへ (2/2) 【写真】渋谷スクランブル交差点を歩く乙武洋匡氏、ゴール地点では涙もこらえる
1 2
あなたの“気になる”を教えてください