田原俊彦「みんな遠慮なくトシちゃんて呼んでよ」 80年代を知らない若者と仕事をする面白さ

歌手活動43年目を迎えた歌手の田原俊彦が通算78枚目となるシングル「ロマンティストでいいじゃない」を完成させた。昨年開催された還暦アニバーサリーライブでは、80年代と変わらぬ歌とダンスでファンを魅了し、今年1月に発売した還暦記念写真集ではデビューから40年以上にわたって鍛え上げてきた肉体美を披露した。トシちゃんにとってシングルとは『THEアイドル』として生き続けていくための大切な財産だという。そんな61歳の新たなスタートを盛り上げるゴージャスでハッピーなパーティー・ソングについて本人に聞いた。

通算78枚目のシングルを発表した田原俊彦【写真:荒川祐史】
通算78枚目のシングルを発表した田原俊彦【写真:荒川祐史】

「今の僕が生きる道」新曲とライブの2つに全力を傾ける理由

 歌手活動43年目を迎えた歌手の田原俊彦が通算78枚目となるシングル「ロマンティストでいいじゃない」を完成させた。昨年開催された還暦アニバーサリーライブでは、80年代と変わらぬ歌とダンスでファンを魅了し、今年1月に発売した還暦記念写真集ではデビューから40年以上にわたって鍛え上げてきた肉体美を披露した。トシちゃんにとってシングルとは『THEアイドル』として生き続けていくための大切な財産だという。そんな61歳の新たなスタートを盛り上げるゴージャスでハッピーなパーティー・ソングについて本人に聞いた。(取材・文=福嶋剛)

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――田原俊彦さんと言えば「トシちゃん」という愛称が有名ですが、最近は後輩が多くなってきて、みなさん「田原さん」と呼ぶことも多くなったと思います。

「自分の中ではトシちゃんが当たり前だから気軽にそう呼んで欲しいんだけどね。最近はみんな遠慮して田原さんとかトシさんとかね。“トシちゃんさん”て呼ぶ人もいるんだけど、そこに“さん”付けはいらねえだろって(笑)。全然、年齢差なんて気にしないでトシちゃんて呼んでくれたらいいんだよ(笑)。インタビューもトシちゃんでいいよ」

――ありがとうございます。シングルとしては通算78枚目となります。ここ数年は1年に1作品を大切に歌っていくという“一曲入魂”な姿勢を感じます。

「まさにその通りで、毎年毎年エネルギーを注いで積み重ねてきているからね。どの楽曲にも1つ1つに力が宿っているし、これからもずっと歌い続けていける僕の財産ですから」

――流行りのダンスミュージックからJ-POP、なつかしの歌謡曲タイプまで、トシちゃんの新曲は毎年違った顔に出会えるのが楽しみです。

「そんなに特別なこだわりはないんだけど、これだけ長い間歌っていると慣れが怖いからできるだけフレッシュに活動していきたいんです。これまで綾小路翔くんやSKY-HIくん、HilcrhymeのTOCくんといったJ-POPの第一線で活躍する人から阿木燿子さんや松井五郎さんといった古くからの付き合いの重鎮まで幅広いラインナップで書いてもらって、常に新鮮な風をとり入れて、『今年はどんな感じでいく?』という感じで挑戦をしているんです」

――新曲「ロマンティストでいいじゃない」は、デビュー40周年と還暦イヤーを終えて、新たなスタートを切るにはぴったりの華やかなナンバーです。

「去年、半年遅れだったけど無事に還暦ライブを終えて、また新しい挑戦をしていこうっていう、そんな曲です」

――まさに“ゴージャス”という言葉がピッタリです。

「アメリカナイズされているし、古き良き時代のブロードウェイとかミュージカルをほうふつとさせるジャズっぽい曲に仕上がっているでしょ? 毎年キャリア関係なく、いろんな作家さんたちに今の田原俊彦に合いそうな曲を募集をするんです。それで集まった50曲くらいの中から最終候補を10曲くらいに絞って最後は僕が決めるんだけど、今回は“ミディアムテンポのおしゃれな曲でいってみよう”って話をしていたら前回の『HA-HA-HAPPY』のカップリング曲『夢幻LOVE』を作ってくれた青葉紘季さんと大山聖福さんがぴったりの曲を用意してくれて『これだ!』ってなったんだ」

――そして作詞を担当したのは盟友でもある松井五郎さんです。

「五郎さんとは『ごめんよ涙』をはじめ、これまで50曲ぐらい書いてもらってね。バブル時代の頃は同じマンションに住んでいたぐらいの仲だから」

――そうでしたか?

「一緒に住んでないよ(笑)。僕の3つ上の兄貴みたいな存在でね。彼がすごいのは、どんなに親しくても歌い手と作詞家の距離感をすごく大切にしてくれて、ベタベタしたり公私混同をしない。だからこそ今でも日本を代表する作詞家なんだろうね。この前、五木ひろしさんに『新曲いいね!』ってほめていただいて『作詞家は誰?』って聞かれたので『松井五郎さんです』と答えたら『やっぱりね。僕も大好きでアルバム1枚書いてもらったんだ』って、そんな話をしてね」

――“いつまでもときめきが大切なんだよ”と教えてくれるキュンとするメッセージが込められていて、今のトシちゃんとファンの距離感を絶妙に表現している歌詞が素敵です。

「僕のことを一番理解している人だからね。20代の頃から始まって10周年、20周年と節目はいつも五郎さんで、今回も『こんな世界観で行きたいんだ』って言ったらすぐ分かってくれる。新曲の歌詞はリアル感もあるんだけど、ちゃんとファンタジーだしね。僕とオーディエンスの距離感もすごく理解してくれて極上のエンターテインメントを言葉にしてくれました。

 今回もう1人のキーパーソンがアレンジを担当した船山基紀先生です。ゴージャスなアレンジを求めるなら船山先生しかいないでしょ!ってお願いしたら、“ザッツ・エンターテインメント”な曲に仕上げてくれてね。ビッグバンドの録音でゴージャスにアレンジしてもらったんだ。使った予算もゴージャスだったかは分からないけど(笑)。船山先生の黄金パターンですよ」

2022年も全国20か所を回るツアーが始まる【写真:荒川祐史】
2022年も全国20か所を回るツアーが始まる【写真:荒川祐史】

「歌って踊って魅せる」これが「THEアイドル」の田原俊彦だ

――ベテランと若手の絶妙なコラボレーションが見事に合致した印象です。

「その通り! 『田原俊彦って誰?』みたいな若い世代の作家さんたちが今の田原俊彦をどんなふうに料理してくれるのかすごく興味があってね。一方で僕のことを小さい頃からよく知っているベテランの人たちとの作業っていうのは、楽しいけれど良い緊張感もある。そんなベテランと若手という世代を超えて出来上がった曲ですからね。新鮮なドキドキがあったし、なにより新しいものが生まれる瞬間というのは、いつもワクワクするよね」

――そこが現在のトシちゃんの原動力になっているんですね。

「僕の感性も刺激されるし、お互いに高め合っていく感じっていつの時代も大切だなって思いますね」

――カップリング曲の「サヨナラはどこか蒼い」は一転してこれまでにないシティーポップ風のナンバーです。

「今までこういうテイストの歌は歌ってこなかったから新鮮に聴こえるでしょ? 僕の声のちょうど良いところをメロディーにしてくれて、ファンのみんなにも受けが良いんですよ。やっぱり新しい人たちとできたからこういうチャレンジもできたんだよね」

――早く新曲をステージで見たいです。

「今って昔みたいにドラマをやったりミュージカルをやったりしていないんでね。新曲とライブ、この2つに全エネルギーを集中することが今の僕の生きる道だと思っています。“歌って踊って魅せる”これが『THE(=ジ)アイドル田原俊彦』ですから」

――たまに地方のコンサートホールに出かけると必ずと言っていいくらいトシちゃんのポスターが貼ってあっていつも全国を回っている印象です。あれだけの踊りと歌を今でも全国で2時間ずっとやり続けるってすごいなって思います。

「今年もこれから全国20か所を回るんだけど、本当にコンサートの直後はいつも死にそうなんだよ(笑)。倒れはしないけど膝もガクガクでね。でも、それを続けられている自分は本当に恵まれていると思う。『またトシちゃんのライブに行きたいね』ってみんなに思ってもらえるようにこれからもステージに立ちたいしね。それはとっても大変だけど一生懸命楽しんでいるって感じかな。だからすぐに元気になっちゃうんだ(笑)」

――「THEアイドル・田原俊彦」のライブのこだわりは?

「やっぱり僕のライブは“懐メロ”にしたくないんだ。もちろん80年代のヒット曲もいっぱい歌いますけど、その年の新曲をしっかりコンサートの中心に置いて『今の田原俊彦』を全国のファンに届けたいって思いが強い。今回は『ロマンティストでいいじゃない』を中心に置いて歌いますよ。でも最近気が付いたんだけど『哀愁でいと』とか『NINJIN娘』とかあの頃の歌を歌うとお客さんが当時に戻るんだって」

――タイムマシン的な効果ですね。記憶だけじゃなくて表情や振り付けまでも当時を思い出すという。

「そうそう。ところがお客さんからするとその曲を歌っている僕自身の顔とか仕草が知らないうちにあの頃の田原俊彦に戻っているんだって(笑)。無意識なんだけどね。面白いでしょ? 気が付かないうちに全員が青春時代に戻っているんだ。だからライブって面白いよね。結局僕はあの頃からまったく成長してないってことなんですよ(笑)」

□田原俊彦(タハラ・トシヒコ)1961年2月28日、山梨県出身。1979年にドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)の沢村正治役でデビュー。近藤真彦、野村義男と共に"たのきんトリオ"と呼ばれ、一躍人気アイドルに。80年の歌手デビュー作「哀愁でいと」は75万枚の大ヒットとなる。以後、「ハッとして!Good」、「抱きしめてTONIGHT」などのヒット曲を飛ばし、オリコンチャート1位獲得12回、ベスト10ランクイン38曲という快挙を達成。また、ドラマ「ラジオびんびん物語」、「教師びんびん物語」などの「びんびん物語」シリーズでも人気を博した。2022年6月、通算78枚目のシングル「ロマンティストでいいじゃない」を発売。7月より全国ツアーを開催。

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