FFXI、20周年を越えて愛される理由 スマホゲームの台頭も乗り越えた“変化と継続”

スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXI」(以下、FFXI)が、5月16日にサービス開始20周年を迎えた。当初、MMORPGは日本でマイナーな存在だったが、多くのユーザーの支持を得て、同ジャンルの認知度自体の向上にも寄与したタイトルだ。以降は数多のMMORPGがサービス開始と終了を迎えていく中、20周年を迎えても多くのユーザーに親しまれている理由はどこにあるのか。サービス開始時から開発に携わってきた松井聡彦プロデューサーに、「FFXI」の強み、20年を通しての変化、そして今後の展望などについて聞いた。

FFXIは“仲間と共闘”するMMORPGを日本に浸透させた【写真:(C)2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.】
FFXIは“仲間と共闘”するMMORPGを日本に浸透させた【写真:(C)2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.】

サービス開始20周年を迎えたFFXI その歩みを松井プロデューサーに聞く

 スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXI」(以下、FFXI)が、5月16日にサービス開始20周年を迎えた。当初、MMORPGは日本でマイナーな存在だったが、多くのユーザーの支持を得て、同ジャンルの認知度自体の向上にも寄与したタイトルだ。以降は数多のMMORPGがサービス開始と終了を迎えていく中、20周年を迎えても多くのユーザーに親しまれている理由はどこにあるのか。サービス開始時から開発に携わってきた松井聡彦プロデューサーに、「FFXI」の強み、20年を通しての変化、そして今後の展望などについて聞いた。(取材・文=片村光博)

「FFXI」は2002年5月16日にPlayStation 2版が発売され、同年11月7日にPC版がリリースされた。PCゲームの“専売特許”でもあったMMORPGがコンシューマーゲームとして遊べるようになったことは、大きな意味を持っていたようだ。松井プロデューサーは「多くの方にとってFFXIが初めてのMMORPG体験だったことは、とても大きなアドバンテージでした」と振り返り、次のようにも語っている。

「今になってしみじみと感じるのですが、ファイナルファンタジーのナンバリングだったこともとても大きかったです。ローンチ時を思い返してみると、開発スタッフはMMORPGであることと同時にファイナルファンタジーであることを強く意識して制作していたように思います」

“FF”の名前を冠するメリットは、ユーザーへの訴求力だけでなく、開発陣の意識にも及んでいた。一方で、同シリーズの動向によってFFXIの立ち位置も変化してきた部分もあると、松井プロデューサーは指摘する。

「FFXIにとって一番大きな出来事は、(同じMMORPGである)ファイナルファンタジーXIV(FFXIV)のローンチです。自分も異動があり、FFXIの開発・運営においても大きな変化がありました。もともと会社としては、XIの後継として開発・ローンチしたものなので、影響が大きいのは当然ではありますが」。そして、今では当たり前のものになったスマートフォンゲームの台頭も、この20年間では非常に大きな出来事となり、FFXIも変化を避けられなかったという。

「スマートデバイス(スマートフォン)向けのゲームが人気になったことも、業界全体としてではありますが、大きなインパクトでした。有料ゲームが売れなくなったことよりも、その後にお客様の時間の取り合いの様相が強くなってきたことは、しっかりゲーム機に向かって遊んでもらうスタイルのFFXIには大きな試練でした。

 そして、20年分、私たちもお客様も歳をとりました。生活スタイルも変わり、ゲームへ向かう姿勢も大きくかわりました。ソロでも短時間でも遊べるように大きく舵を切ることになりました」

 周囲を取り巻く環境もサービス開始当初とは異なるようになり、新しい困難とぶつかる中でも、確かな指針とともに変化を恐れず歩み続けたことで、FFXIはプレイヤーからの支持を失うことはなかった。ただ、人気の根底にはもちろん、FFXIならではの不変の“良さ”がある。

「ソロプレイでもいろいろなコンテンツに挑めるように調整していますが、仲間と遊ぶともっと楽しいという部分は今でも変わらず大切にしています」(松井プロデューサー)。仲間との共闘はMMORPGの醍醐味。時代に合わせた気楽なソロプレイとの両輪が、20年以上続くFFXIを今も支えている。

FFXIはユーザーと支え合いながら20周年を迎えた【写真:(C)2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. LOGO ILLUSTRATION:(C)2002 YOSHITAKA AMANO】
FFXIはユーザーと支え合いながら20周年を迎えた【写真:(C)2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. LOGO ILLUSTRATION:(C)2002 YOSHITAKA AMANO】

「良いプレイヤーコミュニティーがそろって初めて良いゲームになる」

 気になるのは、20周年を迎えたタイトルの今後だ。異例の長寿タイトルとなり、前述のようにプレイヤーの年齢層も当然ながら上がっていく。どこに主眼を置いた運営方針になっていくのだろうか。

「まずは、長年FFXIを楽しんでいるお客様を最優先に考えています。FFXIだけでなく、お客様も20年歳をとられ、ゲームに向かう環境も大きくなったという声が聞こえてくるようになりましたので、ソロでも遊べるように、また短時間でもコンテンツを楽しめるように調整しました。とはいえ、基本的なポリシーは、今いるお客様を困惑させるような大幅な変更は避けることです」

 変わるものと、変わらないもの。そのバランスを大事にしながら、これからもFFXIは仲間との充実した冒険の機会を与えてくれそうだ。最後に、FFXIを支え続けるユーザーへの思いを松井プロデューサーに聞いた。

「FFXIのような運営型のゲームというのは、開発や運営が頑張るだけではだめで、良いプレイヤーコミュニティーがそろって初めて良いゲームになるのだということを20年かけて学びました。我々が誇るFFXIユーザーの皆さま、いつも支えてくださってありがとうございます。皆さまの充実したヴァナ・ディール(FFXIの世界)ライフのために、これからも微力ではありますが、全力を尽くしてまいります」

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