休止中のライブハウス 再開を検討も「ミュージシャンの生活」と「お客様の安全」意見は真っ二つ
無観客はやっぱり寂しい。お客さんあってのライブハウス
――成瀬さんはミュージシャンでもあり、ライブハウスのスタッフでもあります。
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「そうですね。ミュージシャンの間でも『続けたい』と『自粛したい』に分かれていて、お客さんも『やってほしい』と『止めて欲しい』と意見は真っ二つに分かれています。僕はミュージシャンでもあるので、『続けたい』という彼らの気持ちや理由は痛いほどわかりますし、ライブハウスの関係者としても『安心できるまでやめてほしい』という心情も汲まなければいけない。互いの気持ちが理解できるので今まで味わったことのないストレスを日々感じています。そんなわけで、甘いものばっかり食べてます(笑)」
――先ほど無観客でライブを配信したとお話がありました。
「はい。今回、定期的に公演を行っているガールズコーラスグループで初めて企画してみたのですが、11日に無観客の投げ銭ライブ中継をやって、たくさんの視聴者に見てもらい、とても良い結果に終わりました。ただ、無観客はやっぱり寂しいですよね。お客さんあってのライブハウスなんだって気付いた瞬間でもありました」
――そんな中で成瀬さんは、「muevo」の月額会費制のコミュニティを活用したオンラインサロンを展開されていますね?
「やっていると言っても細々ですから。この状況になる前から始めているのですが、まあ1人でやっているので、失敗しても良いから色々とチャレンジしてみようと。サロンは楽しいですよ。曲が出来たら、すぐにサロンに上げていくんです。するとその曲に皆さんが歌詞をつけてくれたり、感想をくれたり、そういうやりとりの中継もやってます」
――ライブ活動ができない今、ファンとどのようにつながっていくか、いま大切なテーマになっていますね。
「そうですね。ただし人それぞれのやり方がありますから。たまたま僕はサロンとの相性が良かっただけです。でも何をやっても、前向きに認めていただけるのはとても嬉しいですし、励みになっています。『小さい事からコツコツと』ですかね(笑)」
――成瀬さんは、これまでバンドでメジャーデビューして解散し、その後ソロミュージシャンとして紆余曲折を経てAKB48の「君はメロディー」の作曲を担当するなど、波乱の音楽人生を送っているとお聞きした事があります。この逆境を乗り越えるために大切にしている事があったら教えてください。
「僕は野球が大好きなので、人生を野球に例えると、自分はどう考えてもダルビッシュ級のミュージシャンには叶わない。では自分の努力で何が可能かと考えると、松井秀喜キラーの遠山とか(笑)、ここぞと言う時の守備固めとか。メジャー時代のムードメーカー川﨑宗則とか。状況をブレークスルー出来るポジションは何かと考えた末、僕にはそれが作曲だったんです。ラッキーなことに思い切りバットを振ったらたまたまヒットを打つことが出来た。それだけです。だから僕の人生はいつだって無死満塁、大ピンチですから新型コロナに限ったことじゃない(笑)そう思って日々生活しています」
□成瀬英樹 1968年生まれ。シンガーソングライター、作詞作曲家、ラジオDJ。1992年、4人組バンド「FOUR TRIPS」を結成しヴォーカル&ギターを担当。97年、メジャーデビュー。2004年、エディ・リーダー(Fairground Attraction)来日公演でウクレレプレーヤーとして参加。06年に作曲家デビュー。16年、you-me名義で作曲したAKB48「君はメロディー」で自身初のミリオンを達成。