喫煙可マンションで起こったご近所トラブル 愛煙家が悲嘆、お願いという名の“強制”
今も昔もたびたび話題にあがる「隣人トラブル」。時代とともにその原因も移り変わっており、最近では「たばこ」による問題が増加しているという。実際に隣人とトラブルになったという都内在住の愛煙家・Iさんに話を聞いた。
「たばこ」だけではなく「柔軟剤」「お香」もトラブルの原因に
今も昔もたびたび話題にあがる「隣人トラブル」。時代とともにその原因も移り変わっており、最近では「たばこ」による問題が増加しているという。実際に隣人とトラブルになったという都内在住の愛煙家・Iさんに話を聞いた。
「こんなはずじゃなかったんです……」
暗い表情でそう漏らしたIさんは、“事件”の一部始終を明かした。
半年前に賃貸マンションに引っ越してきたばかりのIさん。喫煙歴(紙巻きたばこ)も長く、物件選びの際も“禁煙”の条件がないものを探していた。
新居は立地、家賃、間取りなど申し分なかったといい、引っ越した直後は快適に生活していたという。
「3か月ぐらいたったとき、ポストに『ご入居者の皆様へ』という手紙が入っていたんです。ベランダや屋外の非常階段などマンション共有部での“喫煙”を禁止する旨が書かれていました」
入居直後はベランダで喫煙していたIさんだが、このアナウンスを受けて、室内換気扇の下で喫煙するようになった。
異変を感じたのはそれから2、3か月後。隣の部屋から壁をドンドンとたたく音が聞こえるようになった。
「最初はDIYで棚でも作っているのかなと思っていたんです。でも、1週間以上続いたあたりで『おかしい』と考えるようになりました。普段静かに生活しているので、“壁ドン”されるような心当たりも無かったんです。でも、たたく強さは次第にエスカレートしていって、最終的には壁掛け時計が揺れるほどの強さでした」
“壁ドン”は日中だけではなく、真夜中に行われることもあった。Iさんは「換気扇から漏れ出たたばこの臭いに怒っている」という可能性について考えるようになり、物件の管理会社にこの件を相談した。
「原因としてはやはり私のたばこだろうと言われました。ただ管理会社としては、室内での喫煙を禁止することはできないようで、敷地外での喫煙をひたすら“お願い”されました。どうやらほかの居住者の方からも、深夜の“壁ドン”による騒音について苦情が寄せられていたようです」
自らの喫煙が原因で、結果的に複数の居住者に迷惑をかけているということに責任を感じたIさんは、たまらず空気清浄機を購入。窓を締め切り、加熱式たばこだけを吸うようになったという。
「正直、喫煙を禁止されていないマンションの自室で、たばこを自由に吸えないことに不満はあります。隣の方も『とんだ災難だった』と思っているでしょうが、それは私も同じです。まだ引っ越したばかりですが、契約更新はしないつもりです」
都内の不動産業者によると、こうした“臭い”に関する相談は近年増えているという。
「たばこだけではなく、お香、柔軟剤といった香りを発するもので隣人トラブルに発展するケースもあります。法的に禁止されていない個人の嗜好を妨げることはできないので、管理会社としても間に入り“お願い”しているのが現状です」
喫煙を注意した翌日に、玄関前にたばこの吸い殻が盛られていたという“嫌がらせ”もあるといい、“お願い”が必ずしも聞き届けられるとは限らない。愛煙家と嫌煙家がともに快適に生活できる日は訪れるのだろうか。