学校名に“国際”が増える理由 蒲田女子高は「羽田国際高」変更でイメージアップ狙う

東京・大田区本羽田に校舎を構える私立の蒲田女子高等学校が24年4月から「羽田国際高等学校」へ校名変更し男女共学化に踏み切る。背景にあるのが深刻化する少子化と定員割れ。“羽田空港に一番近い私立学校”として高校では全国初の試みとなるJALとANA両グループとの教育連携を21年度からスタートするなど“国際”を意識したカリキュラムを実施し異文化コミュニケーション能力の向上に努めてきたが、学校の方向性を明確化するため「羽田国際」という名称にガラリと変える。

蒲田女子高校は「羽田国際」に校名を変更する【写真:ENCOUNT編集部】
蒲田女子高校は「羽田国際」に校名を変更する【写真:ENCOUNT編集部】

少子化で定員割れ続出の低空飛行、学校存続危機が背景

 東京・大田区本羽田に校舎を構える私立の蒲田女子高等学校が24年4月から「羽田国際高等学校」へ校名変更し男女共学化に踏み切る。背景にあるのが深刻化する少子化と定員割れ。“羽田空港に一番近い私立学校”として高校では全国初の試みとなるJALとANA両グループとの教育連携を21年度からスタートするなど“国際”を意識したカリキュラムを実施し異文化コミュニケーション能力の向上に努めてきたが、学校の方向性を明確化するため「羽田国際」という名称にガラリと変える。

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 大田区役所関係者がこう話す。「大田区内にはホテル、機内食、飲食業など羽田空港関連の仕事についているアジア系外国人も多数いますから校名変更はイメージに合っていると思います。ただ、蒲田駅からタクシーで羽田国際“高校”に行きたい場合、語尾をはっきり発音しないと、気が付いたら羽田国際“空港”に着いていたということもあり得るので注意が必要です」。

 同校の「令和2年度進路先」を見ると、桜美林大学、白梅学園大学、多摩大学、帝京科学大学、田園調布学園大学、東京工科大学、東京女子体育大学、東京農業大学、フェリス女学院大学、文化学園大学、横浜商科大学などのほか、短大や保育、福祉、美容系の専門学校が多い。学校側としてはGMARCH、さらには早慶、国立大など難関大学合格を目指して一気に飛躍したいところだろう。

 実は蒲田女子高に限らず、校名に“国際”の2文字を加えたうえで共学化にかじを切った学校はいくつもある。18年4月に法政大学女子高等学校は「法政大学国際高等学校」に校名を変更し共学校になった。語学教育や海外研修を充実させてきた同校は15年度から19年度まで文部科学省・SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定され、「持続可能な社会の実現を担うグローバル・リーダー育成プログラム(GLP)の開発」に取り組んだという。

 また、東京・三田の慶応大近くに位置する東京女子学園も23年度から「芝国際中学校高等学校」に校名を変更し共学化することを発表している。同校はホームページで「グローバル社会・情報化社会の到来と軌を一にして教育の在り方も必然的に問われてきております。このような社会の変化のなか、少子化・男女共同参画・ジェンダーフリー・大学入試改革などの要望の高まりから、受験生の共学化志向、大学付属志向が強まりました」(抜粋)と卒業生らに理解を求めた。

「国際」の名称についてはグローバルに活躍できる人材の養成という意味合いが強い。「とくに難関大学の入試は英語の長文読解に加えてリスニングのウエイトが増えています。これは語学に堪能なグローバル人材の育成を国が教育界に求めているからです」(予備校講師)。では、共学化のメリットはどこにあるのか。「男女共同参画社会の促進という理念はありますが、最大の理由は少子化の影響です。共学化に踏み来る学校の多くは定員割れしており経営危機に直面しています。男性だけ、女性だけの募集では受験生や入学者の確保に限界があり男女の枠を取り払う必要がある、といった経営的判断が最大の理由です」(同)。

 共学化、国際化により大化けしたのが東京・渋谷にある渋谷教育学園渋谷だ。同校のモットーである「自調自考」という言葉は有名だ。もともとは渋谷女子高等学校という偏差値50ほどの中堅校だったが、1996年に改組して中高一貫校を開校した。校名に“国際”の文字こそないものの、伝統校が扱いづらかった帰国子女を積極的に受け入れて教室内のグローバル化を推進。今では第2外国語講座も開講しており希望者は中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語が学べるなど国際色豊かだ。1学年約200人で女子が半数以上を占める。生徒全体の3、4割ほどが海外生活経験者というグローバルな学習環境が保護者から好評だ。22年実施の大学入学試験合格者数は東京大38人、京都大7人、東京工業大4人、早稲田大151人、慶應義塾大117人、上智大45人で国公立大学医学部医学科は計13人、さらに米国の大学にも多数の合格者を輩出している。めざましい変化というほかない。

 共学化と国際化。この2つが日本の学校経営において生き残りのキーワードとなりそうだ。

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