バクコメ・半澤弘貴、やりたいこと=仕事への葛藤を歌詞に「やっぱりきついんです」

新曲「いいねいいね」のジャケット
新曲「いいねいいね」のジャケット

「被災地を盛り上げようとかではなく、芸人として力をつけたい」

 吉本興業の「地域密着型プロジェクト」である住みます芸人。11年4月27日から開始した企画でその名の通り、47都道府県に芸人が住み込みながら、芸を磨く。半澤は地元宮城で活動しているが、当初は立候補すらしなかった。

「すぐ終わっちゃう企画なのかなだとか、もう少し東京で頑張りたいなって思っていました。当時、東京でニコニコ動画のイベントにも司会として出させてもらっていたこともあって、こういう仕事も宮城に行ったらできなくなってしまうなという気持ちもありました」

 東京での仕事のオファーは続かなかった。13年7月に宮城県に戻ることを決意した。「被災地を盛り上げようとかは全くなかった。宮城に行けば成功するという気持ちよりも、いろいろな仕事を経験して、使ったことのない筋肉を動かしてみたい、力をつけてみたいと思って立候補しました」と意外な理由を明かした。

 被災地への思いや人とのつながりを震災後の宮城で実感する。「仮設住宅とか全部ボランティアで行かせてもらって、響くものがありました。(宮城に戻ってから)ありえないことも多い。自分たちがラジオ番組でパーソナリティーになったり、お金を稼いで、結婚してなんて東京にいたらなかったと思います」と思わず笑みがこぼれた。

 それでも東京への心残りもある。「ハリセンボン」たち“同期”への気持ちも明かす。「いいなぁ~。やっぱすげーなって感じです。一緒に行ったオーディションもありますしね。もちろんみんなやっぱり実力で勝ち取ってきている」と遠くを見つめた。

「芸人はマラソンだと思っていて、今は負けているけれど、いつかまくってやるぞっていう気持ち。そのために今何ができるのか逆算してやっていかないといけないなって思います。同期はおもしろがってくれると思う。この『いいねいいね』が逆襲の一手になればいい」と熱くなった。

 歌手デビューをして、目指したい場所もある。「Mステに『誰だよ』って感じで出たい。今まではなかったけれど、今は0.1%の可能性あると思います。サブスクで聴いてもらって話題になって、売れていない芸人だけれど、聴いてみたらいい曲じゃんって口コミで広がるのが理想です」。

 宮城に移住して約10年。新たな挑戦は始まったばかり、東京の同期を“まくって”いく半澤の今後の活躍に注目だ。

□半澤弘貴。1983年2月28日、宮城県県名取市生まれ。東京NSC9期で2004年デビュー。お笑いコンビ「バクコメ」のツッコミ担当。3年より3代目の宮城県住みます芸人に就任した。

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