Netflixの大ヒット韓国ドラマ「梨泰院クラス」の日本版リメーク「六本木クラス」（テレビ朝日系、7月スタート）に俳優の香川照之がキャスティングされた。香川が演じるのは主人公・宮部新（みやべ・あらた、演：竹内涼真）に立ちはだかる長年の宿敵。香川の起用については発表前から業界周辺で取りざたされてきたが、意外感もある。公式番宣フォトを見る限り、香川が演じる長屋茂（ながや・しげる）会長の雰囲気は、「梨泰院クラス」で俳優のユ・ジェミョンが演じたチャン会長とは印象がずいぶん異なる。主演の竹内や麻宮葵（あさみや・あおい）を演じる歌手で女優の平手友梨奈が、「梨泰院クラス」のパク・セロイ（演：パク・ソジュン）、チョ・イソ（演：キム・ダミ）の髪型に寄せているのとは対照的だ。果たして“香川流”チャン会長は視聴者の心をつかむことができるのか。

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　香川が演じる長屋会長は日本の外食産業トップに君臨する長屋ホールディングスの創業者。1軒の定食屋から始めて巨大コンツェルンを作り上げ、会社の成長のためなら手段を選ばず常に利益を追い求める剛腕経営者だ。「弱肉強食」を人生のモットーとしているところも露骨だ。このあたりのキャラクター造形は原作通り。ただ、今回の出演について香川は「実は僕は『梨泰院クラス』は見ないで作品に入った。見ていたら、いい子なんで真似しちゃうんですよ、意外に素直なので」と明かしている。原作に引きずられることなくあくまでも“香川流”を貫く構えだ。

　韓ドラに詳しい放送ライターがこう話す。「『梨泰院クラス』でチャン会長を演じたユ・ジェミョンは73年生まれの48歳で56歳の香川と比べてかなり若いです。劇中では老けメークを施し重厚感あふれる演技を披露していましたが、他作品では熱血刑事や温厚な球団代表なども演じているほか演出や劇作家の顔も持つ多彩な才能で大衆的人気を得ています。カメレオン俳優と呼ばれている香川との共通点は多いです」

　とはいえ、ユ・ジェミョンが演じたチャン会長と香川演じる長屋会長は見た目が相当異なる。チャン会長は白髪混じりの短髪にひげ面で若い頃の苦労がにじみでているという設定。一方、長屋会長は髪を7：3分けにしておりひげはない。どちらかというとチャン会長よりスマートな印象だ。

「主演の竹内やヒロイン役の平手友梨奈はオリジナルに近い外見にしているので、かえって香川の自己流が印象に残ります。テレ朝側としては日本版だけのオリジナリティーを香川に求めているのでは。韓国版に寄せ過ぎると何かと比較されかえって面白みが薄れてしまう危険がありますから」（同）

　香川といえば、13年放送のTBS系ドラマ「半沢直樹」での絶叫土下座シーンが大きな話題を呼んだが、実は「梨泰院クラス」の最終話でもチャン会長が主人公パク・セロイの前で土下座をするシーンが登場する。パク・セロイが父親の敵であるチャン会長への復讐（ふくしゅう）を果たす同ドラマ最大のクライマックスだ。

「香川は『半沢直樹』に東京中央銀行の大和田常務取締役で出演し、半沢直樹（演：堺雅人）から不正融資を糾弾され取締役会で無念の土下座をするシーンに挑みました。鬼の形相で絶叫しながら床に座り込む香川の熱演は大変な反響を呼び、最終話の視聴率は空前の42.2%を記録するほど。テレ朝側が香川の土下座シーンに期待するのも当然です。『梨泰院クラス』の土下座シーンではテーブルに純豆腐（スンドゥブ）チゲが出ましたが、『六本木クラス』ではどんな料理が出されるのか、こちらも注目です」（同）

　ネットでは「韓ドラのリメークはどれもうまくいっていない」などの声が上がっているが、香川のキャスティングで異次元の盛り上がりを見せるかもしれない。