【映画とプロレス #6】アクションスターとして開花した“俳優”デイヴ・バウティスタ 元WWEスーパースターだからできる絶対的演技力

映画『ブッシュウィック -武装都市-』Blu-ray&DVD 発売中 発売・販売:松竹/提供:クロックワークス (C)2016 STUPE PRODUCTIONS LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
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マーベル、NETFLIX作品などに出演 多忙を極めるデイヴ・バティスタ

 女子大生ルーシー(ブリタニー・スノウ)は家族にボーイフレンドを紹介するため、ふたりで実家のあるニューヨーク郊外ブッシュウィック地区にやってくる。ラブラブ状態のまま電車をおりるふたりだが、駅の様子がいつもと違う。不思議に思っていると火だるまの人間が目の前に現れ、そのまま息絶えた。地上に出ると上空に戦闘機が飛び交い、至近距離で銃撃戦が展開されている。爆撃を食らったボーイフレンドは即死した。ルーシーは状況をつかめないまま逃げ場を探す。武装集団が辺り構わず住民を射殺するなか、ルーシーはスチュープと名乗る大柄の男(バティスタ)に助けられた。彼は自分が海兵隊だと言うが、男の素性もわからぬまま、ルーシーは戦場と化した街からの脱出をはかるのである。

 この作品で、バティスタは序盤での登場から出ずっぱりとなる。身体を張ったアクションシーンはもちろん、ルーシーとのやりとりでお互いの背景や相手に対する心情を表現しなければならない。バティスタ渾身の演技は、衝撃のエンディングまでつづいていく……。彼のフィルモグラフィーのなかでも、俳優としての力量がもっとも試されたのがこの作品ではなかろうか。プロレス、WWEでの経験が長回し撮影に活きたことは想像に難くない。プロレスとは試合はもちろん、入場から退場までが撮り直しのきかないワンショットの一発勝負だからだ。

 低予算の小品ながら決して侮れない「ブッシュウィック-武装都市-」。実際、17年のサンダンス映画祭、カンヌ国際映画祭監督週間に出品されており、単なるアクション映画には収まらない、隠れた良作になっているのだ。

 そして、俳優バティスタの勢いはまだまだとどまるところを知らない。日本では今年1月、アクションコメディ「マイ・スパイ」が公開され、NETFLIX「ARMY OF THE DEAD」でも主演をつとめた。今後は「砂の惑星」(84年)のリメイク「DUNE」の公開が控え、マーベル作品でバティスタの当り役“ドラックス”を再び演じる「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3」の撮影も待っている。また、ラッパーのアイスキューブとの共演が噂される犯罪ドラマ「The killer’s game」、ジェイミー・フォックスとタッグを組むアニメーション「Groove Tails」の製作も発表された。プロレスは引退したものの、映画スター、“俳優デイヴ・バウティスタ”の活躍はプロレスファンの誇りでもある。

次のページへ (3/3) 【ギャラリー】元WWEバティスタの現役時代
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