美しすぎる元女子野球選手の第2の人生 6月から地元で指導者に「甲子園目指す選手育てたい」
“美しすぎる”と話題を集めた元女子プロ野球選手の加藤優が、故郷の神奈川県秦野市で、新たな道を歩み始めた。昨季限りで引退し、初めてトレーニングをしない冬を過ごしたという。一方で、「指導者」としてグラウンドに立つ準備を始めた。インタビュー「後編」では、女子選手の環境をより良くするため、取り組んでいることなどを語った。
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“美しすぎる”と話題を集めた元女子プロ野球選手の加藤優が、故郷の神奈川県秦野市で、新たな道を歩み始めた。昨季限りで引退し、初めてトレーニングをしない冬を過ごしたという。一方で、「指導者」としてグラウンドに立つ準備を始めた。インタビュー「後編」では、女子選手の環境をより良くするため、取り組んでいることなどを語った。(取材・文=西村綾乃)
加藤は、丹沢山地に囲まれた秦野市で生まれた。父が地元の軟式野球チーム「秦野ドリームス」で監督を務めていたことから、同チームに入団。4歳上の兄と白球を追いかけた。
「母がチームのマネジャーをしていたこともあって、野球を始めたことは自然な流れでした。父からは『続けることが大事だ』と言われていたので、毎日バットを振っていたことを覚えています」
女子の野球人口が、今よりも少ない時代。続けるには、さまざまな困難があったという。
「小学生の時は、試合に出ると『あのチーム女がいるぞ』と相手選手にからかわれたり。女であることに引け目を感じていました。中学に進学するまでは『男の子になりたい』と思い、髪も短くして、中学に進学するまでは、自分のことを『オレ』と言っていました。当時はチームに女の子がいることを想定していないので、試合に行った先で着替え場所に困ることや、球場に女子トイレが無いということがありました。男子の中で、下着が見えないように着替えるのは上手くなりました(笑)。野球以外の部分に付いて考えることが多く、周囲も私もに気を遣っていたと思います」
男子の野球人口が減る中で、女子は増加。女子硬式野球部を持つ高校は、10年前の約5倍になった。昨夏は、全国高校女子硬式選手権の決勝が、男子と同じ甲子園で初めて開催された。今春は、全国センバツ大会決勝の舞台が初めて東京ドームになった。
「埼玉西武ライオンズ・レディース、阪神タイガース Women、そして、巨人が女子硬式野球クラブチームを設立しました。『野球が好き』だという女の子たちに目標ができれば、競技人口はさらに増えていくと思います。プレーヤーが増えることは嬉しいことですが、女子選手がプレーをしやすい環境づくりは、まだまだ足りないことが多い。父が監督だったこともあり、男性から教わることに抵抗はありませんでしたが、成長する中で体の悩みも出て来るし、同性に教われる環境が当たり前になってきたら良いなと思います」
そこで目を向けたのが、6月2日に始動する女子小学生を対象にした野球塾「Sunny Catchball 女子野球塾」だ。代表を務める教室では、自らグラウンドにも立つ。
「小学校1年生から6年生の女子が対象で、中栄信金スタジアム秦野などを拠点に女性のコーチが指導します。私が選手として経験したことはもちろんですが、2020年から今春まで、横浜DeNAベイスターズのアカデミーコーチとして指導していたので、ここで得たノウハウも生かしていきたいです。女子野球塾から甲子園などを目指す女子選手が生まれてくれれば、うれしいですね」