異世界に繋がるグルメドラマ 綿密指導で“チープさ”回避「調理シーンはアクション」

俳優の大谷亮平が主演するWOWOWオリジナルドラマ「異世界居酒屋『のぶ』Season2~魔女と大司教編~」(金曜午後11時)が、27日にスタートする。全10話の作品は、2020年に放送された同名ドラマの続編。異世界に繋がってしまった居酒屋を舞台に展開される物語で、謎の女や原作にはない大司教も登場する。居酒屋の主人を演じる大谷と、前作に続いて監督と脚本を務めた品川ヒロシは新作に自信ありで、「(視聴者が)『一杯やりたい』と思ってくれたらうれしい」と話している。

「『一杯やりたい!』と思ってもらえるドラマ」と自信を見せる(左から)品川祐と大谷亮平【写真:山口比佐夫】
「『一杯やりたい!』と思ってもらえるドラマ」と自信を見せる(左から)品川祐と大谷亮平【写真:山口比佐夫】

店主役の大谷亮平、監督・脚本の品川ヒロシに見どころを聞く

 俳優の大谷亮平が主演するWOWOWオリジナルドラマ「異世界居酒屋『のぶ』Season2~魔女と大司教編~」(金曜午後11時)が、27日にスタートする。全10話の作品は、2020年に放送された同名ドラマの続編。異世界に繋がってしまった居酒屋を舞台に展開される物語で、謎の女や原作にはない大司教も登場する。居酒屋の主人を演じる大谷と、前作に続いて監督と脚本を務めた品川ヒロシは新作に自信ありで、「(視聴者が)『一杯やりたい』と思ってくれたらうれしい」と話している。(取材・文=西村綾乃)

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 同作は、蝉川夏哉氏による人気小説を実写化したグルメファンタジー。20年に放送された前作では、京都の商店街にある居酒屋「のぶ」の入口が、異世界の古都・アイテーリアにつながっているという設定で、繰り広げられる人間ドラマが好評だった。だが、品川は「実写化は不可能と思った」と苦笑い。大谷も、居酒屋の大将・矢澤信之をどう演じるのか頭を悩ませたという。

品川「中世ヨーロッパと居酒屋がつながる……。それをドラマとして見せるのは難しいと感じました。WOWOWでは、数々の映画作品が放送されていますし、このドラマが国内外の劇場作品と並んだら、コントにしか見えないんじゃないか……と思ったんです」

大谷「チープにならないよう気を付けなくてはと思いました。僕は居酒屋のセットの中で、日本人の役。でも、店にやってくる客は中世ヨーロッパの人たちです。シチュエーション・コメディーにならないようにと悩みました」

 大谷は、品川から「調理シーンはアクションだと思ってください」など、細かい指導を受けたという。綿密に練られた作品は視聴者の心をとらえ、最終回の放送終了後にSNS上で「#のぶシーズン2希望」の署名活動も起こった。そして、約2年を経て実現した第2弾には、新キャラクターも登場する。

品川「一見、魔女のように見える謎の女性、イングリドに水野美紀さん。大司教・ロドリーゴは松尾諭さんがふんしています。今回は、魔女狩りなど政治的な要素も出てくるのですが、細部にコミカルな味付けをすることでキャラクターの魅力が際立つ内容になったと思っています。松尾さんは生のジョッキを飲むスピードが異常に速くて、中ジョッキを持ち上げたと思ったら、瞬く間になくなって。『これは、めっけもんだ』と思いました」

大谷「Season2の見所は、魔女と大司教です。水野さんも松尾さんも全力でふざけて来るので、撮影中は何度も笑ってしまいました。撮影現場で、品川さんが思いついた動きなども散りばめられていて、楽しみながら見てほしいです」

 09年公開の映画「ドロップ」で監督デビュー後、品川の手掛ける作品は噴き出す要素が満載で知られる。そして、居酒屋が舞台のこのドラマでは、提供する料理の描写にも力を注いでいる。

品川「忘れられないのはアジフライ。手でむしゃむしゃと食べるシーンがあって、とんでもなくおいしそうでした。コロナ禍で撮影現場でのつまみ食いを控えていたのもあって、『いいな~』とうらやましかったですね。映像を編集していたときも、食べたくてつらいと思うほどでした。コロナ禍で飲みにも行かれなかったので、アジフライがおいしいという店のランチに行きました。念願だったので、本当においしかったです」

大谷「僕はガラス職人役のローレンツ(庄司智春)が食べていた天ぷらが印象に残っています。現場で揚げるのですが、品川さんに『揚がったエビを箸で取り出したら、瞬時に皿に乗せて『バン』と客の前に出すまでの時間に命を懸けてほしい。そのリアクションを撮りたい』と言われました。シーズン1のときに現場で食べてうまかったから、家でもやろうと思ったのはタコのアヒージョですね。現場で調理工程を教わったので、台本に書いてあるレシピを参考に簡単にできると思ったのですが、全然ダメでした(笑)」

 ドラマでは、居酒屋を一歩出ると中世ヨーロッパにつながっていた。2人がつながってみたい時と場所とは。

品川「映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』(01年公開)で、描かれていた昭和30~40年代の高度成長期を体感したいです。今でもデビュー前のようなギトギトした感覚を持っていますが、妻子があるので、四畳半一間のアパートに暮らして、汚い畳の上でカップラーメンをすするという生活はできません。でも、そこに戻りたいなという感覚がある。夢を追いかけていた時代を感じられる街並みを歩いてみたいです」

大谷「ドラマのように時代を超えて行かれるなら、小学校時代に戻りたいですね。大好きな野球に打ち込んだり、やり残したと感じていることをやり遂げたいです。子どものときはあまりいいものを食べたという記憶はなくて、でも、(地元の)大阪は粉もん文化ですから、学校の帰りに食べる『たこ焼き』はごちそうでした。今も実家は大阪にあって、帰省したときにたこ焼きを食べると、『東京とは違うな』と思いました」

 俳優と監督の関係でつながった大谷と品川。この作品も時代を超えて愛され、さまざまな人々につながることを願っている。

□大谷亮平(おおたに・りょうへい)1980(昭55)年10月1日、大阪府生まれ。大学卒業後にモデルとして始動。2003年に韓国で「ダンキンドーナツ」のCMに出演したことをきっかけに、韓国でも芸能活動をスタート。俳優としての代表作は、映画「神弓-KAMIYUMI-」、「バトル・オーシャン 海上決戦」など。ドラマ「朝鮮ガンマン」では、「韓国ドラマアワード2014」グローバル俳優賞を受賞した。16年4月からは、日本でも俳優活動を開始。TBS系連続ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの人気作に多く出演している。特技はバレーボールと韓国語。180センチ、血液型O。

□品川祐(しながわ・ひろし)1972年(昭47)4月26日、東京都生まれ。1期生として入学した吉本総合芸能学院(通称・NSC)東京校で出会った庄司智春とコンビを結成。95年8月からは、コンビ名を「品川庄司」として活動。人気コンビの地位を確立後、自身の自伝的小説を原作とした映画「ドロップ」(09年公開)で監督デビュー。その後、「漫才ギャング」(11年公開)など話題作を手掛けている。作家、映画監督として活動する際は「品川ヒロシ」名義を用いている。趣味は、料理、英会話、映画鑑賞、読書(漫画)など。特技は格闘技(ジークンドー)と柔術。173センチ、血液型A。

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